外岡秀俊のレビュー一覧
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文章術の本は、何十冊と読んできた。
それらはいくつかの視点で分類できる。
1.著者の職業(作家/学者・講師/新聞記者/ライター)
2.難易度(初級者向け/中級者向け/上級者向け)
3.例文の形式(添削型/正誤創作型/手本型)
ほかの視点でも分類できるが、煩雑になるのでここでは3つにしておく。
本書をこの分類に当てはめると、次のようになる。
1.著者の職業:元朝日新聞の新聞記者
2.難易度:初級者向け
3.例文の形式:添削型
少し補足しよう。
著者の職業は元朝日新聞の新聞記者である。現役OBを問わず、新聞記者が書いた文章術の本は多い。新聞社は朝日新聞が一番多く、読売新聞がそれに続く。朝日新聞の記者は例文に思想が強く出ていることが多い。本書もその傾向がある。
難易度は初級者向けに当たる。本書で紹介している「65のコツ」のうち、基礎編が全体の約7割を占めていることからもそれがわかる。具体的な数字は、基礎編が47。応用編が16。実践編が2となっている。
形式は、一般人から集めた400字のエッセイに、著者が添削して、ポイントを説明するというものである。著者が、ダメな見本と良い見本を創作する形式より実践的ではある。だが、直せるのは表現と順番に限られる。文章は、どう書くかより、何を書くかのほうが重要だ。投稿文に書かれていない部分は知りえないのが弱点である。
ここまで読めば、本書の概要は把握できている。このあとは、評者が気になった点を2つ挙げたい。
1.レイアウトや流れについて
レイアウトは、見出しがあり、投稿文、添削文、それからポイントの説明という配置になっている。この流れは、少し読みにくい。文章のどこに注目して読めばいいのか、手掛かりは見出ししかないからだ。見出しの後は、少し説明をしてから、例文と添削文を載せる。そして、詳しい説明をした方が改善ポイントが理解しやすくなる。
2.応用編は物足りない
基礎編に分量を割いているためもあるが、応用編は物足りなさを感じた。
一例として、応用編の「文章の結び方」と題した項の説明を下記に引用する。
「余韻が残る結び」を書くには、どうしたらよいのでしょう。(中略)「この発見」や「この感動」をストレートに書くのでは、他人には伝えられません。自分が体験したことを「場面」で描き、淡々と客観的に描写することで、はじめて人にも受け入れられる文章になります。(p212)
ポイントはこれだけである。広がりや深さが足りない。ほかの方法も見たかったし、もっと掘り下げても欲しいところである。
読者の向き不向きについては、すでに初級者向けと書いた。もう少しだけ具体的に書いておこう。
基礎ができていないと感じている人にはお勧めだ。文章は学んできたが、基礎がおろそかになっていないか確認したいという人にも合いそうである。一方、基礎は十分できているという人は、物足りなりなく感じる可能性は高い。
補足:バリエーションついて。
本書は、A5サイズの単行本、『「伝わる文章」が書ける作文の技術 名文記者が教える65のコツ』 (2012年、朝日新聞出版)である。
本書に加筆修正をした文庫版が出ている。タイトルは、『おとなの作文教室 「伝わる文章」が書ける66のコツ』 (2018年、朝日文庫)。文庫本は、コツが一つ増えて「66」になっている。それは、実践編の最後に、「学生に学ぶ」が加わったからだ。
単行本、文庫本、どちらを選んでも内容はさほど違わない。投稿文と添削文を見比べやすいのは、A5サイズの単行本である。持ち運びやすいのは文庫本。お好きな方をどうぞ。 -
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インターネット,新聞,本など現在さまざまなメディアから情報を得ることができ,自分にとって必要な情報を取捨選択しなければ情報の大波に確実に飲み込まれてしまう今日において,その多大な情報をいかにさばくかは重要である.
自分は大学院での研究生活の中で上記のようなメディアの他,研究分野に関する論文や教科書,また就職活動をするにあたってリクナビやマイナビのような就職サイトから怒涛のように送られてくるメールや企業研究のために訪れる企業サイトでの情報など様々な種類の情報を得て,自分の中で処理する日々が続いている.
小中高校・大学学部時代までとは比べ物にならない量の情報にさらされ,それらをどう処理すべきか.
