橘孝司のレビュー一覧

  • ギリシャ・ミステリ傑作選 無益な殺人未遂への想像上の反響

    Posted by ブクログ

    表題作を含む全15編のミステリ短編小説アンソロジー。もともとは『ギリシャの犯罪』という人気アンソロジーシリーズの第5巻に当たるものだそう。
    SF傑作選はギリシャ語→英語→日本語の重訳でしたが、こちらは直でギリシャ語→日本語っぽい。

    ミステリと聞いてパッと連想された「名探偵の華麗な解決劇」といった作品は少なく、犯人の視点に立った犯罪小説が多く収録されている印象。どれも1967〜74年の軍事独裁政権時代や2010年代の財政危機。移民、環境問題などに端を発しており、自国に対する息苦しさや無力感を漂わせる作品も多い。しかし、それでも中にはギリシャに対する希望や祈りを込めた作品も見られ、深い一冊であると感じた。
    巻末解説のギリシャミステリ史の概要も、とても興味深かった。文庫本にして1500円+税と、もはや少し前の単行本のような価格だけど……個人的には、やっぱり買ってよかった、と心から思った。

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    2024年09月29日