新制度派経済学について学べるもの。
制度=institutionという意味であるが、この学問が面白い点は、制度をフォーマル(=正式)なものと、インフォーマル(=非正式)なものに分けたことである。前者は、法律とか規律、警察などの国家が保証するような制度である。後者は社会的な制度、慣習、文化などのその社
...続きを読む会特有の、外からはなかなか見えにくいものである。これらの制度が利用しやすく、信頼が高いものであれば、市場における取引費用が下がる、という理論である。
もし賄賂や独占があれば取引費用は高くなり、誰もビジネスをしようとしない。
これは現代ロシア論の教科書で使ったのだが、本書は中国や南米の開発独裁の国などを例に取り、どのようにしてフォーマル/インフォーマルな制度が大事かを訴えている。簡単に言うと、権威主義体制の国では(もちろん共産主義においても)、取引費用が異常に高い。
そのあと、移行体制論の議論に入る。最も大事なのは、前述の取引費用を下げることである。それが欠けた経済政策は、結局のところ無駄になってしまう。そのためには、フォーマル/インフォーマルな制度を作っていくことが大事である、というのが本書の一番重要とされるところである。