カルヴィーノのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「見えない都市」でもそうであったように、カルヴィーノは、この「パロマー」でも各文章群を数学的な配置に収めることに成功している。パロマーの場合のそれは、3、という数字を基にするもので、あるいは「ソナタ形式」の入れ子、とでも言ったらよいかも知れない構造である。註には、この本が出現する章の順番通り以外にも読んで構わないと記させているが、個人的には、各章の3拍子を味わいながら読むのが、やはりよいような気がする。それにしても、そのような「形」から思考へ至る道筋が、カルヴィーノは好きなのだろうか。
パロマー氏、というのが登場人物の名前であるが、彼の名が有名な天文台と同じ名であることには、何か意図があるの -
購入済み
全編パロマー氏の思索によって埋め尽くされた本。訳の問題か、原著もそうなのかわからないけど少し読みづらかったかな。
思索に耽りがちなパロマー氏にちょっとずつ愛着がわく -
Posted by ブクログ
【本の内容】
中年男性、職業不詳、家族は妻と娘一人、パリとローマにアパートを所有―これがパロマー氏だ。
彼は世界にじっと目を凝らす。
浜辺で、テラスで、沈黙のなかで―。
「ひとりの男が一歩一歩、知恵に到達しようと歩みはじめる。
まだたどりついてはいない。
」三種の主題領域が交錯し重層して響きあう、不連続な連作小説27篇。
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!) -
Posted by ブクログ
理解の高みに到達しようと、観察し、思考し、悩み、そしてどこにも辿りつけない中年の日常。
さて。そもそも観察とは何だろうか?辞書的には、注意深くあるがままに物事を見ることを意味する。しかし、量子論、写真論を例に取るまでもなく、観察する行為は観察の対象物に影響を及ぼす。すなわち、観察を試みたら最後、眼前のそれはあるがままとは異なってしまっている・・・。
一方で、観察に付きまとう上記の性質は、逆説的にではあるが、観察の新たな可能性を示唆しているように思われる。つまり、観察しようとすることは、対象物に何らかの影響を及ぼしうるということである。
影響が及ぶ範囲が、一時の観察系のみに留まるのか、更な