エイモアトールズのレビュー一覧

  • モスクワの伯爵

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    なんと言おう。今年最高の読書体験。ベスト1。
    軽くネタバレですが、ロシア版ゴージャス『ショーシャンクの空に』。何度笑い泣きしたことか。金箔を効果的に使った装丁も大好き。
    ロシア革命により生涯を豪華ホテルの屋根裏部屋に軟禁されることになった伯爵が、死を考えながら幾度も生きる意味を見つけ、人と絆を結んでいく。
    もともとホテルが舞台の話は好物なので、舞台となっているモスクワ・メトロポールという実在する超一流の宿の、細かく書き込まれた舞台裏も、プロに徹するスタッフの仕事ぶりと人柄も、すべてが極上の味として刻まれました。
    抜き書きしておきたいセリフ、場面、考察がたかさんあるけど、「自らの境遇の奴隷となっ

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    2019年10月24日
  • モスクワの伯爵

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    32年間のホテルでの軟禁生活。ホテルでの出会いや事件を通して強くなる人々との強い信頼関係。それは揺るぎ無い伯爵の人間性なのだろう。読後感がとても良かった。

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    2019年09月22日
  • モスクワの伯爵

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    名作。
    ホテルに軟禁された32年間が、ゆっくりと進むところと
    あっという間に過ぎ去るバランスが絶妙。
    登場人物もとても魅力的。

    再読したい。

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    2019年08月18日
  • モスクワの伯爵

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    長い。しかし面白い。
    本文600頁を超えるのに、特漉き用紙を使っているのか、少し部厚いくらいの製本になっている。
    歴史ある高級ホテルの室内装飾を思わせるカバーの色使いも、この本にふさわしい上品さを感じさせてくれる。
    いまなおNYTのベストセラー・リストに名を連ねているのも納得できるもので、これをしっかりした造本で翻訳出版してくれた早川書房に感謝。
    翻訳も読みやすい。
    しかし、この小説の著書はてっきりイギリス人と思って読んでいたらアメリカ人で、しかも投資家だったと記されていてびっくりした。

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    2019年08月08日
  • モスクワの伯爵

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    装丁のブルーグリーンに惹かれて手に取り、見返しを読んで購入。まだまだ始めなのが嬉しい。久しぶりに好きな本見つけた。どんな風に進むのか不安もあるけど、とにかく今は出会えて嬉しい。


    読み終えて、、、
    初めは、気持ちの穏やかさや品格の良さの持つゆったりとした印象が心地よいと思った。甘かった。最後の方は心配でしばらく読めず。意を決して読み始めたら気になりすぎて落ち着いて読めず。

    哲学書のような捉え方もできる。歴史書でもある。そしてもちろん物語でもある。

    午後もう一回読もう。

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    2019年07月27日
  • モスクワの伯爵

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    1922年ロシア革命後に軟禁刑になったロストフ伯爵。ロシアの高級ホテルの屋根裏部屋で過ごすことになりホテルから一歩でも外に出れば銃殺刑に。ホテル内の閉ざされたなかでも伯爵は背筋を伸ばし紳士として周りを思いやりながら生活する。ホテルスタッフたちとの交流、友情、少女との出会い。そこからの鮮やかな日々。軟禁という生活のなかでも心持ちでかわる日常の色。ユーモアを忘れず人との時間を大切にし自分にできること、やらなければいけないことを見つけそれをまた人に返していく。狭い世界に閉じ込められても出会った人、見つけたもの、その全てが愛おしく思えるようなとても素敵な物語。

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    2019年07月05日
  • モスクワの伯爵

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    舞台は1922年のモスクワ。
    革命政府に無期限の軟禁刑を下された伯爵アレクサンドル・イリイチ・ロストフ。
    メトロポールホテルのスイートに住んでいたが、
    これからはその屋根裏で暮らさねばならない。
    ホテルを一歩出れば銃殺刑が待っている。
    そんな境地に陥った伯爵の32年にも及ぶ軟禁の物語。

    同作者エイモア・トールズの前作『賢者たちの街』と時代設定は同時期だが、
    今作の方が個人的にはかなり好みでもあり、胸に刺さるものがあった。

    コロナ禍というものを体験した現代の我々も、
    ある種この軟禁というものに関しては共感を抱けるであろう。
    だが、我々と大きく違うのは伯爵は残りの人生全てなのである。
    想像した

