佐賀旭のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
著者と世代感が全く同じなのでここまで自分と似た問題意識を抱え、そしてこれだけの行動を起こしている人がいることに驚いた。
全く同じ理由で連合赤軍や60年台の学生運動に惹かれ、なぜあのような結末に至ったのかということの咀嚼のできなさにずっと愕然としている。参考に挙げられている書籍はほぼ読んでいるし、若松孝二の映画も見た。永田洋子という人物について触れた記述の多さに対して、森恒夫という人間は一つは自死してしまったがゆえに「非人間的」なものとして描写されることが多いように思う。
でも、当たり前だけれども彼は同級生にとっては「あの」森くんなのだ。その事実に愕然とした。
何か新しいことが提示されたとも思わ -
Posted by ブクログ
ネタバレ1992年生まれの著者が50年前の連合赤軍のリーダー森恒夫を中心に取材し、考察する。
第1章中学校高校と同級生から人柄を聞く 在日朝鮮人差別、日韓条約の反対闘争で初逮捕 著者の日韓の歴史的国民的微妙な関係についてあまりに素朴なので驚く。
第2章北野高校で剣道部部長就任事情と頼りないリーダーシップを同部員が語る
第3章よど号ハイジャック事件で北朝鮮に渡った若林氏と70年代の政治闘争の取材。
第4章連合赤軍アジト榛名山現調
第5章植垣取材 赤軍派と革命左派の合流の主導権をめぐる心理的相克。
第6章総括連合赤軍の全体像を残す会雪野取材 印旛沼事件での二人殺害を端緒とする主導権争い
第7章森の自殺と -
Posted by ブクログ
2022年開高健ノンフィクション賞受賞作
著者は早稲田の院生時代に学生運動について研究していたというフリーランスの若手記者です。
著者は院生時代に連合赤軍のリーダーだった森恒夫が子供に宛てた思いのこもった手紙を読む機会があった。
いくつもの凄惨な事件を起こした凶悪犯罪者の一面と、手紙の内容とのギャップに森恒夫の生涯に興味を抱き調べることに。
どうして二十代の青年が暴力革命を志したのか、なぜ志しを共有した仲間を殺してしまったのか、さらにはなぜ公判で自らの信念を主張することもなく拘置所で自殺(73年元旦)してしまったのか。
そんな謎を解き明かすために、森の高校の同級生や北朝鮮に渡った大学時代の -
Posted by ブクログ
筆者の考察と文章がいまいち個人的にはハマらなかった。
テレビや新聞でよく使う言葉が並べられており、筆者の中にあるそれっぽい答えのために、繋ぎ合わせている印象、出したたとえもうまく噛み合っていないを持ってしまう。
しかしながら元メンバーの二人のインタビューはとても興味深い。漫画「レッド」における人物描写にとても深みを感じる相乗効果を感じた。インタビューはあまり多く考察をはさまずそのまま載せてくださっているため、逆に価値が高いものとなっていると感じた。
なぜ理想が現実を超えてしまったのか?のような質問があったと思う。その回答も興味深かったが、個人的には「実現しないから、理想を除いたら何も残らないか