小塚荘一郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
昨今のデジタルの急速な発達変化についていけない。
アナログ派のおじさんとしては落ちこぼれないように必死に本書に立ち向かった。
言わんとしていることはなんとなく分かる、「法律」でなく「法」は曖昧さもある。ただデジタル、特にAIが発達してさまざまな判断をAIが行うようになると、この曖昧さの部分はプログラミングするのが色んな意味で難しいという筆者の指摘はもっともだと思う。
筆者は「コードが法にとって代わる」という表現を本書の中で繰り返ししているが、そういう社会を「法」が収めていくのは確かに容易ではないだろう。
読み方として、上記の理解で良いのかも自信がないが、SFの世界にありそうな、ロボットな -
Posted by ブクログ
契約法令に詳しい学習院大小塚教授によるAIと法令の課題フロントを巡る考察。これまでの契約や取引は物の取引を前提としており、債務と債権の相殺・発生として整理されてきたが、自然発生し共有されるデータが財の主体となる今日の経済では、従来の契約や救済(不法行為や損害賠償)では対応できなくなっている現状を導き出す。データベース権のように個体の所属に分割できない権利の存在、プラットフォーム企業に対して国家が行ってきたはずのプライバシー保護を要請し、国家は個人のプライバシー保護を放棄する中国のような共産主義国家など、現在社会が直面するAIと法の問題点は根深い。
-
Posted by ブクログ
AIの領域で起きている変革に法律が追いついていないことが感じられた。
印象に残ったところ
衛星から観察した石油タンクの液量をもとに、投資判断を行う投資家がいる。ふつうの人間にはこのデータの使い方は思いつかないように感じ、これはある種のインテリジェンスだと思った。
法律と法は違うらしい。法律は、国会が制定したルールのこと。一方、法は、西洋近代法をもとにつくられてきた体系で、その発展の経緯から、ヨーロッパが歴史的に経験してきた社会の仕組みを前提としてもっているそうだ。その起源はざっくりいうと、共和政時代のローマ法→ナポレオン統治下のフランス民法典→ウェストファリア条約らしい。 -
Posted by ブクログ
3つの要点でまとめてみる
①AIおよびデータにより法に変化が訪れる
→AIやデータ普及により、法律に変化の必要が迫られる。特に、モノ→サービスへと需要が高まる昨今において、モノを軸とした民法の契約形態は、変化をせざるを得ない。
②プラットホームが法の役割を担う
→GAFAといった、巨大プラットホームサービスが、個人情報であったり、様々なデータサービスを格納し、情報として有してる中、そのサービス、情報取扱方法事態が後々法律。強いては、世のあり方を変えていくルールになる可能性すらある。
③AI>法になる?
→今までは法律により様々なものが整備されてきたが。それは、できなくなる。むしろ、データ -
Posted by ブクログ
ネタバレ目次
第1章 デジタル技術に揺らぐ法
第2章 AIとシェアリング・エコノミー
第3章 情報法の時代
第4章 法と契約と技術
第5章 国家権力対プラットフォーム
第6章 法の前提と限界
感想
昨今、AIをテーマとした本は巷に溢れており、玉石混交といった状況であるが、その中でAIがこれからの社会に与えるインパクトを法律との関係で具体的なイメージを与える本を読みたいならば本書がおすすめである。以下、各章で示唆された問題と個人的に考えたものを記す。
第1章ではAIをはじめとする「デジタル技術」が人間の身体という物理的制約を超えて可能性を広げるデバイスという側面の他に、『ターミネーター』などで描かれ -
Posted by ブクログ
タイトルの内容に強い関心があり、また法学は素人ということもあって、勉強しようと思い本書を手に取りました。まず本テーマに関する入門書としては素晴らしいと思います。法学を知らない人でもわかりやすい記述がなされていると思います。ただ基本的なところで違和感を持つ個所もありました。本書では冒頭に、AI時代のトレンドとして「モノからサービスへ」「財物からデータへ」「法からコードへ」という3つが提示されますが、まず「モノからサービスへ」については、別にAIに関係なく、先進国経済は1980年代くらいから進んできたわけですから、これはAI時代のトレンドではないのでは、と感じました。あえていうなら、「ハードウェア
-
Posted by ブクログ
AIの時代における法は、20世紀初頭に労働法や反トラスト法などができた頃以来の転換期にあるとのこと。AIの活用が、たとえそれが弱いAIであったとしても法の主体や、法の領域といった観念をゆるがしていると。幅広い話題をまとめてくれていて読みやすい。
たしかに新しい技術に対して法律が追いついてくのは楽なことではなく、AIの登場を待つまでもなくネットの発展と法のあいだにズレが生じがちなのは感じるところだが、結局、アメリカ式の「走りながら考えて後から修正」アプローチが比較的うまくいっているように見える。よって著者の言うようにAIの時代のガバナンス構築に日本の果たす役割が大きいかと言われると、かなり微妙 -
Posted by ブクログ
AIとクラウドにより、モノからサービス、ハードからソフトへと時代が移りゆく中で、それによる社会変革に法がマッチしない部分が増えてきているという問題提起から始まり、プラットフォーマーの責任性、プライバシーの範囲、データの帰属の話へと展開される。
従業員の利益を意識したり、CSRを強く意識したりする日本企業のコーポレートガバナンスは、法と実体のズレを埋め合わせようとしてきた結果の産物である、というのが筆者の見解の中心に存在。
日本はDX後進国と言われるが 、AIと法にズレが生じていても、上記のような日本企業の特性を生かせば、AIの社会実装に適性がある国として発展していく可能性がある、という筆者