塩瀬隆之のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ■読んだ動機
fukabori.fm の ポッドキャストで著者の方が出演されていて、その話から気になったので手に取った。
■感想
問いによって回答が変わる。良い問いを出すのが大事。良い問いのためには、良い課題設定も大事。良い課題設定とは何か、良い課題を立てるにはどうすると良いかというのが書かれており非常に良い本だった。
実践的に書かれていた。
■以下よかった文章
- ではなく、快適な移動の時間
- → AI時代に移動時の時間をどう快適にできるか?に変わっていった
- p. 22 「問い」は、思考と感情を刺激する。
- この本を手に取った理由は?
- この本を読み終える頃に得ていたいものは?
- 上記二つは似ているといだが、過去に向けた問いと未来に向けた問いという違いがあり、尋ねられた人の回答も変わる
- p.26 問いは集団のコミュニケーションを誘発する
- 討論: どちらの意見が正しいか決める
- 議論: 関係者の合意形成や意思決定をするための話し合い
- 対話: お互いの理解を深めたり、新たな意味づけを作り出す。勝ち負けはない
- 雑談: カジュアルであり、お互いの価値観まで踏み込まず、天気の話や挨拶など
- p.42 問いの定義:
- 人々が創造的対話を通して認識と関係性を編み出すための媒体
- p. 43 問いと発問と質問の違い
| | 問う側 | 問われる側 | 機能 |
| --- | --- | --- | --- |
| 質問 | 答えを知らない | 答えを知っている | 情報を引き出すトリガー |
| 発問 | 答えを知っている | 答えを知らない | 考えさせるためのトリガー |
| 問い | **答えを知らない** | 答えを知らない | 創造的対話を促すトリガー |
- p.43 発問は例えば容姿が生徒に向かって投げかける問い
- 事実発問: 教科書に直接書いてある内容を読み取らせる
- 例) 浦島太郎は竜宮城から何を持ち帰った?
- 推論発問: 教科書に書かれたことから、書かれていないことを推測させる
- 例 )玉手箱の中身はなんだったと思う?
- 評価発問: 生徒自身の意見や態度を答えさせる
- 例 ) あなただったら玉手箱を開けた?
- p.44 問いのデザインの手順
1. 課題のデザイン: 問題の本質を捉えて、解くべき課題を定める
1. 問題の背景を多角的に読み解いて、本質を捉えて「解決すべき課題」を正しく定義する
2. プロセスのデザイン: 問いを投げかけ、創造的対話を促進する
1. 1でやった課題を元に、課題の解決に迫る
- p.49 問題と課題の違い
- 問題: 何かしらの目標があり、それに対してどう気付けられているが、到達の方法や道筋がわからない、試みてもうまくいかない状況のこと
- 漠然とうまくいかない状況も問題として認識される
- **良定義問題**
- 問題の初期状態(スタート)と目標状態(ゴール)が決まっていて、到達のプロセスがはっきりしている問題は「**良定義問題**」と呼ばれる
- 例) 八角形の内角の和は?とか
- **難定義問題**
- 問題に対する回が二つ以上ある可能性があり、目標状態(ゴール)がはっきりしない場合、到達までのプロセスも特定できない問題は「**難定義問題**」と呼ばれる
- 例) どうすれば生徒の意欲を引き出せるか?
- p.58 課題とは、関係者の間で「解決すべきだ」と前向きに合意された問題のこと
- 例) 母親は、息子に遊びも勉強も高校生のうちにやるといいことをやってほしい。アルバイトなんて、大学生でもできるし、もらえるお金も高が知れている
- 息子は、成績悪いとお小遣い減らされるし、今回も成績良くなるの無理だから、効率良いアルバイト探して、お金稼ぎたい
- 2人に必要なのは、対話であり、2人の問題を解決する課題を設定すると良い
- p.59 課題設定の罠
1. **自分本位**: 関係者全員にとって建設的な課題になっていなかったり、解決する社会的意義が欠如していたりするパターン
1. AI時代にどうしたらカーナビが生き残れるか?
2. →社会にカーナビが必要なのか?
