JTグループは、2014年12月期の連結売上2.43兆円。営業利益は6,600億円。利益の2/3は海外たばこ事業。
人材面で貧者の戦略として時間を買うM&A、究極の経験者採用であるM&Aに取り組んだ。
買収の成功とは統合の成功。統合の成功とは、所期の買収目的を果たし、支払った買収プレミア
...続きを読むムを超えるシナジーを産み出す事が出来る事。
自律成長の勢いなくして買収の成功はない。
本社をジュネーブにする理由は、多様性に富む有為の人材を引きつける為。JT本体はガバナンスに特化。適切なガバナンスを前提とした任せる経営に取り組んでいる。
日本人が成長するスピードが、企業グループの成長スピードを決める律速にはできない。
子会社といえども価値規範やルールによるガバナンスであるべき。
顧客、株主、社員、社会の四者の満足度を高めていく4S(Satisfaction)モデル。
品質にこだわる。
中長期視点を大切にしながら短期の成果もしっかりと出す。
謙虚さ、真摯さを持ってビジネスにあたる。
責任権限のルールを買収会社と被買収会社間で明確にするベストタイミングは買収完了時。このタイミングを逃すと、後日合理的に導入するタイミングを見出す事はとても困難。
徹底した経営の見える化。電子意思決定システムの活用により、意思決定の透明性を確保する。
経営判断に資する同レベルの情報を共有する事。
PDCAサイクルを年7回の業績管理委員会でまわす。
P75のグローバル報酬ポリシー。同一職務でベンチマークしている企業群の報酬水準分布において、上位25%の数字を算定する。
一定役職以上のボーナスは、個人評価を加味せず、会社評価のKPIで決める。
多様な良材を確保する為、競争力ある処遇を目指し、人材開発にも注力する。管理職は多様性ある社員をリードするソフトスキル、一般社員は多様性の中で仕事をするのに必要なハードスキルに重点を置く。
研修には渇望感を持って参加させる。「気づきの場」にはさせない。
スピードを重視し、成果が出そうであれば見切り発車し、細部については走りながら詰める。成果に執着する。
Productive tension(風通しの良さ)。
ガバナンス目的や研修等の例外を除き、JT本体からの人材を特別扱いしない。
欧米流に戦略フレームワークを設定し、その範囲内で各国ヘッドにオペレーションを任せる。
日本企業のベストプラクティスの共有は、それぞれの国が自発的に行うようにリードする。
マトリクス組織を採用。レポートラインの輻輳の弱点を補うため、役員には高レベルのクロスファンクショナル協業と、レポートラインでの強いリーダーシップの両立が求められる。
会議では、多様な知恵を結集する為に、誰かが発言している時には割り込まない。
株式会社の所有者は形式上は株主だが、存在意義は、ステークホルダーの為。
市井の年金資金を守る為に、上場企業は長期にわたり継続的に株主価値を増大していく責務を負っている。上場企業が資本の論理と別世界に住む事はできない。資本の論理と資本の暴力は峻別して考える。
KPIは、EBITDAとグローバルフラッグシップブランド(GFB)を設定。
買収完了は、買収会社と被買収会社がもっとも脆弱になる時期の始まり。
買収対象となる企業が四半期毎の決算を発表するたびに、それぞれの時点で「もし我々が買収したらどのような事業体になるか?どんなシナジーが出るか?」を常にシミュレーションする。
買収検討、交渉の要点は、
1.買収目的の明確化
2.対象企業の選択
3.統合を見据えた企業価値評価=買収後経営の青写真に基づく企業価値算定
4.対象企業取締役会の重要関心毎の洞察
5.適切なアドバイザーの活用による買収諸課題の解決
6.買収を巡る他社の動きのインテリジェンス
撤退判断基軸
1.買収目的が果たせるか否か?
2.買収の為に支払うプレミアムを超えるシナジーを実現できるか否か?
対象企業スクリーニング基準
1.ブランドと市場の補完性
2.経済合理性を全う出来る蓋然性
3.買収後の円滑な統合実施の蓋然性
ギャラハー買収の目的
1.規模の拡大によるスケールメリットの享受
2.両社の補完性を活かした競争力強化
3.技術、インフラ強化
4.有為の人材の獲得
買収後経営の青写真
各国市場での本社はどこに置くか?
ブランド配置はどうするか?
営業員や間接人員はどの程度の数か?
工場の統廃合
等を中核市場全てで行う。
交渉で一番怖いのはピアプレッシャー。予め授権をもらっておく事。
買収価格は、買収を受託しないで自律的に達成できる企業価値との比較で決まるので、資本の論理で折り合う。
英国上場企業の取締役会の二大関心事は、買収価格とディールが成就するかの見極め。
DDのスコープと深さそのものが交渉対象になる。
株価に影響ある重要情報は開示されているので、DDはリスク評価目的に限定される。
被買収企業の人材の分類
第一類、、買収後も残ってもらう人材。
第二類、、一定期間残り、統合作業にあたる人材。統合が終了した際には、Completion bonusを払う。
第三類、、買収後辞めてもらう人材。納得感のある退職パッケージを用意する。
買収には年金数理人をメンバーに加える事。
社内コミュニケーションは人の不安な気持ちを鎮め、当事者意識を鼓舞させる重要な役割を果たす。
統合の10原則
1.one company one management.
2.Fair and equal treatment of all employee, irrespective of company of origin.
3.Speed in decision making is critical – 80/20 rule.
