ジェームズ・C・スコットのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
昨年亡くなった政治学者・人類学者のジェームズ・C・スコットの著書
アナキズムは無政府主義として知られるが、その極端なイメージとは裏腹のサブタイトル「世界に抗う土着の秩序の作り方」に地に足のついた印象を受けた
生きる上で、数々の選択をする上で新たな指針を示してくれるものと思い購入
ここでのアナキズムとは、支配なき状態で個々人が自律性を発揮できるより良い社会を作ろうとするスタンスのことを指すようだ
歴史上、社会は暴動により大きく動かされてきたが、同時に個々の自律した(意思ある)判断や行動を通して行う静かなる権威への対抗もまた、じりじりと社会を動かし得るのだ
自分のように日々社会に対する不満 -
Posted by ブクログ
ますますごく少数の人間が、圧倒的な権力と富を独占する世の中になっていく歴史の奔流に、抗うすべはあるのか?
歴史を振り返れば、革命という名の世直し運動は、それが倒そうとする権力よりも圧倒的に大きな暴力抜きには生じ得なかった。
支配、強制、暴力ぬきに、自由を守る戦い方というのは、ありえるのか?
ありえる、というのがアナキストだ。
この本の著者は、篤実で平明な語り口で、実践的な処方箋を断章の形で提示してくれている。
私の目からウロコが落ちたのは、プチ・ブルジョアジーの役割への注目である。
バリントン・ムーアは次のように言っているという。
「急進主義の主要な社会基盤は農民と都市下層職人である。 -
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Posted by ブクログ
やぁ難しい本だった。でも結果として二度読みした際には、かなりぐいぐい線を引いてしまうところが多く、精読してよかったなと。最近ビジネス書や小説など、比較的読みやすい本ばかり読んでいたからか、こうした研究者の方が書かれた、かつアナキズムという難しい概念だったこともあり、一回目はほんと心折れそうになったりしてました。「アナキズムとは特別な政治運動でも革命でもなく、日々の暮らしの中から社会を変えていく実践である」とカバー裏に書いてあって、読後だからなんとかその概念が腹落ちしましたが、読む前はなんだかよくわからないけれど引き込まれそうな印象、といったところですね。
原著のタイトル(大見出しのみ)は -
Posted by ブクログ
ネオリベラリズム全盛の今日、今更革命的前衛に率いられたプロレタリアートの役割に期待するわけにもかず、かといって穏健な市民運動もパワー不足、とすれば残るはアナキズムか・・・ そのせいか、最近アナキズムの立場からの新刊も増えているようです。効率性を優先させることで人間が疎外されていくなか、失われていく土着的なものの役割に改めて注目する必要があるのでしょうか。
工場や学校だけではなく、介護施設すら権力装置として機能していること、論文の引用数などで科学業績を量的に評価しようとする試みへの反論、歴史的な評価の多くが偶発性を無視していることなど、興味深く読ませていただきました。
まだ読んでいないけど是非読 -