赤江瀑のレビュー一覧

  • 灯籠爛死行

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    改めて見たら「恐怖編」だったんですね。怖くない……。いや、昔は怖かったんですが、年齢のせいか怖くなくなってきた……。本当の恐怖は人間の心理の奥底にある、というわけですが、そりゃそうだろうと思っちゃうんですよ。そんな即物的な内容じゃないけど。再読すると思わせ振りな感じが……。いや、面白いんだけど……。感想が妙に曖昧になる……。たぶん読み返す度に印象が変わるんでしょうね。「宵宮の変」だって以前読んだ時は理解できたんですよ。しかし読み返したら、中二病かよ!と言いたくなった……。今、私の気持ちのベクトルが耽美方面に向いてないんでしょう。向くと嵌まるんです。ずっと好きな作家さんだから。

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    2013年06月21日
  • 海贄考(電子復刻版)

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    そう言えば未読だったなぁ……と、ふとタイトルを思い出し、古本屋さんで購入。
    赤江さんの本は短編選集だったら多分新品で入手可能なはずだけど、
    読みたい作品が入っていたりいなかったりするので、
    またしても中古本に走ってしまうのだった。
    表題作は諸星大二郎ファンなら「妖怪ハンター」シリーズ《水の巻》で
    お馴染み「えびす信仰」をモチーフにした話。
    漁の際に漂着物を拾うと大漁になるという「寄り神」信仰のある漁村で、
    仮死状態で救われ、息を吹き返した男が、
    客人(マレビト)として歓待されながら不吉な夢に魘されるようになる。
    彼は単に「ありがたい」「おめでたい」存在なのではなく、
    ひょっとして偽王(モックキ

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    2013年05月09日
  • 鬼恋童

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    久々の再読。
    芸能あるいは工芸をモチーフにした耽美な短編5編。
    ところどころ、変に枝葉ばかり記憶に残っていて、
    肝心なストーリーを失念していた自分(泣)
    表題作は陶芸家と幻の茶碗の話。
    昔、初めて読んだときはボーッと読み過ごしてしまったのだが、
    実は収録作「阿修羅花伝」って「禽獣の門」の後日談だったのね。
    一連の事件を経て、素晴らしい舞台を務めた結果が巡り巡って……という(涙)
    で、怪談調ミステリ「闇絵黒髪」が今回は一番心に響きました。

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    2013年01月24日
  • 舞え舞え断崖

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    短編7編。
    元々熱心な読者ではないが、何冊か読んだことがあって、
    作風は知っているつもりだったけど、
    この本はいい意味で意外性があって驚いた。
    考えオチとでも言うか、読後「???」と思って、
    ちょっと反芻して「あっ、そういうこと?」と、
    納得するような、しないような(笑)
    「悪戯みち」のみアンソロジーで既読、他はお初だったが、
    やっぱり↑これ不気味~。
    なす術もなく茫然とする語り手の情けない様子が目に浮かぶ。
    特に面白かったのは「黒馬の翼に乗りて」。
    伝書鳩の通信管に万葉の恋歌を忍ばせて
    想いを伝えようとする高校生の話――なんだけど、
    妙な行き違いが……(泣)
    現代では、
    こんな奥ゆかしくも物

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    2012年09月05日
  • 春泥歌

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    情感あふれる文章が続く。静謐な世界が淡々と綴られていく。それなのに、そこで語られているのは凄絶なほどの情念の世界だ。一度この世界にはまると、中毒のような魅力がある。気がつくと引き込まれている。
    詩情ある文章が好きで、情念の世界にはまりたい方にはかなりオススメ。 (2001-01-04)

    [砂の眠り] 勝木。荒浜。柿崎。そして青海。新潟県の海岸線。海浜の一角にスナビキソウの群生地が根を下ろしている。可憐で楚々とした花が守り続ける眠りとは。
    [金襴抄] 痴呆の息子をかかえたぬいが死の間際に知った真実。絢爛な能装束と女の情念の行末。

