高生椰子のレビュー一覧

  • 終恋—SHUREN—

    Posted by ブクログ

    この本の帯には、

    『たとえ何があっても、決して後悔はしない。
    ある日届いた一通のショートメール。
    そこから始まる最後の愛ーー。
    限られた時間の中で紡がれる「大人の恋愛」を描いた極上の純愛小説。』

    と書かれています。

     という訳で、淡い綺麗な表紙と意味深なタイトルにも興味を惹かれ、決してもう若くない私は、ちょっと心をドキドキさせながら、この作品を手に取り読み始めたのですが、

    「所詮、私は不倫相手。愛人道を忠実に歩むしかないのだ。」

    「3時間不倫コースが終わった。彼は再び扉の向こうの現実世界に消えて行った。」

    というような言葉が並び、読み進めるのがとても苦々しく辛く感じました。

     そんな主人公の女性が、仕事で昔お世話になった先輩からかけられた言葉というのが、

    「私達はね、苦しいことや辛いことに遭遇した時に他人のせいにするのでなく、全て自分の行いの結果だと思って、自分の行いを変えることが大切なの。そうすることで運命は変わり、幸せを生み出していくものだと思うわ。」

     以前読んだポジティブ・シンキングについての自己啓発本でも、同じようなことが書かれていて、その時も全くその通りだと納得していましたが、同じ言葉を、不倫の関係に至った当事者への言葉として再び目にすることとなり、全然意味は違うけど、こんなに分かりやすく当てはまる具体的事例はないなと、変なところで感心してしまいました。
     ただ、「ポジティブ・シンキングの日常的習慣と不倫関係の解消とは全く違うから!」と、強く反発したくもなりました。

     しかし、それでも心をあらため行いを変えるどころか、ラストで、
    「私たちは、本当の意味での「魂の伴侶」、彼の魂が「伴侶」である私を探し出したのだ。」
    と開き直り、現在の関係と生活を正当化し、満足している主人公に共感することは出来ませんでした。残りの時間が限られた終活世代の不倫は、きっと後戻り出来ないのでしょうね。

     それゆえ、この作品は、終活を考え始める世代で、心が満たされず残りの人生に不安を抱く独身女性には、共感する人も多い小説なのかもしれないなと思いました。

     そこにつけ込む男たちよ、これまで支えてくれた家族を悲しませるようなことは、くれぐれも慎むように!

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    2025年03月31日