香月孝史のレビュー一覧

  • 乃木坂46のドラマトゥルギー 演じる身体/フィクション/静かな成熟

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    これまで「推す」ということがなかった自分が乃木坂にハマって、
    なぜ自分はアイドルに惹かれるんだろうと知りたくなって読み始めた。
    乃木坂がAKBと比べてある意味AKBへのアンチテーゼであることがなるほどと思った。
    AKBは、「会いに行けるアイドル」で物理的に近かったけど、乃木坂は心理的に近い感じがする。
    「私たちと一緒だ(等身大)」と思えるのが乃木坂の魅力なのかなと思った。

    アイドル論についてさらに知りたくなるきっかけになった。
    使っている言葉は難しくてついていくのに必死だったけど、勉強になった。

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    2024年01月01日
  • 乃木坂46のドラマトゥルギー 演じる身体/フィクション/静かな成熟

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    乃木坂46は本書でも触れられているAKB48との(一種の)混同や世間の秋元康アレルギーもあって精度の高い批評を受ける機会が限られてきたグループだと思う。要は女性アイドル史における転換点でありながら、その事に気付かれてすらいない。その点において非常に貴重かつ有益な論考が記された一冊。乃木坂46に限らないアイドル論としても読むことが出来、特にジェンダー論やエイジズムに足を踏み入れる第6章が興味深かった。

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    2020年09月20日
  • 「アイドル」の読み方 混乱する「語り」を問う

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    昨今、熱狂の渦の中心とも、批判の対象ともなることも言及されることが多くなった「アイドル」。アイドルについてされがちな言説についての交通整理を行い、それぞれの言説をフラットな立ち位置に立たせ、「アイドル」(特に女性アイドル)の現状を冷静に見ることができるようになれる本。

    「アイドルの歴史はこうだった」とか「アイドルはこういう解釈だ」「アイドルとはこういうものだ」という本や文章は多いけれども、それらの言説を整理するという意味では、この本はアイドルについての論壇の中で非常にレアであり、かつ重要な位置づけができるはず。

    ただ、香月さんのように非常に丁寧な交通整理をもってしても、いやむしろ丁寧な手法

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    2014年04月18日
  • 「アイドル」の読み方 混乱する「語り」を問う

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    「『アイドル』自体が日本の社会のなかで、一見非常にわかりやすそうで、実際にはものすごくつかみどころがない言葉なのだ。アイドルについて語るとき、我々はアイドルとは何なのか、あまりわかっていない。」(「あとがき」より)

    アイドルと言われてそれぞれの人が頭に思い浮かべるイメージは大きく異なり、こうした認識の食い違いがアイドルに関する議論をややこしくしている。本書は女性アイドルを対象に、「アイドル」という言葉が意味するもの、アイドルの歴史とアイドル観の変遷、アイドルの音楽的特徴、SNS時代のアイドルとファンのコミュニケーションなどを眺めることによって、「アイドル」という言葉のわかりにくさを整理する。

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    2024年06月11日
  • アイドルについて葛藤しながら考えてみた ジェンダー/パーソナリティ/〈推し〉

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    アイドルというものを、ジェンダーやセクシュアリティという観点から語る論考集。アイドルを「疑似恋愛」の対象と見るのではなく、パフォーマンス重視で見ている自分としては、アイドルを見る切り口が違って違和感はあったが、どの論者もアイドルへの愛ゆえに葛藤しながら思考しているので、不快感はない。参考になる一書だった。

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    2022年12月22日
  • アイドルについて葛藤しながら考えてみた ジェンダー/パーソナリティ/〈推し〉

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    奇しくもAKB48岡田奈々が熱愛報道を受けて卒業を発表したり「推し疲れ」が話題になったりしているタイミングで読んだ。恋愛禁止という摩訶不思議な慣習から「推す」という行為が本質的に内包する暴力性、アイドルと性的消費など興味深い論考ばかり。ただし、タイトルに「葛藤」とあるようにいずれも何か明快な結論を提示するわけではない。アイドルファンである読者も一緒に考える。個人的にはアイドルを観る・推すということを賭博になぞらえて考察した第9章が目から鱗だった。参考文献の『賭博/偶然の哲学』も読んでみたい。

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    2022年11月29日
  • アイドルについて葛藤しながら考えてみた ジェンダー/パーソナリティ/〈推し〉

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    消費者が刺激に鈍くなり、より刺激なものを求めるほど、つくる側はそれを売る
    世界を変えるのは劇的な力を持ったスターではなく、そのスターを眼差すあなたです

    主体としての買う側の意識が変わらないと世界を変えることは難しいっていうの超納得〜
    何回も読み直してアイドルの良さ良くなさと向き合いながら“推し”ていきたいと思う 良くない面に勝手に押しつぶされない!


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    2022年10月05日
  • アイドルについて葛藤しながら考えてみた ジェンダー/パーソナリティ/〈推し〉

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    恋愛禁止、卒業制度、SNS、推し活、フェミニズム、ジェンダー等、アイドルというジャンルをめぐる問題やアイドルを鑑賞する際に感じる迷いや葛藤について、9人の論者がそれぞれの観点から論じている。さまざまな問題が複雑にからまったアイドルを論じる上での問題を提起をする。

    とくに印象的だったのは最後の章で、予想通りにいかない不確実性をはらむという点でアイドル鑑賞と賭博の類似しているというのは新鮮だった。

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    2024年06月03日
  • アイドルについて葛藤しながら考えてみた ジェンダー/パーソナリティ/〈推し〉

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    葛藤しながら〜とあるので明確な解はない。多面的に考えているということそれ自体が未来へ繋がればいいし、人文学系の学生には考えるヒントになるだろう。第3章ハロプロが女の人生を救うは面白かった。ハロプロの逸脱した曲展開は女の子そのものなんだね。男性の一人称=僕で描かれた物語は確かに記号的だ。
    余談だが指原莉乃プロデュースのアイドル(=LOVE、≠ME、≒JOY)にはまっていて、彼女が綴る一人称=私の世界観は面白いので何かの機会があれば是非。

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    2022年08月16日
  • 「アイドル」の読み方 混乱する「語り」を問う

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    現代の日本においてさまざまな人びとによって語られる「アイドル」ですが、著者はそれらの言説は錯綜しており、アイドル・ファンや批評家たちにとってもわかりにくくなってしまっているといいます。本書は、そうした錯綜するアイドルにまつわる言説を解きほぐし、交通整理を試みた本です。

    著者はまず、「アイドル」ということばがどのように理解されてきたのかを明らかにします。そのうえで、「アイドル」についての一定の理解が成立するに至ると、そうした「アイドル」へのメタ言及的な批評性をそなえたアイドルたちが登場するようになります。秋元康が作詞を担当した小泉今日子の「なんてったってアイドル」はその典型であり、やはり秋元が

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    2018年12月12日
  • 「アイドル」の読み方 混乱する「語り」を問う

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     アイドルという言葉の意味から出発し、アイドル戦国時代といわれる今の「アイドルらしさ」とは何かについて、握手会や音楽性、SNSなどを通して論じた本。70年代から現在に至るまで、アイドルを取り巻く状況は大きく変わってきているにも関わらず、アイドルに操り人形性を求めるステレオタイプのアイドル観は消えない。だからこそ「アイドルらしからぬ」アイドルであることを売りにすることも可能である。あえてステレオタイプを演じるアイドルや、あえて邪道に走るアイドルがいて、多様性溢れる今のアイドルというジャンルが私は好き。

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    2015年12月16日