タイトルと中身は随分異なり、良い意味で裏切られた感じ。
当然、毎年当たり前のようになってきた40℃超えの気温でも、私たちは生きているが、一方熱中症で亡くなる人は多い。
では何故熱中症にかかるのか、そのメカニズムとそれを避けるための方法を、生理学をベースに解説。
一部専門的過ぎる部分があったものの、全体的には勉強になった。
人の体表には300万〜500万個の汗腺が存在する。このうち実際に汗を分泌する汗腺を「能動汗腺」と呼ぶ。重要なことは、汗腺数は出生前にほぼ決まっており(遺伝的要因)、能動汗腺数は、幼児期には決まってしまう(後天的要因)ということである。また、この後天的要因として、生育環境による影響が大きいと考えられ、たとえば、熱帯で幼少期に育った人は能動汗腺数が多いと言う研究結果がある。
体毛は、皮膚と外気の間に、動きの少ない空気の層をつくることで、強力な断熱効果を生み出す。寒いと鳥肌が立つのは、明らかに毛を逆立てて断熱を高めようとするわれわれの祖先の名残である。
人は四肢が細く長いという特徴がある。また動物には、極地に近く緯度が上がるにつれ、同じ動物種でも巨大化するというベルグマンの法則がある。巨大化すれば、コアとシェルとの温度較差は大きくなり、体重に対する表面積は小さくなり、物理的に環境温度の影響を受けにくくなるし、エネルギーの備蓄という意味でも有利になる。人は動物でも大きな部類に入るが、手足が長く明らかにほかの動物とは異なっている。体重に対する表面積を増加させることを可能にし、熱を逃がす点において手足の長さは有利に働く。
人の暑さへの対策は、体毛を捨てたこと、皮膚血管の活用、発汗などがある。
40℃超で人々は生きれたとしても、食べ物の確保などの影響の方が大きいだろう。