ジャックキャンベルのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
伝説の英雄ジョン・ギアリー提督が100年の冷凍睡眠からよみがえり、壊滅寸前の艦隊を危機から救い出して、長い戦争を終結させた、前シリーズ(1~6巻)の待望の続編第1巻目。
物語として大きな魅力があるのはもちろんで、読者がそれぞれの楽しみを味わえばよいと思う。
本書の特異点は、すぐれたマネジメントの実践書である点である。
すぐれたトップマネジメントであるギアリーは、前シリーズにおいて、堕落していた艦隊を建て直すことに成功した。
艦隊が堕落したのは、艦隊のマネジメントに民主政治の論理を持ち込んだからである。艦隊のマネジメントには軍隊の論理が必要であり、ギアリーは、結局、艦隊から民主政治の論理をのぞき、軍隊の論理を注入することにより、立て直しに成功したのである。
さて、新シリーズにおいても、ギアリーのトップマネジメントとしての優秀さは際立つ。というのは、政治家らとの交流においては、軍隊の論理ではなく、民主政治の論理にもとづいて行動するのだ。そして、この点は、彼の優秀さを示す一端にすぎない。
本シリーズにおいて、彼は異星人世界への遠征を命じられるのだが、彼はやはり一貫して、異星人との交流においては、異星人のもつ論理を探求しようとするのである。
トップマネジメントに求められるのは、組織を強力にすることではない。組織の使命や性質に応じた最適な運営を実行することこそ、トップマネジメントの使命である。
今後のギアリーの探求が興味深い。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ1世紀前から蘇り、最先任という理由で司令長官代行になったギアリー。
艦隊を何とか味方宙域に帰還させ、人類の恒星間戦争を終結させ、やっと艦長と結婚できたのに、政府の命令により、再度艦隊を率いて謎の異性種族調査へ。ということで第二部スタート。
戦争をコントロールして人類絶滅を狙っていたと思われる異性種族。正体がバレるぐらいなら星系ごと自爆する偏執的な種族らしいと分かってきたところで、また別の種族?が向こう側の宙域に。
邪魔になりそうな者を艦隊ごと消し去ってしまおうという政府や艦隊本部の陰謀の中、どんな活躍をするのか楽しみではある。
嫌な女の代表、政治家リオーネがまたもや艦隊に乗り込んでる。まぁこの人は外せないよな -
Posted by ブクログ
コールドスリープから目覚めてみれば眠りについた時の戦争がまだ続いていて、尚且つ自分が最先任士官であることから敵シンディック宙域の奥深くまで入り込んでしまった艦隊の提督にされてしまったジョン・ギアリー大佐。
今では廃れてしまった往年の艦隊戦術と人道的な人心掌握術を武器に数々の戦闘を経、少なくない損害を出しながらながらも、何とか味方のアライアンス宙域に辿り着いた、というのが前6巻までのお話。
一応大団円で終えた第一部の6部作終盤で登場した謎の異星人に対して、今作から始る第二部(海外ドラマでいうところのシーズン2?)では本格的な調査航海が始ります。
今回は自軍の政府からも公認の提督として艦隊を率い、しかも堂々と母星から出発するので、正確には『彷徨える艦隊』ちゃうやん!と言いたいところですが(原題もThe Lost Fleet)、それはさて置き。
主人公をはじめ前作の登場人物はほぼ全員再登場。
と同時に前シリーズでは戦闘の中で徐々に淘汰されていった困ったちゃん艦長も、補充艦や補充人員の昇進で何人か出てくるので、彼らをどう扱うかが焦点の一つとなるのでしょう。
正直ネタが持つのか?と不安でしたが、前シリーズでほのめかされた異星人の存在の謎も徐々に解き明かされていくので、オチをどうもっていくのか楽しみです。
読み口も(相変わらず)平易で、かつ戦闘も随所にあるので、煽り文句の『戦争SFの最高峰!』は大袈裟だとしても、ミリタリーSFファンには前シリーズと同様、面白く読めると思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ百年の冷凍冬眠から偶然に蘇生させられたギアリーは、不本意ながら、星々から使わされた救世主として祭り上げられる。目覚めた場所は、敵地の奥深く、それも大規模な敵艦隊の目前。味方は艦隊戦で大敗したばかり。タイミングとしては、物語において最大のピンチと言ってかまわないだろう。
遠い未来世界の物語なのに、宇宙艦隊における信仰心は、とても厚い。軍人たちは、超越的存在である星々をあがめ、先祖の霊を身近に感じている。そのような環境のなかで、ギアリーは、神がかり的な英雄として崇拝を受けることになるのだが、ギアリー自身は自分が英雄などではないことを知っており、周囲からの大きすぎる英雄視との間に、齟齬を感じ、苦悩することになる。おまけに、百年ぶりに目覚めた彼は、ちょっとした知人すらいないので、孤独感にさいなまれることになる。
また、宇宙艦隊は軍隊組織であるにもかかわらず、意思決定の仕組みがトップダウンではなく、艦長会議という合議機関による評議制度というのも面白い(蘇生したギアリーにより真っ先にトップダウン式へと改善されるのだが)。
以上のような、不合理ではあるが、細かく丹念に設定された世界を語るナラティブは、情緒的でなく、クールで、ハードボイルド小説に近い。
やがて、物語中の時間が経過するにつれて、「伝説の英雄」ギアリーに対する神秘的な期待は、低下して行くだろう。というのは、ギアリーと、その他の人々が共に過ごすうちに、ギアリーの人間的な部分についての理解が深まるからである。
神秘的な期待が低下する代わりに、ギアリーは次々に敵艦隊を撃破し、軍事的な実績を上げることにより、現実的な評価を人々から受けるにいたる。
この作品は、百年後に蘇生した「伝説の英雄」が、時間をかけて現実の英雄へと様変わりしていく物語と言える。