高尾賢一郎のレビュー一覧
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「イスラーム世界の盟主」をと呼ばれるサウジアラビアについて、歴史、王室、石油等の視点から分析している。サウジアラビアを考える上での前提として筆者が一貫して述べているのは、政教分離の価値観を相対化して考えなければならないということ。政教一致のイスラム教国家が「特異」な存在と感じるのは、我々日本人が西洋的政教分離体制を内面化していしまっているからであり、政教一致それ自体は「特異」なものではない。
現在サウジアラビアではビジョン2030により穏健なイスラームへの回帰を目指し、様々な変化の真っ最中である。王族、宗教界に加えて、欧米の大学で世俗の学問を学んだテクノクラートたちも第三の権力集団として台頭し -
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おもしろかった。本書は、イスラームの盟主として、石油産油国の長としてのサウジアラビアの実情を描くものです。
構成は、序章、終章を含めて8章
序章 イスラームの世界観
・ヒジュラ暦がなぜ、ムハマンドが天啓を得た年でなくメディナに向かった622年を元年にしているのか
・イスラームの教えは、聖典クルアーン(コーラン)と、伝承集ハーディス、法学フィクフの3つからなる
・イスラームとは宗教だけでなく、政治、経済、社会など人間生活のあらゆる面を包含する
第1章 サウジアラビアの歴史
・サウジの王国は、1744年第1次、1824年第2次を経て、1932年第3次にて成立している
・サウジアラビアは、メッカと -
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イスラムの盟主を自任するサウジアラビアが、なぜアメリカ、イスラエルに擦り寄っていくのか?それを知ろうとこの本を手に取った。
部族長のイブンサウードと偶像廃止を謳うアブドルワッハーブの盟約にはじまる一次王国から現在の3次王国までの歴史を知った後、ガラパゴス化していたサウジはイスラムの盟主を確立するため、それまでの強国のエジプトや、シーア派のイランとの対決の過程で、防衛の協力と経済的な観点からアメリカに近づいていく。
今まで北朝鮮のような内実不明な不気味な国の印象が、多少あったが、今のサウジは脱宗教化に舵を切り試行錯誤している血の通った国の姿が見えてきた。 -
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高尾賢一郎(1978年~)氏は、龍谷大学国際文化学部卒、同志社大学大学院神学研究科博士後期課程単位取得満期退学、博士(神学)取得、在サウジアラビア日本国大使館専門調査員、上智大学アジア文化研究所客員所員等を経て、津田塾大学非常勤講師、東京外大アジア・アフリカ言語文化研究所ジュニア・フェロー、中東調査会研究員。専門は現代イスラーム思想・社会史。
サウジアラビアは、言うまでもなく、メッカとメディナという二大聖地を有するイスラーム世界の盟主、かつ、世界第2位の原油埋蔵量を誇る(1位は米国)中東の大国であり、更に、日本にとっては、原油輸入量の3割を占める深い関係を持つ国である。だがその一方で、一部の王 -
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イスラームの教義に基づく王国として成立したサウジアラビア。
イスラーム世界の盟主とはつまるところ、アラブに限らず、「イスラーム」が関与するあらゆる分野の盟主と言うことで、極めれば、全世界のトップに立つと言うことを意味する。
極めて宗教色が強いが、しかし、少なくとも、国際社会の中でそれなりの規模の国家を維持し、関係を持っていくためには、教義全面に押し出せば、いわゆるイスラム過激派に陥るのは明白で、ここのさじ具合に苦労しているのだと読んだ。
世俗主義というのか、宗教の官僚化というか、多分、本来の教義を、中庸とか寛容という、国際社会との折り合いをつけるためにぶっちゃけ国が国家の権威で、都合よく