朝田千惠のレビュー一覧

  • 氷の城

    Posted by ブクログ

    平易な文章だが、ノルウェーの田舎町の冬を静かに描写し、2人の少女の大人にはわからない繊細な心理を言葉で細かく説明するのではなく、情景描写を通して表現している。いなくなった少女ウンのあのことと言うのは、きっと子供の心からすれば許されない何かなのだろうが、おそらく大人からすれば大した事のないことなんだろう。だが善悪の分別もまだ定かではない子供の世界では、極めて重要なことなのでしょう。あたかも氷の城のように、大人が入り込めない子供の世界を情景描写で持って表現した傑作だと思います。特に印象に残ったのは章立てとして独立させた鳥と黒い虫、その間にある詩歌です。このような象徴的な文章が本作を傑作にしていると思います

    0
    2026年02月06日
  • 氷の城

    Posted by ブクログ

    決して難しくは無いけれど、描かれている世界に自分から踏み込んでゆかないと、よくわからないままに読み終わってしまうような作品。どれほどの寒さで、どれほどの硬さで、どれほどの美しさで、どれほどの巨大さなのか、想像を超えるような氷の城。その城の魔力に人も鳥も惹きつけられて意思も自由も失ってしまう。ノルウェーにはきっと、本当にそんな寒さが有り、そんな氷の城があるのだとおもいながら読んだ。少女たちの心や周囲の人々の思いを頑張って追いかけながら読んだので、読後は、しっかり文学を読み終えた気がした。決して説き明かされないなにかを周辺からとにかく描いて描いていくこれは、やはり文学作品なのだろう。

    0
    2024年05月27日
  • 氷の城

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    北欧ノルウェーの凍てつく冬、11歳の少女2人の儚い友情の物語。
    シスは転校生・ウンと仲良くなるがある日彼女は忽然と姿を消してしまう。

    冬のある朝、1人の少女が登校中に姿を消す。捜索をしても見つからない恐怖と諦め。その前日に会っていた
    少女の誰も救えない後悔と喪失がひしひしと伝わってきます。

    この物語の根幹は、その雄大で容赦ない自然でしょうか。1人の少女が導かれるように
    その冬の氷による自然の煌めきの奥へ奥へと進んでしまい、神様に隠されてしまう。
    読んでいて久々に自然への畏怖を覚えました。自然は怖いという当たり前のこと。

    最近は「正しく怖がる」という考えが広まり、自然もそのひとつとなってきていますが
    このような自然の怖さを伝える物語も必要だと感じました。
    #氷の城 #NetGalleyJP

    0
    2022年04月07日
  • 氷の城

    Posted by ブクログ

    よくわからなかった。

    鏡の中のあることとは?大きな贈り物とは?象徴的すぎて何も伝わらない。わざとだろうけど、「ほのめかすが教えない」は性に合わない。

    氷が鳴る音や黒い虫など、住む人にとって馴染みの現象が知れたのは面白かった。でも、モンゴメリの自然描写はとても美しいが、ヴェーソスの氷の世界が文字から想像しにくかった。そういう環境にいたことがないからかもしれないが、プリンス・エドワード島にだって行ったことはないからなあ。よって、自然描写が退屈に感じられてしまった。

    ノルウェーの氷を知らない一見さんはお断り状態では。とてつもなくデカい自然が作る氷の城だけど、上に登れて降りることもできる状態…。滑らない?スキー板持って行けるの?思ったよりなだらかなんだろうか…。

    あとがきを読むと、ヴェーソスはshowingでありtellingではないと書いてあり、その通りなのだろうと感じた。私は「教えないが感じ取れ」といったものが苦手だ。感覚はそのままでは相手に伝えられないから言語化するのだろう?その言語で相手に伝わらなければ、それは読解力の問題ではなく書く力の問題だと思うのだが…。

    まあ、ヴェーソスはわざと難解にしていることがあとがき内でわかるのだけど、そうして楽しむ芸術は私にはわからない世界だ。見開きに書いてあるあらすじだけでこの小説のすべてになってしまっている。小説を選んだ時点で言語を用いているのに、言語にその役割を果たさせないのか。ならば音楽や絵で表現した方がいいのでは、なんて思ってしまう。どうしても文字で表現したいなら、詩が良いかと。

    あとがきの方が興奮するくらい面白かった。ノルウェー語にはブークモールとニーノシュクという2つの文語があるらしい。2つあるのは歴史的背景があるからだ。これだけでも興奮した。ということは、話し言葉は文字化できないのかと疑問に思い調べると、方言が多い上にそれぞれかなり違い、話し言葉はそのまま音を書き付けるからスペルも異なってしなうノルウェー語は、ある程度統一した方がわかりやすいとのこと。後半は、標準語の概念が難しいイギリスと似ていたので理解しやすかった。上辺の理解でしかないけどかなり興味深い!

    脱線したが、やはり私にとっての面白さのピークは訳者ペータスさんのあとがきだった。

    0
    2026年05月31日
  • 氷の城

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    途中までドキドキしながら読んで、後半はしんどかった。11歳でいくら親友を失い傷ついたからといって、こんな態度とり続けてもクラスメイトから愛され見守られ続けるなんて成熟した社会であるノルウェーだからなのかなあ。日本だったらふつうにハブられて居場所無くなりそう。主人公が恵まれてるのに頑固過ぎてイライラした。ウンやおばさんは素敵だった。

    0
    2024年03月02日
  • 氷の城

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    深く通じ合えたばかりなのに行方不明になった友人ウンをいつまでも思い続けるシス。
    2人以外は家族もクラスメイトも名前で表されないことが2人の特別な絆を高めている、のか?

    0
    2022年06月09日