アパレルメーカーを業績不振により解雇され、呆然自失となっているところに一通の手紙が届く。
それは、佐賀県唐津市の不動産会社からで父が亡くなり賃貸物件の明け渡しをお願いしたいとのことだった。
3歳の時に離婚した母といっしょに東京に出てきて以来、会ったこともなく無関係だと言ったものの、泣きつかれ断りき
...続きを読むれず唐津へ。
そこで、父は3年前からテーラーの仕事を辞めて遺品リメイクを請け負っていた。
すぐに手続きを済ませ、引き返すつもりが、残っていた注文の催促があり、仕方なく引き受けることに。
ミシンを使っている最中に亡くなった人の声が、聴こえてきて…。
亡くなった人の声のメッセージ。
その想いとともにリメイクの品物を作り届ける。
父が3年前にこのリメイクをやり始めたのも母が亡くなったと聞いてから供養のつもりで、置いていった着物でお守り袋を作ってるとミシンから母の声が聞こえたと…。
なんとも不思議で。
だが、また娘もミシンから声を聞くという…。
言いたいことも言えなく亡くなった人のほんとうに伝えたい想い。
それを誰かに伝えてほしいという願い。
思い出のものをかたちを変えて、いつまでも持っていられるのは嬉しいことだ。
それにプラスアルファで、ことばがついてくるのだから。
驚きよりもなぜかふっと微笑ましくなるような、そんな気持ちになった。