軍法会議(米軍ではCourt-Martial)が作中に登場する映画を取り上げながら軍事司法について解説しよう(それによってその映画の理解も深まる!)という趣旨の本。
アメリカの映画が多いが、英仏独そして日本の映画も取り上げられる。
そして、軍法会議がひどい代物なのは日本だけじゃないということがわかる。一般司法のような手続きの保障はあってないようなものだし、現場レベルでの恣意的な運用もまあよくある話っぽい(旧日本軍は取り繕うことすらしなかったりしたのだが)。
映画に関していうと、軍法会議を思いっきり舞台としてる「ア・フュー・グッド・メン」(トム・クルーズ主演)が代表的だが、私が本書を読んで見てみたいかもと思ったのは「アイ・イン・ザ・スカイ」というイギリス映画でした。
私は本書で初めて知ったが、米軍においてはMilitary Commission(本書では軍事委員会と訳す)なるものがあって、われわれになじみのあるものとしてはBC級戦犯を裁く法廷が該当する。
本書はこれも対象としている(その延長上にあるように見える「国際軍事法廷」も)。
これらは軍法会議以上に手続面がグダグダで、政治的な思惑で結論が決まっていたりする。
この本は、取り上げている知識が豊富で読み応えがある。深掘りの知識とか余談めいた知識もけっこうある。法律用語の英訳とかするのにも参考になる。
のはよいのだけど、軍法会議のことも書きたいし、映画のことも書きたいし、余談も書きたいし、ごった煮で読みづらい…
でも知らないことがたくさん載っていることに免じて☆は1つ増やした。
まあ、これだけのボリュームの本で1500円+税は安すぎる感があるのだけど、出版社名から察するに自費出版的なものなのだろう。文句は言うまい。