中塩智恵子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この著者の「男娼」が面白かったためこちらも読んでみた。
第一章は文章がかたく、風俗嬢のとにかく真面目なインタビュー。
第二章から中塩さんらしさが発揮され、風俗嬢が語る出来事からその人の人生や物語が垣間見れ、文章が生き生きとしてくる。
お水と風俗の夜の世界だけで生きてきた嬢は考え方がフワフワしているが、社会人経験のある嬢は地に足がついているというかしっかりしているなと感じた。
また、その嬢の現役時代だけでなく、嬢をあがった十数年後に再インタビューしているのは、風俗という仕事を俯瞰して見ることができてとても良いと思った。
印象に残った点をいくつか。
①対外的に愛想がいいタイプより、淡々と応対 -
Posted by ブクログ
女性ライターが風俗を描いた作品は、男性の視点でみるととても新鮮に感じます。
金で性を買うのは男性。
そんな固定観念は、エロ、のひとつの視点でしかないのに、男性から見た性産業への視点だけがあまりにも強かったことに、この本を読めばはっと気づくことができるでしょう。
でも、さすがのライターさんも、中から自分の性と異なる形の性にたいして、とたんに混乱していくのが伝わってきます。
性は自分の理解、自認によってとても固定化しやすくて変化させるのが難しい部分なのがよくわかります。
居心地よく生きることのとても重要な部分は、性によってとても繊細に織りなされているのだなぁ、と感じます。