エイモアトールズのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
不思議な小説。帝政ロシアからソ連へと変わる時代を舞台とする。主人公のロストフ伯爵は裁判で、メトロポール・ホテルを出たら銃殺という刑に処される。ロストフ伯爵が暗い人生を歩むのかと思いきや、ワインホテルの食事を楽しみながら、それほど不自由ではない生活を送る。転機はソフィアという子供を預かったところから。父親はシベリア送りで、母親は夫を追いかけていくという状況なので、本当の家族が一緒になるのは絶望的である。ソフィアと伯爵の奇妙な生活を長らく送り、大団円へと向かう。
伯爵を客観視すると、軟禁状態ではあるものの、外出できないだけで不自由なく生活しているように見える。でも、事はそんな単純ではない。自由と -
Posted by ブクログ
ケイティにとって、ニューヨークでの、1937年の大晦日からの1年間は特別でかけがえのないものであった。
読書を愛するケイティが、イヴ、ティンカー、ハンク、ウォレス、アン等(個人的にディッキーとビッツィも挙げておきたい)、印象に残る個性的な友人たちと織り成す想い出は、当時の時代性や文化の壮麗な描写とのバランスも相まって、上品なチャーミングさと冷静なクレバーさが(あと、奔放さも)混在した素晴らしさの中に、シリアスさもきっちり含まれており、なぜ、特別な一年なのかが、読んでいく内に明らかになるストーリー展開も素晴らしいです。
私みたいに、当時のニューヨークの文化をあまり知らなくても、親切な解説に、 -
Posted by ブクログ
主人公の伯爵がホテルに軟禁されて過ごす32年間を綴った物語。細かい描写や彼の紳士的で気遣いができるキャラクターを表すシーンが非常に多く、またモスクワの最高級ホテルであるメトロポールを舞台にしていることから、600ページに及ぶ長編小説とはいえ、まるで映画を観ているかのようなストーリーだった。世界からやってくるVIPたち、ゲストから給仕となり最高級のおもてなしをしていく伯爵の姿、煌びやかなクリスマスの内装や、素晴らしい料理の数々。設定が本当に素敵。
私は正直ロシアに関連する歴史に疎いので、舞台となっている皇帝時代からスターリンの時代がきて、そこから更に新しい時代へ進む過程がどのようなものだったの -
Posted by ブクログ
革命を経て、帝国から共産国へ変わったロシア(ソ連)。貴族だからという理由での銃殺刑を免れ、モスクワの名門ホテルに生涯軟禁されることなった元伯爵の物語。
宝塚に、「神々の土地」という芝居の演目がある。おそらくいま最もヅカファンから支持されている座付き作家上田久美子さんの作品で、30年以上宝塚ファンの私がもしかしたら一番好きかもしれない演目である。帝政崩壊・革命のきっかけともなったラスプーチン暗殺の実行者として知られる、時の皇帝ニコライ二世の従弟 ドミトリー・パヴロヴィチ・ロマノフが主人公のモデルになっている、美しく重厚な作品だ。ストーリーが登場人物を動かすのではなく、登場人物がストーリーを作って