スコット・ハーショヴィッツのレビュー一覧
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ネタバレ12のテーマについて、著者の2人の子どもとの対話をもとに、哲学の考え方を「子ども語訳」していく。どのテーマも身近で、誰もが一度は(それこそ子どもの頃に)考えたことがあるだろう。
個人的に最も印象に残ったのは、夫との関わりをイルカの調教のようにした妻の話だ。本書で挙げられていたこの行動の気になる点は、例えばパワハラをする上司だとか、学力の高い生徒には無料で学習の場を提供して合格実績を吊り上げる塾だとか、そこに感じる気持ち悪さにも通じると個人的に感じた。
また、個人的には、子どもは小さい大人ではない、との主張も考えさせられた。昨今は子どもの自主性を尊重する学びが重視されている傾向があり、私もそれに -
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法哲学のスコット・ハーショヴィッツ氏の著書。哲学というとっつき難いテーマを自身の息子達との会話を切り口に深く考察する本書。日本でのタイトルのまま、圧倒的に面白い。また全12章に亘る内容も権利や罰のような著者が得意とする分野から男女、差別のような昨今よく取り上げられるテーマ、無限、神のような根源的でスピリチュアルなイメージの話題まで、哲学で読み解いている。息子達とのやり取りはユーモアに満ちていて、学術的な堅苦しさを一切感じない。それでいて考察は深く、育児本としての解釈もできる。知的謙遜を学び、知的謙遜を子ども達にも伝えられる大人にも子どもにも伝えたい本。
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Posted by ブクログ
哲学
◯権力
・権利が提供する保護は、その権利を認めて尊重しようとする他者の意思に依存する
・暴走するトロッコをめぐる難問
◯復讐
・悪に悪を返して善になることがある(やりすぎなければ、2度目の悪はやりすぎなければさ実は悪ではない
・タリオンの掟(目には目を)は自分ごととして共感を呼び起こさせる、共感は同情よりも)強い、そして復讐に上限を決めた
・現代はこれに比べわすがな補償でよしとされている、命の価値が小さい
◯罰
・報復のためというのが周り回って最も大きな狙いであることが多い。
・客体への態度: 望ましい行動をした場合は褒め、逆は無視するという方法で動物同様人間のコントロールも可能 -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白かった。
アメリカの哲学者が、息子との関わりを通して哲学している本。
権利・男女・差別・知識・神等など、、、抽象的で色んな意見がある概念に対して、誤解を恐れずに自身の考えを主張していてとても学びになった。
権利の章で、「権利はそれを認めて尊重しようとする他者の意志に依存する。」という言葉と、復讐の章で「蔑まれたり侮辱された時には、自分の力で抵抗できる人間になってほしい」という言葉があった。
差別する方が悪い!虐げるやつが悪い!という声は大きいし、納得だが、差別される側、虐げられる側も誰かの庇護下でいたり、環境が変わるのを待つだけではなく、抵抗する義務があるし、知識や技術を身に着けてそ -
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物語形式で読んでいけるので、他の哲学書とは違い、そこまで頭を使わずとも読めた。(←考えたくない人( ^ω^ ))それでいて、哲学のことがわかるもんだから素晴らしい。
内容はそれぞれ章で分かれていて、何について書かれているのか忘れちゃった時に役立つ。
心の章の時なんかね、もう、珍紛漢紛だった。「あなたが自分が意識のある魂だと思ってるただのロボットだとしたら?」はぁぁぁ?そんなことあるわけ、、、、いやありうる。みたいな思考を頭の中でしないといけないので、疲れる。けどやっぱ面白い。哲学を考えてるという自分に酔っている自分を見てる自分。みたいな?ハァ?って感じですけど、まそゆこと。
神の章なんか、もっ -
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ネタバレ哲学について考えさせられる本。おまけで子育てについても学べる。
「哲学とは、相手を打ち負かすためにではなく、自分と違う考えに耳を傾け、自分が間違っていたと思えばそれを認めること」
└特に喧嘩したときなど、感情的になったときは自分は全然これはできていないので、意識するべき。
「宇宙全体からみたら自分は取るに足らない存在で、私は重要ではない。だが、私を取り巻くものや人については重要である。」
└数十億年の宇宙規模で考えたら、自分の存在など特にこの世に微小の影響しか与えない。なので人生に意味などほぼない。しかし、自分の取り巻く家族や友達、恋人、仕事などに意識を向けて大事にすれば、人生に意味を見い -
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本書はよくある過去の偉人を持ち出して、分かったような分からないような話をする実用書とは異なる。
私は子どもを持つ親の目線で読んだが、子どもの鋭さに驚かされるとともに、自分の子どもも問いかけや促し次第で思考を言語化できるようになるのではないかと胸が高鳴った。
哲学とは考える技術であるという言葉は至言だ。
これまで、哲学系実用書で学ぶことと過去の哲学者について学ぶことが同義であったが、本書を読んだことで考える力を養うことが哲学を学ぶことだと気付いた。
そしてそれは本を読むだけでなく、日常の生活の中で自分自身や家族への問いかけの中で得られるということに。 -
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オックスフォード大学の教授と息子たちの小さな哲学
身近な哲学を語ることで世界の在りようを知る
子どもたちの、自分には決定する権利がないと言う考え方に興味深さを覚えたり、過去のアメリカでの行いを自分たちのことの様に捉えたりと純粋が故にハットする考え方が良かったです。
戦争、貧困など世界は不条理なことはかりで世界は決して善意でできている訳ではないと思う。
それでも、これからの世界を生きていかなければならない彼らにとって、父子の会話が有意義なものになればと思う。
今更ながら、哲学を考えることは普段の仕事や生き方を見直す術なのだと思う。神様はいるのかどうか、どちらかに決めつけるよりも、考え続けること