ガダルカナル、インパールと太平洋戦争の中でも過酷な戦場を生き抜いて来た一兵卒の手記。
本書の最終章は戦後英軍の俘虜としてビルマで過ごした日々が描かれている。戦場をはなれると、俘虜逃亡防止策の一環として演芸舞台を手掛ける著者をはじめとして、役者として才能を発揮する者、裁縫を得意とする者、易学の本職など多彩な人々の顔を改めて知ることができた。ガ島、インパール編でも著者の筆致は人間味をよく描き出していたが、戦場を離れることで、この悲惨な戦争に参加していたのは、戦争がなければごく普通の人だったのだ…と思わせられた。