押谷仁のレビュー一覧
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[ 内容 ]
燎原の火のごとく広がる新型インフルエンザ。
その世界的大流行は我々に何を問いかけているのか。
小説家の想像力と専門家の洞察力とが切り結ぶ対話篇。
いま必要なのは、過度に恐れず、適切に恐れることだ。
根源を見すえた議論が、パンデミックに立ち向かう勇気と、冷静に対処する視座を与えてくれる。
[ 目次 ]
救える命を救うために(数ではわからないこと;感染症と病原性;つばがりの視点)
第1章 恐れと対峙する(公衆衛生の道へ;SARSでの体験;適切に恐れる;見えてくる被害;怖さを伝える)
第2章 パンデミックという経験(感染拡大は止められない;プロアクティブの重要性;致死率の難しさ;感染 -
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2009年の豚インフルエンザによるパンデミックの際に書かれたものです。2009年といえばリーマンショックの年。豚インフルエンザの流行は聞いたことがあるが、あまり記憶に残っていませんでした。感染症対策については、今も10年前も同様で、再生産者数、感染のピークを減らすなどの話がありました。
著者の1人の押谷仁さんは、現在の専門家会議のメンバーとして活躍され、2003年のSARSではWHOで対策をとられた方。もう1人の著者の瀬名秀明さんはSF作家。2020年2月の「100分で名著」の解説をされ、薬学博士で私と同学年です。
文末では100年後の未来について語られ、瀬名さんよりご自身の仕事を踏まえ「 -
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シンパシーとは寄り添うこと、エンパシィは思いやり、他者の気持ちを推し量って配慮し行動すると言う意味、忖度、昨今先回り服従と言う悪いスティグマがついてしまった。
小説を読んで、主人公に共感しました、本当の読書とは言い難い。自分とは異なる立場の人の心情も理解できて初めて読書体験は豊かになる。
ジャックアタリ氏の利他の精神、エンパシィによる他者理解の精神、利他主義は合理的利己主義に他なりません。自らが感染の脅威にさらされないためには、他人の感染を確実に防ぐ必要がある。私はしばしば利己的でありながら利他的にもなれる、
合理的な利他主義、希望を持って最善を尽くして生きる。楽観主義ではなくポジティブに考え -
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新型インフルエンザ(2009年)の時に発売された本ですが、その後にエボラ出血熱(2014年)、新型コロナウイルス(2020年)のように、パンデミックは周期的に訪れています。その都度、それに対して学び、そして忘れていく...世界はそんな流れになっている感じがします。この本の要は「極端に走らないこと」です。そしてウイルスの正体よりも、人間心理と言うか、それぞれが思惑に従った情報発信と情報選別をしている現実も描いています。正解がないだけに、ある程度、周囲に前ならえをする必要はあるかと思いますが、それぞれの価値観が違うだけに、難しい所もありますね。
私の論説も含まれますが、例えば、十分にソーシャル -
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会社での対策策定や、子供の予防接種など新型インフルには騒がされた。この本も同時進行的な、分からないなりに脅威に向かい合う専門家の対談。新型騒ぎは下火になったが、冷静な視点で振り返るのは必要だろう。
・リスクコミュニケーションの難しさが両者の共通意識である。なるほど。
・地球温暖化と同じく、正確なところはわからないが対応しなければいけない問題への社会としての向かい合い方は難しい。
・瀬名氏のお父さんがインフル専門家とは知らなかった。
・押谷氏は新型騒動で有名になったが、途上国の公衆衛生がバックグラウンドであった。医療の充分でない国々への熱い思いは初めて知った。
・SARSは今回の新型より全然緊 -
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2009年4月にメキシコに始まり世界規模で大流行した新型インフルエンザを中心に、パンデミックとは何かを探る対談集。コンパクトで非常に読みやすい。当時ソウルにある小さな塾で日本語を教えていた。近くの英語スクールが休校になったとの噂を聞き、感染したらどうなるのだろうかとビクビクしながら授業を続けたものだ。外国ゆえ情報が余り入らず、今回この本を読んで初めて知ったことも多い。あれだけ大騒ぎしたのに今は皆がすっかり忘れてしまったようだが、これだけ地球が狭くなった昨今、パンデミックはまさに『今そこにある危機』である。
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