第3巻は、細胞の代謝、遺伝子工学、発生と分化について。⑭細胞が利用するエネルギーと生物内反応を触媒する酵素、⑮細胞がどのようにして化学エネルギーを獲得するか、⑯光合成、⑰染色体上の全ての遺伝情報であるゲノム、⑱組換えDNAとバイオテクノロジー、⑲多細胞生物における1個の細胞から成体が形成される迄の過程である発生及び進化の分子メカニズムからなる。
14.生物内の化学反応を代謝と呼ぶ。生物は取った食糧をエネルギーとして消費し、タンパク質を作り体の一部にしたり、体を動かす部品にしたりする。体中で化学反応がおきている。化学反応には異化反応と同化反応がある。エネルギーの視点では発エルゴン反応と吸エルゴン反応だ。大きく複雑な分子が低分子へと分解するときに、化学結合中に蓄えられていたエネルギーが放出される。それを生物は利用する。その化学反応を促進するのに触媒としてタンパク質からなる酵素を使う。酵素を制御することで代謝の速度を管理する。
15.生物はアデノシン三リン酸(ATP)をエネルギー通貨として使う。グルコースを分解してATPを得る。原核生物は1分子のグルコースから2ATPを得るが、ミトコンドリアを使うとなんと32ATPを得る。
16.光合成は光エネルギーを吸収して化学エネルギーに変換し、そのエネルギーを使い糖を作る。そのときカルビンサイクルではミトコンドリアのクエン酸回路と同じくプロトン勾配を利用したATPシンターゼを使う。
17.現在の技術では数百万塩基対もの長さのDNA分子の配列を端から端まで決定することは不可能だ。百塩基対程の断片に切断したDNA分子を読み取り、重なり合う断片の集合体を作って決定している。
18.今日ではCRISPR技術を利用して特定遺伝子の改変や不活性ができる。⑲昆虫はムカデのような節足動物のUbx遺伝子変異で生まれた。