こ、これは犬好きにはたまらん一冊だなぁ
描き手である極楽鳥先生が、本気で犬が大好きで、彼ら彼女らの魅力を読み手に伝えたいって真剣な思いを受け止められる
擬人化ってのはありふれた表現ではあるけど、やっぱり、描き手の萌えを読み手に訴えるには、これほど適したモノもあるまい
正直なトコを言えば、絵柄は荒い。
...続きを読むけど、その大胆な線の使い方が、人に飼われつつも、決して失ってはいない犬たちの野生そのものを、しっかり表している、と私は感じた
様々な犬種の可愛さを特徴を示しながら説明しつつ、基本的にはコメディな内容なのだが、時に友情を軸にしたマジメな一編も混じっており、極楽鳥先生の引き出しの多さに唸らされる
実際、この犬種が人の姿を持ったら、こうなるだろうな、と納得できる。これは、相当に犬らを観察し、妄想力を高めていなければ出来ない業だ
雄と雌のバランスがいいのも高評価。友情だけでなく、ほっこりしてくるラブコメも押さえてくれている
とことん、犬尽くしなら、猫派の私は楽しめないな、ガッカリしてしまったそこのアナタ、安心してください。詳しくは語れませんが、犬がいるトコには、アレもいる。きっと、猫派でも満足できるでしょう
アドバイスって訳ではありませんが、注意を一つ。作中でも先生が仰っているが、あくまで、この『犬擬人化漫画 略して犬漫画』はフィクション。作中で皆が仲良くしているからと言って、現実でも、大型犬と小型犬がそう簡単に仲良くできる訳ではないので、グロくて悲しい顛末を見たくないのであれば、近づけないように
どのイケワン、ヒロワンもお勧めだが、個人的には、やっぱり、シベリアン・ハスキーはグッとくる。きっと、『動物のお医者さん』(佐々木倫子)の主人公・チョビのイメージが強いから。おバカキャラなのだけど、愚かではなく、厳しくすべきトコは厳しくでき、他人(他犬?)のために動ける奴だ
特に強く印象に残った話は、113pでの、ジャーマン・シェパード・ドッグとベルジアン・シェパード・ドッグ・グローネンダールの絡みだ。期待を裏切られる事の悲しさが、シェパの慟哭から伝わってきた。しかも、これがどん底ではなく、彼は次のページで、より世界の残酷さを身に染みて知る事となる
その一方で、シベリアン・ハスキーとボーダー・コリーの友情成立の話には感涙した。自分が失敗してしまったからこそ、友達には同じ轍は踏ませたくない。だから、自分の印象を悪くしてでも、友達のバカは止める。ハスキー、ますます惚れた
この台詞を引用に選んだのは、思わず、キュンと来てしまったので。やっぱ、例え、チビでも、短足でも、カッコいい奴はカッコいいのだ。クサいと言えば、クサい。でも、それは中途半端に照れてしまったらの話。サラッと素で言えれば、イケメンだ。イケメンへの道のりは厳しいなあ