新聞記者がそれらをどのように処理しているのかを知ることができ,また自分の今までのやり方を見直し改善するのに役立つと思った. -
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2021年の中高生が「10年前」に起こった東日本大震災を学ぶ本となるよう心がけて書いたという。
インターネット上の文章、新聞、雑誌、書籍、このうちどれが2021年頃の人々にとって的確な記録として残っているだろうか。新聞社にいた著者は「書籍の力」を信じたと思われる。地震災害が起こってまもない頃から、2011年末にかけて何度も丹念に現地を見て写真を撮り、人々に話を聞いてまとめた2012年現在の記録としては価値がある。
福島県大熊町の「双葉病院」での患者置き去り報道の顛末と真相を丁寧に取材しているのは評価したい。
東北地方太平洋岸一帯に甚大な被害をもたらした大津波の被害とその後、福島第一原子力発電所、そして、大事故の影に隠れたほかの原子力発電所での綱渡りの様子や、福島県一帯から広く川や海まで飛び散った放射性物質。その実態と復旧に向けての人々の努力と見通しを冷静に書き綴ったことは、後年、貴重な資料になると思われる。予断なく、感情が入っていない書きぶりも、信頼できる。 -
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ネタバレ新聞記者が描いた情報のさばき方についての本。
まさに情報をさばく仕事の新聞記者であるがゆえに考え方テクニックなど参考になる部分も多いと思う。
基本原則一 情報力の基本はインデックス情報である。
基本原則二 次②重要な情報力の基本は自分の位置情報である。基本原則三 膨大な情報を管理するコツは情報管理の方法をできるだけ簡単にすること
基本原則四 情報は現場や現物にあたり、判断にあたっては常に現場におろして考える
基本原則五 情報発信者の意図やメディアのからくりを知り、偏りを取り除く
・大きなニュースには多くの場合かすかな予兆がある。不確定要素をどこまで神輿、見切るのかが職人の技量
・断片情報を積み重ねて中枢へ。持っている情報が深い人ほど話したがらない。しかし、断片的な情報を積み重ねて、ある程度知っていることを出すと、そこまで知っているのかと話してくれるようになる。人は聞き手がしている程度に応じて話をする。
・位置情報に敏感になること。人事なら人事情報、経理なら予算情報、事務なら端緒情報を知っているかもしれない。
情報はあがっていけば上がっていくほど、分析・加工され集約された情報になる。しかし現場ではより正確で豊かな情報が敏感に転がっている。
・一次情報にあたること。伝聞や報道をもとにすぐに対応を決めるのでなく、直に関係者や資料の現物にあたって事実関係を確認する。
・文章の工夫
文章の要約を冒頭に書く
文書は複文を少なくし、センテンスはできるだけ短くする
文章の中に多くの数字を詰め込まない。
数字はできるだけ文章で説明する。
必要な数字は図表化するなどして文章外に押し出し、簡略化する。
結論は冒頭の要約と合致する内容にする -
Posted by ブクログ
エッセンスは以下のとおり。
新聞では既に知っている知識7割、ニュースを3割で書く。なぜなら、記者は当たり前と思っても読者が判らず、かといって、専門家からはモノ足りずなのでこの程度。
情報は「どこに、どんな資料がある」というインデックスを整理する。
得た情報はそのまま受け止めるのではなく、情報源がどういう思想、立場なのかというバイアスを知った上で、情報を判断せよ。
人は情報をある程度、情報を知っている人でないと話さない。
周りの人から聞き込み、ある程度情報を得た上で本人に聞くべき。
情報は現場にあり。判断に当たっては常に現場におろしている。
軍事は「地理と歴史」がポイント。各地方を知るのも同じだ。
取材後すぐにメモを整理せよ。
打ち合わせ前に聞きたいポイントを書け。
発言間もは発言だけではなく、様子も書く。
人は聞き手が知っている程度に応じて話す。
事前に質問事項提出させられる場合、相手がいやがるような質問は抽象的に書いておく。
相手と打ち合わせるとき、冒頭「○分の時間をいただくが良いか」と確認しておく。
異なる人に同じテーマで質問するとき、「Aさんはこう言ったがどう思うか」と質問し、掘り下げていく。
写真撮るときは「高いところに上り、または、しゃがめ」人とは違う視点で撮ることが大事だということ。
取材に行く前に仮説を立てる。そして実際に見る状況とのギャップを知る。
尋問原則、①被疑者を隔離する、②同じ質問を何度も繰り返し、矛盾がないか確認する。
物事を予測する癖を身につける。ちょっとした出来事から、この情報提供者の意図は何か、を考えよ。
状況が良くわからなくても、とりあえず上司に第一報を。 -
Posted by ブクログ
<本文より>
「情報は、ある程度知っている人間にしか話さないものなんだ」と先輩はいいます。他の人が知らない情報を知っている場合、人にはだれかに話したいという欲求がある。しかし、まったく相手が知らなければ、警戒心が先に立つ。断片的にでも相手が知っていれば、「その真相は実はこうなんだ」と教えてくれるものだ、というのです。では、どうやって断片的な情報を得るのか。
どのような組織も、同じような人間の集団である。まず誰が、どのような分野で、どこまでの権限を持ち、責任を負うのかが組織上、明確になっている。
先輩の助言とは、人が持っている情報には深浅があり、深い人ほど話したがらないというものでした。そこで、何人もの人が持っている断片的な情報を積み重ね、次第に情報中枢へと迫っていく手法が必要となる。
自分の「位置情報」に敏感であれば、どこでどんな情報をつかむのかが見えてくる。