国連の現在位置がわかる本。
国連入門と書いてあるけれど、教科書レベルの基礎的な国連の知識はあらかじめあったほうが読みやすいかなと思う。
国連とは改めて世界にとってどんな存在意義があるのか、を考えさせられる。
国連とは国際機構のひとつ。
国際機構とは複数の国家により、共通の目的達成のために条約にもとづいて直接設立された固有の常設的な組織のこと。
決議等によってつくられる政府間国際組織の自立補助機関(ユニセフ、国連難民弁務官事務所、国連開発計画など)、それらも含めて国連システム全体を国連と本書では呼ぶ。
つまり、日々わたしたちがニュース等で目にすることが多い国連の安保理だけが国連というわけではない。
国連というシステムがいまいちうまくいっていないようにイメージされるのは安保理という仕組みの不具合(拒否権行使の課題、拒否権の扱い方の課題)が現代のグローバルな情勢にマッチしていない可能性がある。
本書は国連が平和のために世界へ向けてどういったかたちで介入し動いているかを説明しつつ、(国連において日本人の活躍は私はあまり知らなかったのだけれども、ご活躍されている方々は多い印象)安保理の仕組みをこれからどうしたならばより良いかが、いくつか案として提示されている。
本書にアメリカの国際政治学者リチャード・フォークの言葉が置かれている。
「国連は大国の支持がなければ有効性を失うが、大国を抑制できなければ正当性(正統性)を失う」
国連の国際社会での厳しい立場の現実を、ジレンマを、述べているように思える。
ただ、国際は安保理だけで成り立つ組織ではないため、平和活動として国際社会に今までしてきたことも、今現在果敢に挑戦していることも、これからの未来にあらゆる暴力の抑止力として働くだろうことも、充分に腹落ちし、また予見される存在だとわたしは本書を読んで感じたことだ。
G7のような西側の仲間内の集合ではなく、カントいわく国際的に統一された国際的な国家である世界国家(支配する民族と支配される民族との分断が生じる恐れがあり植民地支配と変わらない)ではなく、分断と連帯の歴史の変遷を経て粘り強く会議(話し合い)を今まで幾度となく重ね続けた国連だからこそ、世界へ呼びかけることができる存在とわたしは思う。
国連が抱える安保理の課題は仕組みの問題だ。
本書を読むと人間の両面性を見るような気持ちになる。
ひとを無慈悲に窮地へと陥れることも人間なら、藻掻くひとを助けたいと思えるのも、また人間なのである。