ヨーゼフ・シュンペーターのレビュー一覧
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第2巻では「第4部:社会主義と民主主義」、「第5部:社会主義政党の略史」に加えて、戦後のその後の展開へのコメントとして、「イギリス第三版への序文(1949年)」と「社会主義への行進」というシュンペーターが亡くなる直前の(不完全な)論文が収録されていました。
率直な感想はというと、第1巻での資本主義の深い洞察パートに加えると、第4部、第5部はやや物足りない感がありました。特に民主主義に関しては歯切れの悪さというか、分析の切れ味がどうしても資本主義に対するのに比べれば悪いなという印象でした。その意味で予想外だったのが第5部がとても面白かったこと。冒頭には自分は専門家ではないが、と断っていますが、そ -
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シュンペーターといえば「創造的破壊」の概念を提唱した人物として日本人にもなじみの深い経済学者ですが、その概念を紹介したのが本書になります。本書は第二次世界大戦中の1942年に発刊された本ということで、そのあたりの背景を考慮しながら読み進めると良いかと思います。また本書では、序文としてシュンペーター伝を書いているトーマス・マクロウによる紹介文が掲載されていますが、これは非常に良い。本編を読み進めるに当たっての素晴らしいガイドラインになっています。
上巻では第1部マルクス主義、第2部資本主義は存続できるか、第3部社会主義は機能するか、が収録されています。第1部では、マルクスの資本論簡潔に説明し、 -
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「資本主義はその成功ゆえに失敗する」マルクスの向こうを張ったこの意表を突くテーゼであまりに有名な本書は、処女作『 理論経済学の本質と主要内容(岩波文庫) 』でワルラスの一般均衡理論を継承したシュンペーターが、『 経済発展の理論(岩波文庫) 』でイノベーションをキーにその動学化を図った後、自らの学問体系の総仕上げとして構想した長期の社会変動論である。第二次大戦後の高成長から低成長時代を迎える中で福祉国家化が進展し、シュンペーターの予想が一定の説得力を持ち得た時期もあった。しかし80年代に西側の保守政権によってレッセフェールが息を吹き返し、社会主義陣営の崩壊を経て、2000年代以降グローバル資本主
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1巻より続く
気づき
・マルクスは自分は決して真の民主主義の道から逸脱し
ているわけではない。真の民主主義の息の根を止める
資本主義という毒ガスを除去しなければならないと宣
言しただろう
・民主主義は「市民による統治」と定義できるかもしれ
ないが、「市民」と「統治」にはさまざまな概念があ
る
・結局のところ、民主主義の原理とは、競争を勝ち抜い
て最大の支持を得た個人や集団に政権を委ねることを
意味するにすぎない。そうなれば民主的な手法のロジ
ックでは多数決制度が肯定されるように思える
・有権者の選択はイデオロギー上「市民の声」と美化さ
れているが、自発的なものではなく、作り -
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読もうと思った理由
現在起こっている政治経済制度の問題点について深く知りたいと思ったから
気づき
・ひとたび「資本家」が潜在的なサービスの蓄えを手に
すると立場上、そうした蓄えや潜在的な蓄えの生産に
かかるかかる時間以上、労働者を働かせることがー実
際のサービスを提供させることができる。この意味で
資本家は支払った以上の労働時間を現場で要求でき
る。その結果生産された商品も、生産にかかった労働
時間に比例した価格で販売されるため、二つの商品の
価値に差が生じる。この差が剰余価値で、資本家はこ
の剰余価値を掠め取ることで「労働者」を「搾取」す
る
・マルクスによれば「科学的社