塩瀬隆之のレビュー一覧
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めっちゃおもしろい。
ファシリテーション、マネジメント、キャリア教育などを専門とする2人の大学教授による共著。片割れの安藤氏はコンサルティングファームの経営者でもある。
それぞれが実際に企業や自治体などから依頼を受けて行ったファシリテーションの事例も豊富に掲載されている。
なによりもまず、言葉の定義や、伝えるべきことの構造などを筆者らが丁寧に検討し組み上げた本であることがわかる。それが好印象だった。参考文献の分量やその密度もさすが大学教授やなぁといった感じ。よく耳にする本から、普通の人は知らないであろう論文までさまざま。
そして、とにかく実践的な書物である。
何か目の前に問題があるとき、 -
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ワークショップにおいて、議論を活性化させ、より生産的な場にするための手法をまとめた本。大切なことは、課題の質・ワークショップの進め方・思考法と環境の整備だと思う。
ワークショップの進め方がどんなに良くても、課題の質が悪いと良い結論を得ることはできない。逆に、課題の質が良ければ、議論が活発になるそうだ。勝負は戦う前にすでに決まっているのである。
ワークショップの進め方は、イントロダクション→知る活動→創る活動→まとめの順序で行うのが一般的である。イントロダクションでは、掴みとして無関係な話題を出すのではなく、簡単なものでいいからテーマに沿った話題をすることが大事である。その後の、知る活 -
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担当する研修で、「問い」を扱う回があり、パラパラめくる程度だった本書をちゃんと読んでみることにしました。
私の仕事であるコーチングや対話の場においても、重要になってくる「問い」。
この本は、「問い」という曖昧で掴みづらい対象を、論理立てて見事に説明してくれています。さすがワークショップやファシリテーションの研究者ですね。
同時に、「問い」は感覚的に身につけていくものでもあると思うので、深い理解においてはやはり実践を積み重ねるしかないと思います。
気に入ったのは「哲学を宿す」という言葉。
そう、良質な「問い」は、何気なく過ぎゆく日常に哲学を宿してくれる。
「問い」が、本質的な変化を生 -
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なにかをより良くしよう、問題解決しようとしたときに「どうすれば⚪︎⚪︎か?」という問いを立てるが、そもそも問いの立て方が間違っているといくら話し合っても解決しない。
でも当事者たちは問題がそこではないということに気づかないまま解決に向けて話し合いを重ね、お手上げになることが往々にしてあるようだ。
そこで筆者のようなファシリテーターが必要となる。
ファシリテーターは企業の会議などの場で中立的な役割を果たし、課題解決のために皆の意見を集約してよりよい方向へ導く役割の人だ。
ファシリテイトするときには、まずは参加者の固定観念に揺さぶりをかけ、本当に皆が問いとすべきこと(考えるべきこと)は何なのかをと -
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ファシリテーションの説明を読むのは難しい。なぜなら、ファシリテーションには「空気」があるからだ。
「その場はあたたかい雰囲気でした」と説明されても、その雰囲気は頭ではわかるが、でもそれは、その場の雰囲気を理解したことにはならない。
同様に、ファシリテーションを説明されても、頭では理解できるが、ファシリテーションの実際を理解したことにはならない。ファシリテーションの説明を読む難しさはそこにある。
しかしそれは、著者らの説明不足、言語化不足ということを意味しない。むしろ、説明や言語化は充分である可能性もある(「可能性もある」という但し書きは、ファシリテーションの実際を私が理解できていないので