2. **自己目的化:** 最初は目的があって具体的なツールやソリューションを導入を検討したが、気付かないうちにそれが自己目的化してしまう
1. 例) アクティブラーニングを導入したいが、教員の意欲と技量が間に合わない。どうしたらアクティブラーニングの推進に協力的になるか?
2. → 流行っているから目的もなくどうぬうするってなると、「どうすればうまく導入できるか?」という視点で問題を捉えてしまう
3. ネガティブ・他責: 課題が後ろ向きになっているパターン
1. 例)どうすれば授業中の眠気に負けずに済むか?
2. → 学校の授業が楽しくなるために、どんな事前準備が有効か?
3. 問いは思考や感情を刺激するので、関係者の多くが「前向きに取り組みたい」と思える課題を設定することが重要
4. 「潰すべき組織の問題は何か?」「我々はこのままで良いだろうか?」よりも「この状況をチャンスにするには?」「乗り越えるにはどのようなコラボレーションが必要か?」と問うのでは、見方が変わる
5. 「どうすれば息子が勉強してくれるだろうか?」は他責だが、「家庭はどんな学習環境であるべきか?」という問いの方がクリエイティブになる
4. **優等生:** 解決する動機づけがされていなかったり、社会通念的に良しとされている前提だけだとうまくいかない
1. 例)「持続可能な社会をつくるにはどうすれば良い?」は創造的対話が深まらないことが多い。同じような優等生的な答えばかりになってしまう
2. → 持続的ではない社会とはどのような社会か?社会が持続的であるとはどういうことか?ポイ捨てをする人は、ゴミを捨てることで何を得ているのか?
5. 壮大: 企業や学校や地域に蔓延する問題は長い年月をかけた多様なステークホルダーがいる複雑な問題が多い。
1. 例)根本解決しようとすると、「100年後の人類を幸せにするプロダクトを作る」「教育システムを変革する」など問題サイズが大きくなりがい。
2. 課題が壮大すぎると、自分ごとになりにくく、具体的にどこから考えて何をアクションしたら良いかわからない
3. ただ目先の問題になって、視野狭窄になるよりはマシ
- p.65 問題を捉える思考法
1. 素朴思考: 問題に対峙してふと湧き上がった何気ない疑問を投げかけながら、問題の輪郭を掘り下げていく
1. これはなんだろう?どうしてだろう?のように、好奇心を持ちながら、理解を深める
2. 天邪鬼思考: 目の前の事象を批判的に疑い、捻くれた視点から物事を捉える
1. 例) 本当の競合はカーナビ会社じゃなくてスマホでは?
1. カーナビ不要なら無理に作らなくてもいいのでは。
2. アイデアを潰すような心無い一言を考えるとよい
3. 道具思考: 知識や概念、ルールなどの概念という道具を使って考える
4. 構造化思考: 問題状況を構成する要素を俯瞰い、構成要素同士の関係性について分析、整理し、問題を構造的の捉え直す
5. 哲学的思考:
1. 観光とは何か?と考えた観光の本質を考えた血k、あ異文化体験、非日常体験という答えに達して、各地域に根差したリゾート施設の展開というアイデアにつながった -
Posted by ブクログ
素晴らしすぎる!!アインシュタインが良い問いとはよい答えよりも重要であると言ったように、如何に良い問いを立てるかはどの時代において、最重要技法である。
そんな中、本書は類を見ないレベルでこの問いの立て方を整理してくれており、長年この分野で研究されているだけあるなー(上から目線)と感じた。特に基本性質にある問いは創造的対話のトリガーなるについて、答えを出すために問いを設定するのではなく、色んな意見を出し、そこから新たな問いを生むというループにハッとさせられた。
今までは自分の答えに無意識に寄せようとするクセがあったが、答えのない問いに対してどう対話するかを今後意識したい。 -
Posted by ブクログ
めっちゃおもしろい。
ファシリテーション、マネジメント、キャリア教育などを専門とする2人の大学教授による共著。片割れの安藤氏はコンサルティングファームの経営者でもある。
それぞれが実際に企業や自治体などから依頼を受けて行ったファシリテーションの事例も豊富に掲載されている。