    収録作品 [春泥歌] [砂の眠り] [春眠] [オオマツヨイク

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    2011年03月31日
  • 獣林寺妖変

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    赤江さんはこの頃が頃が一番好きです。
    耽美とはこういう物ですよ!というような内容と文体。
    この話に触発されて、大学時代に歌舞伎もの描いていた事を思い出しました。

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    2009年10月04日
  • アニマルの謝肉祭

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    07/5/18
    20年前の作品ですが、今読んでも全然古くない。面白かったぁ。『ソロモン・グランディー これでおしまい』

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    2009年10月07日
  • 花曝れ首

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    誰がどう否定しても言っちゃいます。

    この小説には匂いがあります。

    本を読んでいて初めて、嗅覚を刺激された本。いや、別にだから匂いの描写はないんだけどね。

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    2009年10月04日
  • 鬼恋童

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    5つの短編に共通するのは、狂気とも言える執着心だ。
    執着の対象は、芸術品であったり、女性の毛髪であったりするのであるが、話は思わぬ方向へ。
    最初の2編は会話の京言葉の理解に神経が集中してしまった。
    後半の3編は面白い。

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    2009年10月04日
  • 海贄考(電子復刻版)

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    死の気配が色濃くつきまとう、8編からなる短編集。
    たぶん、ずいぶん前に読んでいたと思われる。昨年連城三紀彦を再読していたら、古い耽美的な作品を振り返りたくなり、この作者のものを電子書籍でいくつか購入。登録用にはないので、文庫版を用いた。

    近頃は耽美と銘打っていても、うわべだけのチャラチャラしたものが多いが、赤江瀑は泥臭いものを描いても色気が漂っている。こういうのを書ける人、最近はいないのかなあ。

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    2016年05月17日
  • 獣林寺妖変

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    著者の1971年発表の処女短編集で、表題作や小節現代新人賞を受賞した「ニジンスキーの手」他計4編が収録されています。(なお角川文庫の「ニジンスキーの手」は題名は異なりますが同じ内容ですので、これから購入される方はご注意ください。)
    収録作品はいずれも歌舞伎、バレエ、能といった世界を舞台に人間の狂気を官能的に描いており、独特な世界観を強く感じさせます。(同性愛ネタがやたら多いのがちょっと気になりましたが 笑)
    どの作品も哀しくも美しい(ボキャブラリィが貧相ですいません。。。)結末が特に印象的ですが、個人的なベストは、一番映像的なイメージが鮮明であり、また登場人物の思いが切なく、自然と感情移入して

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    2014年11月05日
  • 八雲が殺した

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    泉鏡花賞を受賞した表題作を含む短編全8編。
    小泉八雲が『新著聞集』の「茶店の水碗若年の面を現ず」を翻案して
    「茶わんのなか」を執筆した際、
    「何故か、ある部分が省かれたこと」を知った女性の内に芽生えた殺意。
    謎めいた発端から意表を突くオチへ――という話が揃っている。
    キャラクターのセリフも初期の激昂調(笑)とは違って落ち着いているので、
    読みやすい。
    「ジュラ紀の波」の散弾銃ガールが憐れだなぁ……。

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    2013年01月12日
  • 獣林寺妖変

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    著者デビュー作を含む短編集。
    この本自体は初めて読んだが、
    実は『ニジンスキーの手』(角川文庫)と内容(収録作)は同一だそうな。
    道理で既視感が。
    表題作は若き歌舞伎役者たちの狂おしい血のカノン。
    芸事に一途にのめり込み過ぎる人と、
    その求道者ぶりを「命を削ってしまいそうだ」と
    不安げに見守る人との関係を描くことに力を入れている――ように思えるのだけど、
    とにもかくにも、何かが過剰に迸る初期作品。
    情念がギチギチでパッツンパッツンに怒張。
    適当かどうかわからないけど、譬えるなら、枕に羽毛を詰めようとして、
    程よいところでやめればフワッと仕上がるにもかかわらず、
    ギュウギュウに充填してパンッパン

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    2012年11月24日