飯田道子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ナチスの核のひとつであったメディア戦略を知ることもできれば、
美と憧れと親しみの危険という戒めを学ぶこともでき、
メディアとその受け手としての民衆を理解するのに役立つ一冊です。
ナチス時代のプロパガンダ映画を分析し糾弾するにとどまらず、
第二次世界大戦後ナチスがどのように描かれてきたかも書かれており、
政治と映画、そしてその受容について多面的に理解することができます。
それらを学ぶことで得ることができる知見は、
現代においてもそのまま通用するものですし、
その危険性を知る上でももっと読まれていいと思う本です。
映画はそれほど見る方ではありませんが、
分析的な視点を持ったままいくつか見てみ -
Posted by ブクログ
類書は少なくないけれど、新書判でこれだけの質と情報量があるのはスゴイ。
同じ中公新書に収録されている平井正氏の「ゲッベルス」との併読をオススメします。
目次
新しいメディア・映画の登場
第1部 ナチスの時代(ヒトラーとゲッベルス
映画統制―検閲と「評価付け」
プロパガンダと映画)
第2部 ヒトラーとナチスの戦後(同時代人が描いたヒトラー像
「悪の定番」としてのナチス―一九五〇~六〇年代
「美しく魅力的」な表象へ―一九七〇年代
ホロコースト映画の変遷―一九八〇~九〇年代
新しいナチス像―二〇世紀末
「身近な存在」になった独裁者―二一世紀)
創られる「記憶」 -
Posted by ブクログ
歴史と映画が好きな人には面白く、また親しみの持てる本だと思う。ヒトラーおよびナチスが描かれている映像作品を、ナチスによるプロパガンダ映像も含めて時系列でその時代状況と当時の人々の受けとめ方、ナチスとヒトラーの描かれ方の変遷などをたどっている。多くの映像作品を新書という小さい枠に盛り込んでいるため、駆け足的な感じもする。一方で専門の知識を基に分析をしながら、一方で著者自身が当時の人々と一緒にその映画を体験したかのような臨場感があり、要は著者が映画ファンでもあるからでしょうが、単なる教科書的な叙述にとどまらないため楽しく読める。書き出しからして、映画というフィクションの世界が現実と相補的な関係を持
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Posted by ブクログ
ネタバレ[ 内容 ]
第二次世界大戦で数千万もの人々を死に追いやったヒトラーとナチス。
彼らは新興メディアだった映画をプロパガンダの最大の武器として活用した。
一方で戦後、世界の映画産業は、わかりやすい「悪」の象徴として、ヒトラーとナチスを描き続ける。
だが、時代とともに彼らの「評価」は変わっていく。
本書は、第1部でナチ時代の映画を、第2部で戦後映画での彼らのイメージの変遷を描き、「悪」の変容と、歴史と「記憶」の関係を探る。
[ 目次 ]
新しいメディア・映画の登場
第1部 ナチスの時代(ヒトラーとゲッベルス 映画統制―検閲と「評価付け」 プロパガンダと映画)
第2部 ヒトラーとナチスの戦後(同時