なによりもまず、言葉の定義や、伝えるべきことの構造などを筆者らが丁寧に検討し組み上げた本であることがわかる。それが好印象だった。参考文献の分量やその密度もさすが大学教授やなぁといった感じ。よく耳にする本から、普通の人は知らないであろう論文までさまざま。
そして、とにかく実践的な書物である。
何か目の前に問題があるとき、まずそれをどのように捉えるか、どのように問い直すことができるか、答えに向かうためにどんなステップを必要とするか、などなど、実践的かつ具体に沿って手順と例が紹介される。
現場で数々の問題解決のサポートを行ってきた著者たちだからこそ書ける、リアルで納得感のある視点がいくつも登場する。
問題解決のためには、まず正しく問いを立てなければならない。目先のファシリテーション技術に頼るだけではダメで、根本の問題認識、課題設定が重要である。あらためて問い直したとき、もしかしたら元々認識していた問題とは別角度の問題に気がつくかもしれない。
では具体的にどんな事例があり、どんな問いを立てるべきか?それらを具に、順を追って解説してくれる。
だから、別にファシリテーションをしたいとか何かに実際困っている、という人でなくても、読み物としておもしろく読めるだろう。 -
Posted by ブクログ
ワークショップにおいて、議論を活性化させ、より生産的な場にするための手法をまとめた本。大切なことは、課題の質・ワークショップの進め方・思考法と環境の整備だと思う。
ワークショップの進め方がどんなに良くても、課題の質が悪いと良い結論を得ることはできない。逆に、課題の質が良ければ、議論が活発になるそうだ。勝負は戦う前にすでに決まっているのである。
ワークショップの進め方は、イントロダクション→知る活動→創る活動→まとめの順序で行うのが一般的である。イントロダクションでは、掴みとして無関係な話題を出すのではなく、簡単なものでいいからテーマに沿った話題をすることが大事である。その後の、知る活動や創る活動に気持ちや考えが入りやすくなる。
思考法は、最も大切なことだと考える。課題のデザインからメイン活動まで幅広く活用することができるからである。個人的には、天邪鬼思考、道具思考、哲学的思考が大事だと感じた。他にも、時間軸や社会レベル・個人レベルの影響の大きさ、課題の細分化など多様な考え方が記載されている。
本書の土台は、課題を様々な視点から見ることで、そのための方法が網羅されている。日常から勉強、仕事まで応用できる。 -
Posted by ブクログ
口語体なのに読むのは若干しんどいめ。
ファシリテーションを「技術」として分解し、どのように参加者の思考をドライブさせるかを体系化した一冊。正直、導入の事例などは「ドリルと穴」の話の焼き直しに感じられて目新しさがない部分もありましたが、中盤以降のフレームワークには実務に転用できそうなヒントが多かったです。
特に役に立ちそうな点として印象に残ったのは、以下の3点です。
1. 「負の制約」からの逆転思考
「やりたいこと」を考える際に「やってはいけないこと」を定義する手法。単に「何もしないこと」を挙げるのではなく、「やってしまうと大変なことになること」を挙げること として捉えるという自分なりの解釈を得ました。これは、守るべきラインを明確にすることで、逆に自由な発想を促す強力なツールになりそうです。
2. 問いを機能させる「足場の問い」とアイスブレイク
議論が抽象論で滑ってしまう原因は、問いの解像度の低さにある。本質的な議論の前に、参加者の個人的な視座や過去の経験を掘り起こす「足場の問い」を置くこと、そしてそれをアイスブレイクに組み込む重要性は、これまで盲点でした。入社からのバイオリズムをグラフ化するような視覚的な手法も、組織の文脈を共有する上で面白そうです。
3. リーダーの視座と時間軸
「俯瞰か個人か」「過去か未来か」という視座の切り替え。現在の延長線上の議論か、将来のビジョンか。組織の状態によって部長クラスであっても打てる手は限られる中で、今のリーダーたちがどの時間軸にフォーカスして決断してきたのかを問い直すきっかけになりました。
