リディア・デイヴィスのレビュー一覧
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一行で終わる小説を含む、ブラックジョークと妄想力に溢れた短篇集。
小川洋子の『原稿零枚日記』みたいな小説を読みたくて、久しぶりにリディア・デイヴィスを手に取った。『原稿零枚日記』は根暗の奇行と妄想が炸裂して岸本佐知子のエッセイを思わせるのだが、岸本さんの訳業のなかでも特に岸本エッセイに近しい世界...続きを読むPosted by ブクログ -
狐に摘まれたようなとはこの読後感にピッタリの感想だろう。物語があるわけではないが、作品ごとに読者である私が受け取り紡ぐ、あるいは想起される出来事が不思議と湧き起こる。ここまで読者に意図的に委ねられている小説は初めて出会ったと思う。
特に今の自分に印象深いのは、「肉と夫」の夫への諦観と突き放し、「私...続きを読むPosted by ブクログ -
トゥーサンが好きなら好き、と誰かが書いていたが本当にそう。奇妙で大好き。
全ての失恋した人に渡したいし、彼女のような目線で世界をみたい。というか、この本を読むと主人公の目線で世界をみている。本のインパクトの強さよ。Posted by ブクログ -
普段、心の奥底に潜んでいる悲しい事忘れてしまったはずの傷ついた出来事いつもはりついているような不安。大人になったら自信を持って生きていけると思ったのに、何処かに子供の頃と変わらない臆病な柔らかい部分をひらりと描いてくれた。その高い知性と明晰な言葉でひらりとすくいあげてくれた。大切な作家、大切な一冊に...続きを読むPosted by ブクログ
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そっけなかったり、非常に客観的なのだけれど、静かに揺さぶってくる感じ。1ページだけの非常に短いエッセイも多いのだけれど、わたしはそれが特に好きです。Posted by ブクログ
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リズム、ユーモア、奇妙な感触、イタチゴッコの様な可笑しな文章…。
ほぉと唸ってクスッと笑って、時折フワリと感覚に訴えかけてくる、
そんな著書にすっかりヤラレてしまいました。
『私が興味をもつのは、つねに出来事よりも、
その裏で人間が何を考え、どう意識が動くか、そのプロセスなのです。
出来事は、それ...続きを読むPosted by ブクログ -
ほんの数行、数ページの短編や旅行記のようなものが51編詰まった本。
リズムがすごく心地よい。アフォリズムも好み。
小説は、伝わるならばなるべく短いほうが良いと思っているので、すごく気持ちよく読めた。
ポールオースターと過ごした日々についての短編も入ってます。
ポールオースターも同じエピソードを...続きを読むPosted by ブクログ -
数行のお話から数十ページのお話まであり、内容も寓話あり紀行文あり何でもありの、とても幅広い一冊。主観的な描写があまりないうえに世界観も抽象的で、どう感想を言えばいいのか分からないほどの掴み所のなさだけど、それだけに引き込まれた。Posted by ブクログ
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ち、ちょっと手に余るって言うか…手に負えません。
リディア・デイヴィスの頭の中を覗き見ようと、気合いを入れようと、逆に流して読んでみようと、やっぱり理解できないんだから。いや、理解しようなんて考えるほうが間違いだったのかも!センス・オブ・ワンダーの範疇なのかも、ちょっと分からない。でも、分かりづらい...続きを読むPosted by ブクログ -
いろいろな感情や状況や設定を煮詰めて書いている作品。
とても短い話(三行のものもある)ばかりだけれど、おもしろい。短い言葉だけれど、的確に伝えてきてくる。Posted by ブクログ -
確かに禅問答のような、詩のような。不思議な感覚になる。
今のところ中でも、「大学教師」という話は意外に!うなずけた。
女がカウボーイと結婚したいと思い込む。ほぼ話はカウボーイと結婚したらという妄想で続く。カウボーイと結婚して暮らしたらきっと馬具に油を塗ったり、素朴な料理を作るのだろう・・・・と。で...続きを読むPosted by ブクログ -
内容とは関係ないのだが、作者とポール・オースターとのご子息のダニエル・オースターに関するNYTの記事が悲しくて。本書を読みかけで記事を読んで、まだ本に戻ると、見る目が変わってしまう。Posted by ブクログ