鮫島浩のレビュー一覧
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おもしろかった。何かストーリーが面白かったとか、著者に魅力を感じたとかではないのだが、自分の知らない世界である新聞社の内側をすこし垣間見ることができたところにノンフィクションとしての面白さを感じた。
吉田調書については、正直それほどよくわかっていなかったので、朝日新聞でこのような動きがあったことには単純に驚いた。こうした組織の危機管理の在り方は本質的にはどこの組織にも起こり得ることなのかもしれない。新聞は部数が減ったといわれるようになって久しいが、身近な情報媒体であることには変わりない。そんな身近な新聞の中身を作っている人たちの話はやはり興味深い。 -
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Posted by ブクログ
福島原発の事故についての吉田調書に関する朝日新聞の記事が誤報とされた件についての担当記者による反論と内部告発の本である。
読みながら感じたのは、もう何が真実なのか分からないというこどだ。新聞社が誤報だったと謝罪したからと言って、それは圧力に屈して言わされていただけなのかも知れない。また、著者のチームが入手した吉田調書だって本物かどうかもわからないではないか。吉田所長はもう亡くなっているのだから。
本書が面白く、読みやすく書かれているから尚更、作者の企みに絡め取られそうで怖かった。しかし、朝日新聞社が正しい報道をする事よりも、社内の出世競争への忖度や、色々な圧力に屈する事を選んだ事への怒り -
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Posted by ブクログ
【313冊目】原発事故時、福島第一原発から東電職員が所長命令に反して退避したことを報じたいわゆる「吉田調書」問題の責任を問われ、左遷された末に辞めた元朝日新聞記者による回顧録。
確かに2014年あたりは朝日新聞あたりがゴタゴタしてるな〜とは思っていたし、世間ではそれなりに騒いでいたと思うけど、当時の自分はほとんど関心なかった笑。「え!?慰安婦報道って嘘なの!?やばいじゃん。今までのはなんだったの?」ぐらいは思った記憶。ちなみに、これは「吉田証言」問題らしく、筆者がお辞めになるきっかけとなった「吉田調書」問題とは別らしい…そりゃぼーっと生きてたら訳分からんとなるわ笑
さらに、「池上コ -
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Posted by ブクログ
こういうジャンルの本はあまり読まないのですが、買ってきた夫に「面白かった!」と薦められて。
私の住む神戸市の隣の明石市
暴言市長として有名ですが、この地域だけなのでしょうか?
全国的にはどうなのでしょう?
鮫島浩さんの質問に答える形で構成されています。
過酷な地元明石での子供時代から、多様な経歴を積んで市長に。
「四面楚歌」の中、どの党派にも属さず、市政にまい進されてきました。
好き嫌いはあるでしょうが、やってこられたこと、お考えには納得できます。
三年くらい前、ある式で表彰状を頂く時、緊張する私をリラックスさせ笑顔にしてくださいました。
「ああ、思いやりのある方だなあ」と思ったこと -
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去年が毎日新聞150周年、日本に新聞制度が生まれた年ってことになっていて、本書の舞台の朝日新聞も1879年創刊だから140年以上の歴史を持っています。同じ頃生まれたのが鉄道だったり学校制度だったり郵便制度だったりするのを横目で見ると新聞って近代社会のインフラだったのでしょう。でも今、改めての新聞ってなに?って問いへの答えは実は新聞経営者も新聞記者も持っていないのではないか…思っています。本書は朝日新聞「吉田調書」問題の当事者の赤裸々な回顧録として生々しい記録です。生々しさと同時に感じる鼻につく匂いもあります。その発生源は、冒頭で著者が妻に指摘される「傲慢罪」というキーワードにあるように思われま
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ネタバレ朝日新聞政治部
著者:鮫島浩
発行:2022年5月25日
講談社
タイトルは地味だけど、無茶苦茶おもしろかった。
「吉田調書」とは、福島第一原発の事故直後、最前線で危機対応した吉田昌郎所長が、政府事故調査・検証委員会の聴取に答えた内容記録。政府は極秘文書として公開せず、隠し続けた。これを入手した朝日新聞は、2014年5月にスクープ報道し、大きな衝撃を与えた。しかし、同年9月、木村伊量(ただかず)社長は記者会見し、その記事の一部を取り消した。この記事のデスク(次長職)と吉田調書を入手した2人の記者(年上の部下になる)は、「捏造記者」として激しくバッシングされ、どういう理由かは不明だが個人情 -
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著者は朝日新聞の政治部エース記者として長年活躍しながらも2014年に福島原発の「吉田調書問題」の責任を取る形でそのポジションを降り、2021年に退社したのち、現在はメディア「SAMEJIMA TIMES」を運営している。そんな著者が朝日新聞で一体何が起きたのかを、反省と共に綴る一種の内部告発とも言えるのが本書である。
朝日新聞の実態については既に様々な言説が飛び交っているし、本書で詳にされる内実も、そうした言説と大きな違いはなく、それらに対する裏付けであると言える。そうした点で、既に死につつある朝日新聞という企業がこのまま本当に死んでいくのだろうという思いを私個人は抱いたが、それ自体は本書の -