また、2時間のワークショップを前提としたタイムテーブルの考え方も、1〜2年のプロジェクト単位にスケールアップして適用すべきだと感じました。
「ファシリテーターを役割分担する」といった大規模前提の記述など、自分の立場では使いにくい部分もありましたが、今の仕事の中から「何を捨て、何に注力するか」を整理するための、良質な補助線になる一冊です。
最後の一節、ムハマド・ユヌス氏の「Denial of the opportunity(機会の否定)」という言葉が、本書の内容を超えて最も深く胸に刻まれました。 -
Posted by ブクログ
担当する研修で、「問い」を扱う回があり、パラパラめくる程度だった本書をちゃんと読んでみることにしました。
私の仕事であるコーチングや対話の場においても、重要になってくる「問い」。
この本は、「問い」という曖昧で掴みづらい対象を、論理立てて見事に説明してくれています。さすがワークショップやファシリテーションの研究者ですね。
同時に、「問い」は感覚的に身につけていくものでもあると思うので、深い理解においてはやはり実践を積み重ねるしかないと思います。
気に入ったのは「哲学を宿す」という言葉。
そう、良質な「問い」は、何気なく過ぎゆく日常に哲学を宿してくれる。
「問い」が、本質的な変化を生み出すトリガーになるのだと改めて認識しました。
この本を読んで、「問い」を味方につけましょう。 -
Posted by ブクログ
なにかをより良くしよう、問題解決しようとしたときに「どうすれば⚪︎⚪︎か?」という問いを立てるが、そもそも問いの立て方が間違っているといくら話し合っても解決しない。
でも当事者たちは問題がそこではないということに気づかないまま解決に向けて話し合いを重ね、お手上げになることが往々にしてあるようだ。
そこで筆者のようなファシリテーターが必要となる。
ファシリテーターは企業の会議などの場で中立的な役割を果たし、課題解決のために皆の意見を集約してよりよい方向へ導く役割の人だ。
ファシリテイトするときには、まずは参加者の固定観念に揺さぶりをかけ、本当に皆が問いとすべきこと(考えるべきこと)は何なのかをともに模索するところから始まる。
固定観念に揺さぶりをかけるテクニックとして面白かったのは「9点問題」。ご存知ない方は是非やってみていただきたい。
また、どんな問いが良い問いと言えるのかについては箇条書きで具体例が書かれていたのでとても参考になった。
そのほか、ファシリテーターがリフレーミング(参加者の対話によって場に立ち現れた意味を、別の認識の枠組みから捉え直すことで意味づけを変える)する際のテクニックなど、課題解決に向けてのノウハウが盛りだくさん!
後半は筆者が企業、地域、学校の課題を解決した事例も載っており、全体を通してとても勉強になる本だった。 -
Posted by ブクログ
ファシリテーションの説明を読むのは難しい。なぜなら、ファシリテーションには「空気」があるからだ。
「その場はあたたかい雰囲気でした」と説明されても、その雰囲気は頭ではわかるが、でもそれは、その場の雰囲気を理解したことにはならない。
同様に、ファシリテーションを説明されても、頭では理解できるが、ファシリテーションの実際を理解したことにはならない。ファシリテーションの説明を読む難しさはそこにある。
しかしそれは、著者らの説明不足、言語化不足ということを意味しない。むしろ、説明や言語化は充分である可能性もある(「可能性もある」という但し書きは、ファシリテーションの実際を私が理解できていないので、説明・言語化が充分かどうかを正しく判断できないことによる)。たとえば、旅行ガイドには旅のおすすめを充分に書いてある。旅先で、「あ、ここ旅行ガイドに書いてなかったぞ」と思っても、詳しく旅行ガイドを読んでみると実際は書いてあったりする。自分が読めてなかっただけなのである。
その意味で言えば、本書はファシリテーションの旅行ガイドである。本書を読んで、ファシリテーションという旅に出て、旅の中でふたたび本書を参照する。そしてまた、ファシリテーションという旅を続ける。そういう往還を通してはじめて、本書の意義がわかる。本書を片手にファシリテーションをするとき、本書の魅力が最大限に発揮されるのであろう。