評伝とあるが、伝記というより渡部氏の主な著書を発行順に並べ、そのエッセンスを紹介していくもの。渡部ファンなら、読んだ当時を次々と思い出し、懐かしい気持ちになるだろう。私にも書けそうだが、私なら悪ノリして霊界からのあの本も紹介してしまう気がする。むろん担当編集者ならではの観察もあちこちにあった。勉強会の後はカラオケスナックに流れるとか、何を歌うとか、料亭での芸者さんとのやり取りや女優の小雪さんの評価など。しかし、本書の最大の貢献は、「マジョリー・モーニングスター」のあらすじを訳して紹介したことだと思う。