ハリー・スタック・サリヴァンのレビュー一覧

  • 個性という幻想

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    すごい、サリヴァン。
    この人を今こそ読むべき。
    アメリカにおけるトランプの邁進とそれに追随する人々や彼らの暴走を一挙に体現した連邦議事堂事件以降の現代において、サリヴァンの訴える対人関係において構築される人間精神の在り方を思考することは、今こそアクチュアルで実利的な効果を上げる。
    ゆるゆるふわふわな日本においてフロイト的な精神分析が広まらなかった一方で、サリヴァンの方法論こそが特に重要かもしれない。
    会社や学校のせいでメンタルやられる人多いし、周りの人の顔を伺う癖が強い日本人には効くんじゃないかしら。

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    2024年03月04日
  • 個性という幻想

    Posted by ブクログ

     中井久夫を通して間接的にしか知らなかったサリヴァン自身の著作を初めて読んだ。なのに中井久夫訳ではなく阿部大樹さんの訳でなのだが。中井の訳本や原著はいずれ手に取りたい。
     本書は阿部さんによる日本オリジナルの論集。サリヴァンが臨床から離れて以降の論文が収録されている。戦争や従軍する人々の士気、国民の戦意について触れられているのが時代を感じさせ、そこには正直あんまり気持ちがのれないのだが、最後の方にまとめられているので、サリヴァンの基本的な考え方を踏まえながら読むと、そういう論考を書かざるを得なかった事情や、その原稿の裏側で実際にサリヴァンが見据えていた未来も見えてくる気がする。「すなわち精神科

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    2025年10月05日
  • 個性という幻想

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    アメリカで1940年代末まで活躍した精神科医、ハリー・スタック・サリヴァンの講演や論考をまとめたもの。

    サリヴァンは、臨床の方面では統合失調症患者の寛解率7割という数字を残しました。他方、社会的分野や政治的分野では、まず徴兵検査の整備があげられます。精神面の検査を通った者でも、軍に従事していると必ず精神に失調をきたす者がいることをマクロにもミクロにもとらえていますし、かたや徴兵検査で合格しなかった者に対しても、そういった人たちへの大衆の偏見を正すためにどうするかを考えました。次に、現在の精神科医療の診断・統計マニュアルとして用いられるDSM(たびたび更新されて、現在はDSM-5にバージョンが

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    2025年07月02日
  • 個性という幻想

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    感想
    人間が持つ集団としての性質。どこまでを一つの集団と定義するのか。思想は優生思想につながる可能性がある。虚心坦懐に論理を見つめる。

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    2022年10月14日