律速になっているものを早く決めないと、100日間で統合計画は作れない。100%の確信が持てるには半年一年かかるが、80%の確信は1週間でできる。物事を迅速に推し進めるメリットは20%の確率での間違いを考慮しても余りある。
4. Keep it simple.
一言で言ったら何?
5.Plan delivery is our #1 priority.
年度計画の達成が最優先。
6.Strictry minimize disruptions to existing business.
7.Capture synergies in a disciplined and manner.
体系的なシナジーの捕捉。
8.Separete organization for integration management but all excom members accountable to deliver results.
9.In-house management.
社内資源での統合完遂
10.Integration plan will be finalized in the first 100 days after closing.
10原則の三要素
1.一貫した人的側面重視
2.顧客や競争から目を離さない事業遂行
3.一人一人が当事者である事を鼓舞する
統合の為のイントラサイトは、買収完了と同時に両社の社員がアクセスできるようにする。内容は、買収の意義、統合進捗、その他FAQ。
買収の成功は、所期の買収目的を達成し、統合を成功させ、支払い買収プレミアムを上回るシナジーをあげる事。
買収後経営の青写真を作成した事により可能となった事。
1.制度の高い相手先の価値、シナジー価値の算定と統合課題の発掘。
2.DD、交渉、競争法上の対処における、課題となる事象や項目の企業価値への影響度の迅速な判断。
3.瑕疵が起きにくい買収意思決定資料作成と、JTからJTIへの大幅な権限委譲。
4.統合計画のたたき台として活用し、早期に統合計画を作成。
財務企画部のミッション
1.事業ポートフォリオに応じた最適資本コストを実現すべく、資本政策等の財務戦略を企画立案、実行管理する。
2. 経営・事業ビジョンを定量的な目標に置き換え、その進捗とリスクを管理すると共に、実行を後押しする仕組み(責任権限、インセンティブ制度)を設計する。
3.適切な税務会計により税務リスクを低減し、企業価値の増大に寄与する。
4.経営ニーズ・事業ニーズを先取りし、エンプロイアビリティある財務パーソンを育成、獲得する。
財務企画部の機能
1.会社資本政策の立案能力
資本市場での競争力、ブランド力を資本政策面から向上させる為に、財務レバレッジのあり方、配当・自己株取得等株主への還元政策、株式分割施策検討。同時に、将来の大規模なM&Aや資金需用に備えた借入余力をBDとタイアップしながら定期的にアップデートする。
2.財務機能としての企画
外部環境変化やビジネスニーズに基づき、財務機能全体の課題を常に発掘する。グループ内資金の集中や資金調達能力の強化、財務リスク(金利、為替、カウンターパーティ等の与信、流動性)のコントロール強化。
3.経営管理の強化
中計、事業計画の策定とその進捗モニタリング。事業進捗に応じた責任権限設計と事業評価、インセンティブ設計、連結財務見込みの作成、経理規定の改廃、決算方針作成。人事制度変更による財務への影響検討。
4.クロスボーダー税務機能
移転価値税制やCFCルール(タックスヘイブン対策税制)への対処。
5.人材マネジメント
財務人材のサクセッションプランニング。
自らの将来は自らが拓く。
有事は集中。
CFOには、経営者、CEOの財務面でのブレーン、資本市場や金融市場への大使、財務機能のリーダーという複数の顔がある。
CFOのミッション
1.価値創造のナビゲーターである事
2.財務機能を駆使し、自ら価値創造する事
3.ファイナンシングを意識し、対話を通じ資本市場と良好な関係を構築、維持する事。ビジネス言語への翻訳能力。
4.世界に通用する財務人材の育成、獲得
CFOはチェンジリーダー
個々の仕事の殆どは何か上位の目的を達成する手段に過ぎない。自分の仕事を墨守しない事。
似非職人とは、自らの技を他人に伝承しない事を自分のステイタスとして利用し、一見職人気質に見える仕事をする人間。
元気で高いスキルを持つ個が、部門横断的に恊働し、より高い成果を追求する組織。一人一人の演奏家がプロである一流のオーケストラが、演奏家個人ではできないシンフォニーを仲間と恊働して演奏する事。
「対話」は互いに異なる価値観の人の間で、異文化を説明し合うコミュニケーション。対話型社会は、互いを理解する努力により、違いを超えた高みに至る喜びを感じ合う社会。
議論は一人称で。評論家はいらない。
対話を通して互いを知り合う事で、生煮えアイデアでも気楽に相談できる関係を創る事。
モチベーション向上の実施案
・会社や組織が向かっている方向性共有の深化(管理職が自分の言葉で語る)
・フェイストゥフェイスやバーチャル双方での交流の増加
・業務連携を取りやすくするレイアウト変更
・納涼会、決算の打ち上げ等ご苦労さん会
・個々人が10年後どうなりたいかを考え、その実現の為に必要となる三年計画と、明日からのアクションプランを記述するMy plan V。
・個々人のキャリアデベロップメントプランの精錬化とスキルアップメニューの充実。
・継続的な改善エンジン定着に向けた改善提案制度
・テーマを月毎に設定した表彰。(良い挨拶をする人、電話の取り次ぎがすばらし人等)
モチベーション向上策5点の要約
1.ビッグピクチャーを共有し、個々人の仕事がそれにどう貢献するのかを説明する事。
2.対話型コミュニケーションの充実。
3.個々人がその将来をしっかり考え、その実現を会社がサポートする
4.褒め合う文化の醸成
5.継続的な改善
関心なくして敬意なし、敬意なくして信頼なし、信頼なくして恊働なし。
いまやらねばいつできる。わしがやらねれば誰がやる。ー平櫛田中