猫が好きでアドラー心理学にも興味があるので(前に1冊読んだことあり)気軽に手に取ってみたら、充実した内容で思いがけず読み込んでしまった。
猫と一緒に暮らしていると、その自由ぶりが羨ましくて「猫になりたいなぁ」と思うことしばしば。猫を飼った経験がある人なら、同じ風に思ったことがある人は多いと思う。
人間に対して忠実で人間主体である気質を持つ犬に対して、あくまで自分主体な猫。そんな猫の気質と、自分を尊重しようというアドラー心理学を掛け合わせて、日々人間が持つ悩みに答えていくかたちで進んでいく本。
プラス、上記のように猫の気質についてもいろいろ知ることが出来る。著者は獣医で、あらゆる動物についてよく知っているからこそ、他の動物と比べたときの猫という生き物についても書かれていて、とても興味深かった。猫とずっと暮らしていても、案外知らないこともあるのだな、と。
人は人である以上、他人の顔色を読んでしまったり、気持ちを推し量ろうとしてしまったりする。その行動が自分を苦しめたり生きづらくさせてしまうことも多いのに、自分主体に生きるというのはやはり難しい。
だけど人間界にも「あの人自由だなぁ」と感じる人は時々いる。あくまで自分はどうしたいか、ということに重さを置いて生きているような人。そういう人は、猫に近い生き方をしているのかもしれない(もちろん本人にはそんな意識はないだろうが)。
自分が思っているより、他人は自分のことをそんなに事細かくは見ていないし気にしてもいない。そのことだけでも心に留めておけば、自分はどう思ってどう行動したいのか、ということに焦点を当てて生きることが出来るようになってくるのかもしれない。
アドラーと言えば「嫌われる勇気」がとても有名だけど、人とのたくさんの関わりの中で自分らしく生きようとする時、その勇気はやはり必要だ。
常に自分のしたいようにして、他の生き物のことなんてまったく気にもかけていないように見える猫は、ナチュラルにそういう生き方ができている身近なお手本。
この本を読んでふむふむと思いながら、やはり「いいなぁ猫は」に集約されるのであった。