岩田慎平のレビュー一覧
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北条義時
鎌倉殿を補佐した二代目執権
著:岩田 慎平
中公新書 2678
華々しい時代の主役より、それを支えて堅実に生きる補佐として、義時は生きた
伊豆の荘園を管理していた領主の息子とは思えない、すごい男なのです
以仁王の乱より、治承・寿永の乱(源平の戦い)、承久の乱までを描くのが本書です
本書で参照される、鎌倉幕府成立期を書いた歴史書は2つ
吾妻鏡 初代頼朝から六代宗尊親王まで、ところどころになぜか空白がある
愚管抄 天台僧慈円の歴史書、承久の乱までで、乱の後、一部修正が入っている
気になったのは以下です。
■以仁王の乱
保元、平治の乱にて、勝利した伊勢平氏(平清盛)は、後 -
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大河ドラマの主人公北条義時を中心に鎌倉幕府成立前後が描かれる。頼朝の死ぐらいで源平の知識って深ぼられないのだけれど、大河の影響もあって執権政治の成立までを理解できるのはすごくいい機会だと思う。本書でも描かれているように、頼朝の死後の幕府内外の内紛が夥しく、極めて北条得宗家での支配確立までが危うい道を辿ったものだったのかが窺える。義時と政子の兄弟のタッグ、そして三浦義村の助け、大江広元との連携がキーだったんだろう。また、京都でも院政は引き続き続いていたという点は確かにその通りで後白河院が力を持っていた時代から遠く離れたわけでもないので、幕府の力というのはその点でもかなり危ういし、実朝死後の源氏嫡
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ちょうど大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を見ているので、歴史が気になり本書を手に取った。
本書を読んではじめて、「鎌倉殿の13人」の意味がわかった。
はじめ、鎌倉幕府を創建するのに貢献した13人のことかと思っていたらそうではなく、幕府ができたあとに幕府中枢で運営していく13人のことだと知った。
と、すると、今回の大河ドラマは、いったいどこまでが描かれるのだろうかと思った。
主人公の北条義時が死ぬまでだとしたら、そのストーリー(人生)は悲しすぎると思った。
政略のために、たくさんの人が死んでいくからだ。
歴史を知らない僕はこの本で、義時にどういう人生が待ち受けているかを知った。
仲間として戦ってきた -
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私は大学で日本近世史を専攻している。しかし、大河ドラマを見るにあたって、北条義時に関する文献を探した。この本に出会い、もう一冊と悩んだものの、この本の筆者が専門になさっていて、さらに最新の研究が反映されていると感じた。中世の公武関係が関わる本に関しては2冊目だが、筆者は深くさまざまな関連文献を読み込んでいるように感じた。我々は北条氏と聞くと、なんとなく良いイメージを持たないがそう言った内容を払拭するようなものであった。一部の史料に基づいたものではなく、さまざまな史料を結びつけ、論を展開している。また、鎌倉幕府将軍でなく、あえて鎌倉殿としている副題も読むことでわかる。本著の内容を読み込めば119
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義時を中心として語ろうにもなかなか史料的な裏付けが得にくい人物であることがよくわかる。いきおいその前提となる歴史的な背景に多目にページが割かれる。本書も第3章(頼朝没、ページで言えば86ページ)まではほとんど義時は登場してこない。本文は197ページまでなので、義時が鎌倉幕府政権の中心として出てくるまでに全体の半分ほどの紙幅を費やしていることになる。しかし、逆にそれゆえに前提となる話がしっかりと頭に入ってきて、それ以後の話も辿りやすくなっているかと思う。
「鎌倉殿の13人」と呼ばれる合議制から次第に有力御家人が排除され、政子と義時に権力が集中していく中で重要な役割を握る続けるのが朝廷であるが、 -
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著者が「はじめに」で書いてあるように、北条義時はどこか影が薄いという。
実際には、草燃えるでほぼ主役で演者が松平健、鎌倉殿の13人で主役で演者が小栗旬、と大河で取り上げられているわりには、確かに日本史上影が薄いと思う。
また義時は、若年の頃の活動を裏付ける資料に乏しく、鎌倉幕府の制度上特筆大書すべき事績が見当たらないとのこと。
よって、新書一冊を持たせるほどのネタがなかったため、『北条義時』という名の本のわりには、北条義時が出てこない。そして、義時が・・・という義時を主語とした行為の記述もあまりない。
これはやはり不満につながる。
とはいえ、それが現実なのだと思う。
中世の武士の特徴