532ページを超える大作ですが、駆け抜けるように読んでしまいました。
舞台は17歳で自分の肉体とその寿命を決めるという世界。
主人公たちは5人でひとつの体を分け合い、さらにお互いの持ち時間4時間の中で生活しています。
アレックス、ケイト、マイク、ベン、シエラの5人はそれぞれ個性も調書も全く違う5人。
アレックスは真面目で気弱。ケイトはやや堅物で学級委員長タイプ。要領よく聡明で、マイクは筋トレが生き甲斐のマッチョメン。ベンはゲームとハッキングに長けていて数字にこだわり、シエラはバー通いが好きな自由主義。
この個性バラバラな5人がやってきたのはデスパークというところで、寿命が残り僅かになった者たちが寿命を賭けてゲームをするという(ヤバイ)場所。
順調に勝ち進めていたある日、仲間のひとりが突然いなくなってしまいます。
仲間はどこへ行ったのか。
誰の仕業なのか。
SF × ミステリー(サスペンス?)という雰囲気の小説です。
読み終えて思ったのは、(全然ジャンルが違うけど)「本日はどうされました?」(加藤元/著)と似た要素があるな~ということ。「本日はどうされました?」の方は登場人物ひとりひとりの章を追いながら「犯人はだれなのか?」を探るという話で、「人の悪意×犯人は誰なのか」というじわじわ炙り出していく感じがそっくりです。(こういうの好き)
読んでいる途中で犯人候補が2人に絞り込めた(し、そのうちの1人は明らかなダミー犯人だった)ので犯人自体に驚きはなかったのですが、その動機がヤバイ。
そもそも(他の選択肢をとらずに)5人で1つの体を共有する、という選択肢を取った時点で全員がかなり突飛な判断をしているのに、全員が「自分はマトモ」と思っています。これが怖い。
そして彼ら、17歳という年齢もあってか、うっすらと他人を見下していたり、かと思えばメンバーに対して全く同情心がなかったりと、かなり個性的。
この人間関係のどろどろ具合はある意味では昼ドラ好きの方たちをも惹きつけるほどかもしれません(笑)
(精神年齢中年でやれば昼ドラになる可能性はあるはず)
5人で1つの身体を共有するという枠組み自体がユニークで面白いので、もっと他にも同じルールの人たちが過ごす日常ドラマ(もちろん本作と同様のサスペンスでも)を読んでみたいなと思いました。
著者のガイ・モーパス氏は本作がデビュー作だそうで、今後に期待です!