ケータイが広く世間に普及するにつれて、恋愛ドラマでもケータイが登場し、重要なツールとなっていった。その時代毎の状況や相関性を捉えたのが本書となっている。
家族の電話から個人の電話へ、電話からメールへとその機能が変移していく中で、それと足並みを揃えるかのようにドラマにおけるケータイの役割も変移してき
...続きを読むた。ただ、それは当然のことながら、その時々の時代性がドラマにおいても反映された結果だと言えよう。
特に気になったのは、第3章にある使用方法である。CMにおいて起用され、(その通信会社と)イメージが固まった俳優に対し、ドラマにおけるスポンサーとして配給されるケータイとどう折り合いをつけるのか。読み解く限りでは、徐々にスポンサー側から個々のイメージへと重点が移ってきたわけだが、そういう視点はまさに新鮮であった。
恋愛ドラマにおけるケータイの使用方法は、時代を反映してあるものだとは言え、決して斬新なものにはなりえない。というのも、社会にその使用方法が流布し、それを受けて(恋愛ドラマが)作成され、さらに制作過程で余分なものや不適切なものは排除されるからである。
数年経ち、自分たちの孫やひ孫が恋愛ドラマを見た時に(見ないかもしれないが)、どういう反応を持つのか?それはそれで、また一つ数十年後における楽しみだと言えそうである。