吉田敦のレビュー一覧

  • アフリカ経済の真実 ──資源開発と紛争の論理

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    希望の大陸、最後のフロンティアとして注目を集めるアフリカ。しかし、それは果たして誰にとっての「希望」なのか――本書はその視点からアフリカ経済の現実を描き出している。特に印象的だったのは、食料安全保障を目的に「低開発地」とされた土地に外国資本が参入し、大規模農園を建設する事例だ。一見すると、食料増産や外貨獲得、現地雇用の創出など、関係者すべてが恩恵を受けるウィンウィンの構図に見える。しかし実際には、その「低開発地」にも多くの零細農民が暮らしており、大規模農園が提供する雇用は彼らの生活を支えるには不十分だった。

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    2025年08月05日
  • アフリカ経済の真実 ──資源開発と紛争の論理

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    アフリカの深くて暗い闇を見た。世界の誰かの生活を豊かにするためにアフリカの資源開発を行いながらも当事者たちは豊かにならず血を流す。特に第3章絶望の国のダイヤモンドは衝撃だった。「永遠の愛」を誓い、愛する人に贈るための美しいダイヤモンドは、アフリカの人々の憎しみを増幅させ、子供兵を麻薬漬けにするための資金源とされる。どうあっても許されない行為が起き続けている事に言葉を失う。当然自分なんかに解決できる問題ではないが、真実を知れただけでもこの本を読んだ甲斐があった。無知は罪であるのだとすれば、ある意味自分も共犯であり、知る事をできたことだけでも罪から抜け出す一歩目だったのかもしれない。

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    2024年09月09日
  • アフリカ経済の真実 ──資源開発と紛争の論理

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    アフリカが誰にとっての「希望に満ちた大陸」であるのか(15ページ)という問いから始められる本書。
    サヘル地帯、マダガスカル、アルジェリア、コンゴ民主共和国の政治・経済史とその現状に言及し、最後にアフリカ大陸各地で行なわれるランドグラブについて述べられる。
    多国籍企業、現地政権等の特権的受益者に翻弄され苦しみ続ける人々。私にとって、本書初めの問いは、これらとアフリカからの原材料から作られる安価な製品を手に入れることができる他国の人々にとっての希望に満ちた大陸なのだという答えしか考えられなかった。そこからは現地の民衆は排除されているのだ。

    絶望の国のダイヤモンドの章にかなりショッキングな内容があ

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    2024年08月09日
  • アフリカ経済の真実 ──資源開発と紛争の論理

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    アフリカについても、資源開発についても詳しくないわたしでも、わかりやすく読めた。
    開発と聞くと何か良いことのように思えるが、その裏には紛争やさらなる貧困への転落など人々の葛藤がある。真にその土地に住み暮らす人々とともに行われる開発を望みたい。

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    2023年11月14日
  • アフリカ経済の真実 ──資源開発と紛争の論理

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    吉田敦(1973年~)は、明治大学大学院商学研究科博士課程、仏パリ第10大学DEA課程修了。パリ第1大学博士課程、(財)海外投融資情報財団特別研究員などを経て、現・千葉商科大学人間社会学部准教授。専門は国際貿易論、資源開発、アフリカ経済。
    一般に、アフリカというと、21世紀に入り高い経済成長率を維持し、今後も100年以上に亘り人口が増加し続けると予想され(中国、インドを含むアジアはその前に人口減少に転じる)、「最後のフロンティア」、「最後の巨大市場」という明るいイメージが先行する。しかし、著者が本書で描いているのは、そうした希望に満ちたアフリカの姿ではなく、自らの国家のヴィジョンを描くこともま

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    2020年09月25日
  • アフリカ経済の真実 ──資源開発と紛争の論理

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    日本人にとって心理的にも遠いアフリカ。あまりにカオスで興味すら湧かない。そんな状況を丁寧かつコンパクトに説明してくれる良書。著者は学者だが読みやすく配慮されている。
    「統治されない空間が莫大な利益を生む」というのが印象に残った。破綻国家で内戦が相次ぐ状況で収奪や密輸で利益を得ている集団があるという現実。
    そうした集団を利用している多国籍企業や先進国があるという現実。人道主義だけではどうにもならない絶望的な現実を知ることができた。
    「世界の成り立ちを知ることができる書」の一冊である。

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    2020年09月17日
  • アフリカ経済の真実 ──資源開発と紛争の論理

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    「フランス語圏アフリカ」・「資源」をキーワードに、アフリカにおける紛争の現実を踏まえつつ、現状のアフリカの課題について、幅広く取り扱っている本。ただ、悲観的な記述とともに、このようなアフリカの現状を踏まえ、どのような今後・将来のアフリカが期待できるのか、筆者としての「開発」に対する明確な定義が指し示していない点が残念である。

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    2020年09月22日