LGBTQ当事者の著者による入門書。
いろいろと知ったことがある。
LGBTQは病気なのかどうか。
同性愛自体は、アメリカの精神医学会はもちろん、日本のそこでも「疾患」とされたことはないという。
トランスジェンダーは「性同一性障害」という病気とされた経緯もあるそうだが、現在WHOでは「性的不合」という「状態」としているのだとか。
病気としておくのかどうかは、簡単に割り切れないこともあるのだろうとは思う。
当事者の人たちにとって、物心ついたときからのあたりまえの状態を病気とするのはよくないというのはわかる。
ただ一方で、性適合のための医療的な措置が医療保険の対象になるかどうかという問題もあるので、現行の制度の中では病気とするのは一定の意味がある。
LGBTQとひとくくりにして今は論じられるけれど、このこと一つとっても、個別に考えていくのが望ましいことがたくさんあることが想像できる。
とはいえ、本書は考えうるさまざまな対象に向けて、何ができるかを具体的に示していく。
当事者で、今悩みのさなかにいる人は?
カミングアウトされた友人はどうしたらいい?
親や学校、職場はどうしたらいい?
著者の経験を踏まえた具体的なアドバイスを読んでいくと、目の前の人が困っていることを聞き、解決策を一緒に考えていけばいいんだよ、とわかってくる。
(これはLGBTQだけでなく、例えば障害のある人への対応としても同じ心遣いが必要だよな、と思う。)
もう一つ、自分が思ってもみなかったのが名前の問題。
子どもがどのようなSOGIESCを持つ人として育つか、生まれた時点ではわからない。
そのため、どちらかのジェンダーに結びついた名前を避ける方がよいと筆者は言う。
最近、「みなと」「つむぎ」「れい」などのジェンダーフリーな名前が増えているのはそういうことなのかな、と思った。