ポール・ケインのレビュー一覧

  • 七つの裏切り

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    最初は削ぎ落とされた文体になかなか馴染めなかった。誰が悪役で誰が主役かも一読しただけではわからなかった。わからないなりにも、今まで読んだ作品には無いドライな雰囲気にはまってしまった。私的には「鳩の血」が好き。読み終えた後もモノクロの映像シーンが脳内で再生されている。

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    2023年03月18日
  • 七つの裏切り

    Posted by ブクログ

     『ブラック・マスク』という雑誌が、今の時代に、日本にあったら楽しいだろうなあ、とは、ハードボイルド・ファンにとって人生を通して心に浮かんできてやまない一つの叶わぬ夢である。かのハメットが、このパルプ・マガジンを足掛かりにサム・スペイドというキャラクターを作り出したのは有名な話。ハードボイルドの探偵役は、かくて汚れた街をゆく騎士と呼ばれるようになった。

     歓ぶべきことに、その『ブラックマスク』を抜け出して現代に蘇らせる邦訳が、ここに登場。本書のポール・ケインは、その文体でも内容でも、史上最もハードボイルドな作家として名を馳せている方であるらしい。巻末の木村仁良さん(翻訳の木村二郎さんと同じ人

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    2023年01月12日
  • 七つの裏切り

    Posted by ブクログ

    ここでのハードボイルドは、無駄をそぎ落とした簡潔表現をスタッカートで叩きつける、ハメット流の文体のことらしい。舞台は禁酒法時代のアメリカで、正体はよく分からないが、堅気ではなさそうな主人公がギャングや犯罪者たちのもめ事に巻き込まれるというのが基本のプロット。お話のスタイルからして、「非情な」結末を期待しがちだが、案外とハッピーエンドが多く、無駄な人死にもあまり出ない。肩透かしなどと言うのは筋違いで、こちらの思い込みの方がずれてるのだろう。なかなか愉しい。

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    2023年02月16日