赤江瀑のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
改めて見たら「恐怖編」だったんですね。怖くない……。いや、昔は怖かったんですが、年齢のせいか怖くなくなってきた……。本当の恐怖は人間の心理の奥底にある、というわけですが、そりゃそうだろうと思っちゃうんですよ。そんな即物的な内容じゃないけど。再読すると思わせ振りな感じが……。いや、面白いんだけど……。感想が妙に曖昧になる……。たぶん読み返す度に印象が変わるんでしょうね。「宵宮の変」だって以前読んだ時は理解できたんですよ。しかし読み返したら、中二病かよ!と言いたくなった……。今、私の気持ちのベクトルが耽美方面に向いてないんでしょう。向くと嵌まるんです。ずっと好きな作家さんだから。
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Posted by ブクログ
そう言えば未読だったなぁ……と、ふとタイトルを思い出し、古本屋さんで購入。
赤江さんの本は短編選集だったら多分新品で入手可能なはずだけど、
読みたい作品が入っていたりいなかったりするので、
またしても中古本に走ってしまうのだった。
表題作は諸星大二郎ファンなら「妖怪ハンター」シリーズ《水の巻》で
お馴染み「えびす信仰」をモチーフにした話。
漁の際に漂着物を拾うと大漁になるという「寄り神」信仰のある漁村で、
仮死状態で救われ、息を吹き返した男が、
客人(マレビト)として歓待されながら不吉な夢に魘されるようになる。
彼は単に「ありがたい」「おめでたい」存在なのではなく、
ひょっとして偽王(モックキ -
Posted by ブクログ
短編7編。
元々熱心な読者ではないが、何冊か読んだことがあって、
作風は知っているつもりだったけど、
この本はいい意味で意外性があって驚いた。
考えオチとでも言うか、読後「???」と思って、
ちょっと反芻して「あっ、そういうこと?」と、
納得するような、しないような(笑)
「悪戯みち」のみアンソロジーで既読、他はお初だったが、
やっぱり↑これ不気味~。
なす術もなく茫然とする語り手の情けない様子が目に浮かぶ。
特に面白かったのは「黒馬の翼に乗りて」。
伝書鳩の通信管に万葉の恋歌を忍ばせて
想いを伝えようとする高校生の話――なんだけど、
妙な行き違いが……(泣)
現代では、
こんな奥ゆかしくも物 -
Posted by ブクログ
情感あふれる文章が続く。静謐な世界が淡々と綴られていく。それなのに、そこで語られているのは凄絶なほどの情念の世界だ。一度この世界にはまると、中毒のような魅力がある。気がつくと引き込まれている。
詩情ある文章が好きで、情念の世界にはまりたい方にはかなりオススメ。 (2001-01-04)
[砂の眠り] 勝木。荒浜。柿崎。そして青海。新潟県の海岸線。海浜の一角にスナビキソウの群生地が根を下ろしている。可憐で楚々とした花が守り続ける眠りとは。
[金襴抄] 痴呆の息子をかかえたぬいが死の間際に知った真実。絢爛な能装束と女の情念の行末。
収録作品 [春泥歌] [砂の眠り] [春眠] [オオマツヨイク -
Posted by ブクログ
著者の1971年発表の処女短編集で、表題作や小節現代新人賞を受賞した「ニジンスキーの手」他計4編が収録されています。(なお角川文庫の「ニジンスキーの手」は題名は異なりますが同じ内容ですので、これから購入される方はご注意ください。)
収録作品はいずれも歌舞伎、バレエ、能といった世界を舞台に人間の狂気を官能的に描いており、独特な世界観を強く感じさせます。(同性愛ネタがやたら多いのがちょっと気になりましたが 笑)
どの作品も哀しくも美しい(ボキャブラリィが貧相ですいません。。。)結末が特に印象的ですが、個人的なベストは、一番映像的なイメージが鮮明であり、また登場人物の思いが切なく、自然と感情移入して -
Posted by ブクログ
著者デビュー作を含む短編集。
この本自体は初めて読んだが、
実は『ニジンスキーの手』(角川文庫)と内容(収録作)は同一だそうな。
道理で既視感が。
表題作は若き歌舞伎役者たちの狂おしい血のカノン。
芸事に一途にのめり込み過ぎる人と、
その求道者ぶりを「命を削ってしまいそうだ」と
不安げに見守る人との関係を描くことに力を入れている――ように思えるのだけど、
とにもかくにも、何かが過剰に迸る初期作品。
情念がギチギチでパッツンパッツンに怒張。
適当かどうかわからないけど、譬えるなら、枕に羽毛を詰めようとして、
程よいところでやめればフワッと仕上がるにもかかわらず、
ギュウギュウに充填してパンッパン