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    2025年10月07日
  • リンカーン・ハイウェイ

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    もうね、前半はハラハラしっぱなしだったんですよ。
    車は?お金は?なんでそんなことするんだい(怒)ってね。
    私は、真面目な人がバカを見る的なことが、どうにも嫌みたいw
    でも話が進むにつれ、因果応報といいますか、良い人には救いの手が差し伸べられて意外な展開で助けられていく様に、私までもが救われる思いでした。
    最後はちょっと悲しい思いもしましたけども、ね。

    ユリシーズの「本当に見捨てられたと感じてはじめて、人は次になにが起きるかは自分次第なのだという事実を受け入れられるんだ」付近のセリフ、痺れました!

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    2025年07月10日
  • フォワード 未来を視る6つのSF

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    アンディ・ウィアー目当てで手に取ったが、傑作揃いで良かった。とくに、「夏の霜」の自己進化を続け次第に意図が読めなくなっていくAIの表現、「目的地に到着しました」の主人公の絶望を推測させる書き方が好きだった。楽しみにしてた「乱数ジェネレーター」はとにかく映像映えしそうな…いや内容的にはしないんだけど…そう感じてしまうような迫力のある舌戦で、まだまだ彼の作品が読んでみたくなるものだった。

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    2024年07月15日
  • リンカーン・ハイウェイ

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    1954年、アメリカ。
    18歳のエメットは更生施設を出所し、弟が待つネブラスカの自宅に戻って来たが、そこには施設から逃げ出したダチェスとウーリーもいた。
    エメットと弟は、母が暮らしているはずのカリフォルニアに行き、心機一転、新しい生活を始めるはずだった。だが、ダチェスとウーリーに愛車のスチュードベーカーを奪われ、仕方なく二人の後を追ってニューヨークに行くことに。
    ダチェスは、上流階級出身のウーリーの一族がニューヨーク州北部に所有する屋敷の金庫の金をみんなで山分けすると豪語していたのだ。
    孤児院のシスター、胡散臭い牧師、妻と別れた善良な黒人男性、売れないシェイクスピア俳優、憧れの作家――道中、エ

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    2023年11月28日
  • フォワード 未来を視る6つのSF

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    アメリカが誇る実力派SF作家の中編集。
    仮想空間内のキャラクターが人格を持ち始める編者クラウチの「夏の霜」から始まり、今や泣く子も黙る、飛ぶ鳥を落とす勢いのアンディ・ウィアーの量子コンピュータでカジノをハックする「乱数ジェネレータ」で締める。どれもモダンでキャッチー。イマドキのSF。退屈な小片などひとつもなかった。
    SF的素養はいらない。ほんの少しの想像力で豊かな読書体験ができる。よかったなー。

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    2023年04月18日
  • モスクワの伯爵

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    1922年、革命後のロシア(ソ連)。新政府によって王族や貴族が次々処刑されるなか、パリから祖国に戻り、そのまま残ることを決めたアレクサンドル・ロストフ伯爵。過去に発表した一篇の詩のおかげで死を免れた伯爵だが、それからはモスクワの中心地にある高級ホテルから一歩もでられない軟禁生活を送ることに。滞在していたスイートから狭い屋根裏へ移され、客から従業員へいつしか立場を変えながら、ホテルが全世界であるかのように味わい尽くそうとした男の半生記。


    トム・ハンクス主演のスピルバーグ映画みたいな小説。装幀から漂うウェルメイド感は読者を裏切らず、古き良き時代の上品な世界に連れていってくれる。
    ロストフはソ連

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    2022年10月29日
  • 賢者たちの街

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    「モスクワの伯爵」同様、最初は少し読みづらかったが途中からめちゃくちゃ面白くなった!!恋愛、友情、野心、郷愁…。

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    2022年04月01日
  • 賢者たちの街

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    ネタバレ

    世界恐慌や第二次世界大戦といった歴史的出来事の影響を受けた1930年代のニューヨークが舞台。

    現代とはかけ離れた世界の中で(煌びやかであり貧しくもある)、人々がどんな考えをもち、暮らしを営んでいたのか垣間見ることができて、面白かった。

    育った環境や性格の違う登場人物たちが下す、人生の選択。イヴの性格に憧れ、ティンカーの人生に共感した。

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    2022年01月04日
  • 賢者たちの街

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    ネタバレ

    前に読んだ『モスクワの伯爵』と同じ作者。『賢者たちの街』の方がデビュー作だけど、自分はデビュー作の方が好きかも。
    装丁といい、主人公が上流社会にお邪魔するところが『グレート・ギャツビー』ぽいと思ったけど、それみたく作中モヤモヤすることはほぼなかった気がする。

