白石忠志のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
文章も内容も読みやすく,一気に読み上げた。法律の読み方がわかったかといわれると,どう書かれているかは分かったというところで,読めるようになったという自信はまったくない。
この本を通して,法律の文章は論理的にしかも無駄なく書かれていることを知った。条文や判決文は公文書なので内閣告示の常用漢字と送り仮名に基づいているので難解ではないはずだが,それでも理解し難いところがあるのは,法律の文章特有の言葉の使い方,文章の構成,論法にある。そのあたりを,最近の法律や判決文を使いながら,丁寧に解説してくれているので,読む分には理解が進んだ。
言葉の使い方に関して,ORの「又は」と「若しくは」,ANDの「及び」と「並びに」の使い分けの規則があるのに,ORとANDの間の優先順位はなく,文意から判断するのは人間的。「推定する」と「みなす」は日常生活ではほぼ可換に使うのに,法律の世界では厳然たる違いがあるのは,いかにも。
始めに”無駄なく”と記したが,このために法律の上下関係が持込まれ,読み込むための”慣れ”が必要になりそう。このあたりは文科のリテラシーかもしれないが,法教育の必要性を感じた。 -
Posted by ブクログ
なるほど、そういうことか!と思える記述が満載。随所に散りばめられた著者独特のユーモアにクスッとなる。以下は付箋を貼った箇所の要約。
「分かりやすいもの」を攻撃し、軽んじる風潮は、分かりにくいものが分かりにくいままで安住し、改善努力をしない、という結果を、同時に、もたらしている。p.iii
「この〇〇」という意味で、「本〇〇」とする表現も、古い言い回しの一種である。p.25
「みなす」=AはBに該当することとする。反論は認めない。
「推定する」=AはBに該当することとする。ただし、反論は認める。pp.37,39
いい加減なことを書けば読み手に直ちに見抜かれる、という状態を、自分で作るのである。p.54
「〜するべき」ではなく「〜すべき」とする……せっかく文語的な表現を取り入れるのであるから、……その前の動詞も文語の場合の終止形である「〜す」を用いる、ということであろうか。p.59
「A社の拘束」……A社が拘束するのなら「A社による拘束」と書き、A社が拘束されるのなら「A社に対する拘束」と書くようにしている。p.84
比較の「より」は、「よりも」と書くように努めると、読み手を迷わせる可能性が減ると思われる。p.124
「公布の日から起算して20日を経過した日から施行する。」の解釈
①期間の計算方法に関する一般法「特別の定めがある場合を除き〜」(民法138条)
②初日不算入原則(民法140条)
③「公布の日から起算」という特別の定めにより、公布の日を1日目と数える
④「経過した日」→21日目の日
「更に過去」の「更に」の品詞 p.169
「法令における漢字使用等について」は、「送り仮名の付け方」通則7が掲げる例と比べて大量の複合の語を掲げている。これは、法令という「特定の領域」で慣用が固定していると考えているからであると推測される。p.184
(疑義)
主語の後には、なるべく読点を打つ……「〇〇が、」のように p.81
→法令で主格助詞の「が」の後に読点を打つ例は相当少ないと思われる。「主語」という用語の使い方の問題。
「当店は現金のみです。」……「象は鼻が長い。」の「鼻が」の部分が省略されたものであると言えるかもしれない。p.85
→日本語学では、そのような構文は「うなぎ文」という名前がついている。 -
Posted by ブクログ
『法律の読み方がわかる本』は、法律の知識を増やすことの前提として、まず、『法律とはどのように読めばよいのか』という、基本的な考え方を伝えようと試みる。
条文の読み方や法律特有の言葉の意味、判決文の読み方、法的三段論法、法令や判例の調べ方まで幅広く取り上げられている。そのため、法律を学び始めた方はもちろん、仕事で法令や契約書を読む機会がある方にも参考になる内容だと思う。
当然、私のような法律素人には、一度読んで理解しきれる本ではない。最初は全体像をつかみ、その後、実際に法律に触れるたびに読み返すことで、少しずつ理解が深まっていく本なのだと思う。
本書を読んだことで、「法律には法律の読み方がある」ということを再認識。折に触れて読み返しながら、法律を正確に読み解く力を身につけていきたい。とても良い本だった。 -
Posted by ブクログ
本書は、法令や行政文書をはじめとする法的な内容を含む文章、すなわち「法律文章」が読み手に向けて正確に分かりやすく伝わるようにするためのヒントをまとめている。条文の読み方等の基本や、公用文の標準的なのルールとしての「公用文作成の考え方」を解説するとともに、法律文章を書く際の法学者としての著者の心掛けも紹介されている。
条文や公用文の読み方、考え方等が簡潔明快にまとまっており、法律文章を扱う公務員等にとって重宝な一冊である。読点の打ち方など、著者の法律文章に係る心掛けも納得性が高かった。正確で分かりやすい文章を作成する上で参照軸となる内容だと思う。 -
Posted by ブクログ
例えば閣法であれば、所管官庁において有識者による勉強会や審議会、検討会などが行われ、その後、関係官庁との調整、国会議員等の政治家との調整、内閣法制局による審査を受け、国会に提出され可決される。条文の背景には様々な審議がなされてきた足跡があり、その足跡をたどることで条文の理解深められるという。文理解釈の一歩先、論理解釈の重要性を痛感した。
他方、条文をそのまま読むにもお作法があり、例えば前2項についての考え方(第2項という記載でないため、前に出てくる2つの項を指す)、「その他」と「その他の」の違い(A その他 B は A 及び B と同じ意味、
Aその他の B は B 例えば A という意味)等、文理解釈するめにも前提知識が必要である。
また、本文中の藤田講演録についての記載も、興味深い。「そのような条文解釈を明らかにすること。つまり、一般的な規範を明らかにすることは最高裁判決の主眼ではないと主張している。むしろ最高裁判決の軸足は法的三段論法の枠組みのうち、事実の枠にあり、適切な適用をして結論を得るため、必要に応じてその事例の事実に即した形で規範を立てているにすぎない。条文の解釈もそれに含まれる」