赤江瀑のレビュー一覧

  • 鬼恋童
    久々の再読。
    芸能あるいは工芸をモチーフにした耽美な短編5編。
    ところどころ、変に枝葉ばかり記憶に残っていて、
    肝心なストーリーを失念していた自分(泣)
    表題作は陶芸家と幻の茶碗の話。
    昔、初めて読んだときはボーッと読み過ごしてしまったのだが、
    実は収録作「阿修羅花伝」って「禽獣の門」の後日談だった...続きを読む
  • 舞え舞え断崖
    短編7編。
    元々熱心な読者ではないが、何冊か読んだことがあって、
    作風は知っているつもりだったけど、
    この本はいい意味で意外性があって驚いた。
    考えオチとでも言うか、読後「???」と思って、
    ちょっと反芻して「あっ、そういうこと?」と、
    納得するような、しないような(笑)
    「悪戯みち」のみアンソロジ...続きを読む
  • 春泥歌
    情感あふれる文章が続く。静謐な世界が淡々と綴られていく。それなのに、そこで語られているのは凄絶なほどの情念の世界だ。一度この世界にはまると、中毒のような魅力がある。気がつくと引き込まれている。
    詩情ある文章が好きで、情念の世界にはまりたい方にはかなりオススメ。 (2001-01-04)

    [砂の眠り...続きを読む
  • 獣林寺妖変
    赤江さんはこの頃が頃が一番好きです。
    耽美とはこういう物ですよ!というような内容と文体。
    この話に触発されて、大学時代に歌舞伎もの描いていた事を思い出しました。
  • アニマルの謝肉祭
    07/5/18
    20年前の作品ですが、今読んでも全然古くない。面白かったぁ。『ソロモン・グランディー これでおしまい』
  • 花曝れ首
    誰がどう否定しても言っちゃいます。

    この小説には匂いがあります。

    本を読んでいて初めて、嗅覚を刺激された本。いや、別にだから匂いの描写はないんだけどね。
  • 鬼恋童
    5つの短編に共通するのは、狂気とも言える執着心だ。
    執着の対象は、芸術品であったり、女性の毛髪であったりするのであるが、話は思わぬ方向へ。
    最初の2編は会話の京言葉の理解に神経が集中してしまった。
    後半の3編は面白い。
  • 海贄考(電子復刻版)
    死の気配が色濃くつきまとう、8編からなる短編集。
    たぶん、ずいぶん前に読んでいたと思われる。昨年連城三紀彦を再読していたら、古い耽美的な作品を振り返りたくなり、この作者のものを電子書籍でいくつか購入。登録用にはないので、文庫版を用いた。

    近頃は耽美と銘打っていても、うわべだけのチャラチャラしたもの...続きを読む
  • 獣林寺妖変
    著者の1971年発表の処女短編集で、表題作や小節現代新人賞を受賞した「ニジンスキーの手」他計4編が収録されています。(なお角川文庫の「ニジンスキーの手」は題名は異なりますが同じ内容ですので、これから購入される方はご注意ください。)
    収録作品はいずれも歌舞伎、バレエ、能といった世界を舞台に人間の狂気を...続きを読む
  • 八雲が殺した
    泉鏡花賞を受賞した表題作を含む短編全8編。
    小泉八雲が『新著聞集』の「茶店の水碗若年の面を現ず」を翻案して
    「茶わんのなか」を執筆した際、
    「何故か、ある部分が省かれたこと」を知った女性の内に芽生えた殺意。
    謎めいた発端から意表を突くオチへ――という話が揃っている。
    キャラクターのセリフも初期の激昂...続きを読む
  • 獣林寺妖変
    著者デビュー作を含む短編集。
    この本自体は初めて読んだが、
    実は『ニジンスキーの手』(角川文庫)と内容(収録作)は同一だそうな。
    道理で既視感が。
    表題作は若き歌舞伎役者たちの狂おしい血のカノン。
    芸事に一途にのめり込み過ぎる人と、
    その求道者ぶりを「命を削ってしまいそうだ」と
    不安げに見守る人との...続きを読む