ぼっちとムシとのコミュニケーション、ここに完結。
最終巻の森白百佳はですね、すごい成長ですよホント。
ムシが苦手な遠藤さんとジュースバーへおでかけ!かと思えば、待ち合わせ前に電車へ迷い込んだ蜂を仲間の元へと返してあげたり、遠藤さんとの会話が弾むかと思えば当の本人は学校で周りの女子に合わせる自分に
...続きを読む悩んでいたり、そんなシリアスな場面で森白の手をカミキリムシは噛んでくるしと大忙し。
ある日には、自分のいるべき場所を探すべく虫かごから逃げ出したクワガタが橋下で苦しんでいるのを見かけ、山の樹液の元へと返してあげたり、そこで甲虫王者ムシキングが始まってクワガタは脚を怪我して瀕死に。
能力によってクワガタのダメージを全て肩代わりした森白は足が動かなくなり車椅子生活に……!?
本当に忙しすぎる最終巻で読む手が止まりませんでした。
こっちは足の力を失ってしまったというのに、当の虫からは感謝の言葉もないところが、ヒトとムシとの距離感をキッチリ描いてあって好きなんですよね。
ヒトの居場所にムシの居場所と、今回は一貫して“居場所”というテーマが光る巻になっていたかと思います。
時は進んで高校、大学と森白はステップアップしていくわけですが、成長した彼女は友人との居場所を見つけ、ムシとの距離感も適切に心がけて前のように変な目で見られるほどのめり込むこともありません。
ひとりぼっちの少女が、ムシとの関わりを通して、自らを見つめ直してヒトとの関わりを増やしていく。
ちょっと変で、どこか物悲しい、独自の雰囲気で幕を閉じてくれたムシ・コミュニケーターが、私は好きです。