    ヒロインは周りの玉の輿を狙うDreamy Girlsとは一線を画した自立系女子。『モスクワの伯爵』の伯爵同様、どんな相手の言葉も知的にかわし、スマッシュもばっちり決める。上流社会を垣間見る時も(驚いただろうけどそれを顔にも文章にも出さず)読書家の彼女らしい豊かな表現で、冷然と観察している。

    友達に一人は欲しいタイプ。自立系女子は今でも

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    2021年10月21日
  • モスクワの伯爵

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    ロシア文学や、彼の国を舞台にした話に関しては物々しくて殺伐とした印象があった。(イラストもさることながらライトグリーン・ゴールド・モノトーンのコンビネーションが完璧な表紙とそれにマッチした上品な花切れに一目惚れしたのが動機…)

    それに対して本書はお貴族様が主人公なので、彼の人柄や彼を取り巻く世界が実に紳士的でエレガント!長ったらしい小話や馴染みのない彼らの近代史、凝ったモノの例え・言い回しのせいで何度も立ち止まらなきゃいけなかったけど、少なくとも読んでいてイラつくことはなかった。

    のらりくらりと(絶対に真似できないような)受け応えをし、時には自分から首を突っ込んだりして難題をかわしていくさ

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    2021年10月21日
  • 賢者たちの街

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    1930年代後半のニューヨーク。
    若いケイトとイヴは、銀行家ティンカーと偶然出会う。仕事と恋と華やかな上流社会との交流。
    抑えられない恋心と自尊心の間で、それぞれが自分に正直に生きていこうとしたのかな。

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    2020年11月14日
  • 賢者たちの街

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    1966年、NYの近代美術館(MoMA)で開催された古い隠し撮りの写真展(実際にあったものらしい)で懐かしい人物が写っているところからスタートする。始まりからお洒落。
    主人公ケイト・コンテントは大恐慌(1929年)のとき16歳となっているから、1913年生まれということになる。
    1937年から39年の間に、才能に恵まれて野心に満ちたロシア移民の二十代女性がハイ・ソサエティーに入り込んで、さまざまな人達と交流していくさまを描いたもの。
    先に読んだ「モスクワの伯爵」の作家の第一作らしい。
    二つの作品ともに、普通の人間は垣間見ることない、優雅な上流階級を描いていて、まるで映画の世界の中に引き込まれる

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    2020年11月14日
  • 賢者たちの街

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    『モスクワの伯爵』で、とんでもない逸材を引き当てたと思ったエイモア・トールズの、これが長編デビュー作。一九二〇年代から一九五〇年代のロシアを舞台にしたのが『モスクワの伯爵』なら、これは一九三七年のアメリカ、ニューヨークが舞台。まるでタイムマシンに乗ってその地を訪れているかのような、ノスタルジックな世界にどっぷり浸れるのがエイモア・トールズの描き出す作品世界。デビュー作とは思えない完成度の高さに驚かされる。

    一九六六年十月四日の夜、中年の後半に差しかかっていた「わたし」はニューヨーク近代美術館で開かれた写真展のオープニング・パーティに出席した。黒のタキシードと色とりどりのドレスがシャンパンで酔

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    2020年09月09日
  • モスクワの伯爵

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    ロシア革命によりモスクワの高級ホテルに軟禁されることになったロストフ伯爵。スイートルームから屋根裏部屋へ移され、ホテルから一歩も出ることができなくなる。だが、伯爵はそれまで通りホテルでの生活を紳士として続ける。ホテルの従業員たちと親しくし、貴族としての身のこなし方や知識からレストランで重宝され、泊まり客の女優の危機を救ったことからベッドを共にすることになり…。
    軟禁されているとはいえ、ユーモアとセンスと知識で伯爵らしい生活を続けているのだが、あることから女の子の養育を任される。伯爵の生活に、女の子の父親としての生活が加わる。

    あり得ない設定なのに、伯爵のセンスにどんどんひかれていく。思わずク

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    2020年08月29日