山田高敬のレビュー一覧
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ネタバレ国際関係理論の入門として最適な一冊。主要理論の概要を抑えており、平易で読みやすい印象。さらに、ゾンビ・アウトブレイクに対して、各理論がどのような処方箋を提示するかを示している。個人的には、ゾンビに関する記述について、やや理解しにくい部分があったものの、全体的には楽しみながら読むことができた。
個人的に印象深かったのは、ウォルツが『人間・国家・戦争』で提示した三つのイメージを意識して書かれていること。他の概説書を見ても、いわゆる第三イメージからの主要理論のみをカバーしているものが多いため、第一・第二イメージからの見方もおさえることができる。
現在のコロナ禍に照らし合わせて読むこともできる。非伝統 -
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国際関係諸理論はゾンビ禍という超常現象にどのように向き合うか。大の学者が真面目に考察。こういう固くないテーマを用いての結論は、学生諸君は脳みそ喰われる前に脳みそ使え!ってことで、でも本人も楽しんでることがうかがえて面白かった。
リアリズムやリベラリズムなどの理論はどういうスタンスで対応するか、ということとか、入門にはぴったり。殊更ゾンビ好きじゃなくても楽しめると思います。現に自分は最高に楽しめました。こういう知的な妄想をさせてくれる本がもっとあればいいのに。
これは行政学の分野になると思うんだけど、標準作業手続(SOP)の弊害の議論は個人的に興味を持った。行政学も学びなおさねば。
国際関係論 -
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ゾンビが襲来したら国家(ないし国際社会)はいかに対応するかという問いについて、国際政治の理論によって解答を導いている本。ゾンビを国際社会や国家にとっての脅威と考えればいいだろう。この問いについてリアリズム、リベラリズム、コンストラクティビズムといった主要な国際政治理論のみならず、官僚政治や国内アクター、さらに個人に関する理論によっても解答が示されている。しかもかなり幅広い理論をカバーしている。
本書の優れたところは後半部のゾンビ研究事始にある対談形式で示されている国際政治理論の解説である。本編を一読しただけだとなかなか難しいが、この解説では国際政治の理論についての解説が簡潔に述べられており、こ -
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大真面目にふざけた逸品。
ゲーム理論でしばしば用いられる「繰り返しゲーム」では協調が起こりやすい。またケインズが論じるように「結局のところ我々はみな死ぬのである」。ここから「死なないゾンビは団結し、人間はバラバラに孤立する危機」に直面する。笑えるが笑えない!映画でも人間は必ず仲間割れ・抜け駆けなどのチームワークの危機から何人か死ぬし、ゾンビはひたすら集団で襲い掛かってくる(ゾンビの共食いはないらしい)
小説「ワールド・ウォー・ゼット」では、統合参謀本部の議長が軍事的な効率を最大化させるために「資源/殺傷数比率」なる指標を開発する。これが現場での創意工夫を生み出し「信じられないくらいにコスト -
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とにかく想像もしなかった本。
まさか、国際政治理論とゾンビが結び付くなんて考えもしなかった。
でも、ゾンビが襲来するという、想定外なことを、学問的に考えることって大事なんだろうと、読み終わってみると感じた。
そして、なにごとも、想定しておくことは、決して無駄にはならないように思った。
にしても、ゾンビというとてもありえない物体?!と遭遇する、もしくは、襲来を受けることをまじめにとらえるってなかなかできないことだけど。
結局、おもしろかった。
ぜひ、たくさんの人に読んでほしい。
ただ、論文っぽい訳(もしかしたら、原文も論文なんだろうが)が、慣れるまでは読み進めにくかった。、 -
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ネタバレまえがき
第1章 アンデッドへの・・・イントロダクション
第2章 これまでのゾンビ研究
第3章 ゾンビを定義する
第4章 食屍鬼についての本筋から外れた議論
第5章 リビング・デッドのレアルポリティーク(現実政治)
第6章 リベラルな世界秩序の下でアンデッドを規制する
第7章 ネオコント死者たちの悪の枢軸
第8章 ゾンビの社会的構築性
第9章 国内政治・・・すべてのゾンビ政治はローカルか?
第10章 官僚政治・・・ゾンビにまつわる”押し合いへし合い”
第11章 人間だもの・・・アンデッドに対する心理学的反応
第12章 結論・・・ってゆうか、そう思うでしょ?
謝辞
ゾンビ研究事始
参考文献
注 -
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