尾高朝雄のレビュー一覧

  • 国民主権と天皇制

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    国民主権とは何か?天皇制とは?一見相容れないこの二つはどう両立するのか?この疑問をこれほど理路整然と、しかも極めて平易な言葉で説明した書物を知らない。敗戦とともに統治権の総攬者としての天皇の地位は失われた。その意味では政体は君主制から民主制に転換した。これをもって国体が変わったと考える人もいる。佐々木惣一がそうだった。だが統治の主体が君主であれ国民であれ、それが国民の信託に基くなら、政治権力の正当性の源泉は国民にある。その意味に於いて歴史を通じて日本は国民主権であったと尾高は考える。天皇は形式的には国民が選んだ訳ではないが、天皇制がかくも長きにわたって存続したのは国民の支持があったからだ。

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    2023年12月30日
  • 国民主権と天皇制

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    法哲学として明治憲法と日本国憲法の主権について述べた昭和22年の書籍を新たに文庫本にしたものである。宮沢との論争も掲載されているので、憲法について卒論を書こうと意図している学生には必読であろう。しかし、教育についてはほんの僅かしか触れていないので教員養成系大学の学生にとっての評価がわからない。

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    2025年11月13日
  • 国民主権と天皇制

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    天皇主権の大日本帝国憲法は、国民主権を謳う日本国憲法に「改正」されたが、国会の審議その他の場で、「国体」が変更されたか否かが大きな問題となった。著者は、主権が君主にあるか、国民にあるかという帰属の問題も一応は論じる。しかし、国民主権になったからそれで良しということではないとして、無限定の「実力としての主権」を批判し、「法の理念としての主権」、そしてその背景にある『ノモスの主権』を論じていく。

    ノモスの主権を巡っては、宮沢俊義・東京大学法学部教授との論争があり、そのポイントは、本書第7章に、著者の簡にして要を得た紹介があるが、本書全体を著者自らが要約してくれているようなものなので、大変参考にな

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    2020年05月24日