藤井悦子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
幾つかの国では「国語の創造に寄与」というような次元で広く敬愛される詩人というような例が在ると思う。ウクライナに在ってタラス・フルィホーロヴィチ・シェフチェンコ(1814‐1861)は、そういう大きな存在感を放つ詩人ということになるのだという。
本書は、シェフチェンコの詩集として知られる『三年』に収められている22篇から10篇を択んで訳出し、解説も添えて紹介しているものである。
読んでみた作品そのものは、歴史として伝えられていること、半ば歴史のような物語として言い伝えられていることというような事柄に題材を求めたと見受けられる内容、加えて詩人自身の暮らしや人生の中での想いが吐露された内容である。
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Posted by ブクログ
タラス・シェフチェンコは帝政ロシア時代のウクライナ生まれ
農奴の両親を早くに亡くした彼は
奉公先で出会った人々に芸術の才能を見出され、自由民となる
勉学の道に入り
画業と詩作を並行して行った
彼の書いた詩は大半がウクライナ語で
それが後世、ウクライナ・ナショナリズムの骨子となった
つまり民族とは
言語に基づいたアイデンティティなのである
そしてそれゆえ、ロシアの文化人からは危険視されていた
帝国主義の時代における話だが
それは今でいうところの「分断」を煽るものにほかならないからだ
ウクライナは黒海とアゾフ海に面しており
スキタイの時代から交通の要所である
ロシア、ポーランド、リトアニア
あと