栗村亜寿香のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
責任を、懲罰的なものではなく、個人が主体的に生きていくための肯定的な概念ととらえるのは、自己責任の時代を生きてきた自分にとって新鮮な気づきであった。
自己責任論のカウンターとしての責任否定論も、結局は程度の違いでしかなく、責任に対して相応の報いを与えるという根本思想は変わらない。
そうではなく、責任は責任としてとらえたうえで、失敗した人や愚かな選択をした人とどのように暮らしていきたいのか、という規範的な考慮をしていく必要がある。
制度設計をその目的から考えるというのは、忘れがちだけど根本的かつ重要な話。
社会福祉制度の目的は、すべての市民が、対等な立場で社会に参加できる状態を作ることなのだから、責任に対して相応の報いを与える、という考え方は直感には反しないが、制度設計としてはやはりずれが生じる。
一方で、じゃあ制度の目的とは何なのか、という話を民主的プロセスに丸投げしていることへの物足りなさはある(これはサンデルもそう)。
今の世界で民主的プロセスに投げたところで、まともなものが返ってくるかはかなり疑問である。
人は愚かであるという前提の下で、どのように民主的な政治参加と善に基づいた制度設計を両立できるのかを考えていきたい。 -
Posted by ブクログ
自己責任論が広がる中、よく左派がその人は境遇的に致し方なくその判断をしたのであって責任がないとする責任否定論で反論する。
しかし、責任否定論も、責任の間口を狭くしただけで、その人が自分の自由な判断でした場合はそれなりの懲罰を与えるべきという点には同意しており、結局は生き辛さに加担しているという指摘は目から鱗。
そこで著者は、否定的に捉えられがちな責任に、自分のなしうることを全うするという肯定的な意味を持たせ、その結果望ましくない結果に至ったとしても、懲罰を与えるかどうかは慎重に検討すべきという責任肯定論を提案する。
責任にはもともと、自分のことは自分でやるというだけでなく、社会にとって有益なことをなすという意味があったという歴史から始まり、責任について広がりを持たせる試み。