川澄浩平のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
中学生の学生生活を主題とするのって案外難しいと思っていて、高校生のように皆が一応は青年期に入っている年齢の方が、成長するにも恋するにも謎を解くにも話をある程度フクザツにしやすい気がする。
それで本書なのだが、うまいな、と感じる。
例えば、同じバスケ部でもある友人と、クラスメートの前なのに部活の時のノリで会話してしまったことに悩む、など、中学生の心の”機微”のくみとり方が巧みだ。探偵役の歩にしても、高校生でこの喋り方だとキャラ付けが過剰だと思うんだろうけれど、中学生なら納得できる。
お気に入りの一編は、みんなで余市に行く話。
「謎」自体は割合単純で「まあそんなもんだよね」的な解決をしていくん -
Posted by ブクログ
中学生の日常の謎で安楽椅子探偵もの
バスケ部に入っていて、自分の身長が高い事を気にしている海砂真史
とある日、机に差出人不明のラブレターが入っていた
ラブレターの相手は誰なのか?
近しい人にも相談しにくいため、母親同士が旧知の中で幼馴染だが小学校入学前から9年間会っていない鳥飼歩を訪ねる
鳥飼歩は昔から頭が切れ、小学生のときにちょっとした事件を解決した事もあったという
果たしてラブレターの差出人の正体とその意図とは?
全4話で、海砂真史とそのバスケ部の友人、栗山英奈、岩瀬京介、田口総士のそれぞれにまつわる日常の謎
1話 Love letter from…
2話 ピアニストは蚊帳の外
3話 -
Posted by ブクログ
ミステリーだが、殺人などは起こらない。いや、法律に触れるようなことさえない。中学生の些細な疑問に焦点をあて、謎解きが行われる。解決したところで特に何も変わらない。
どちらかというと青春小説の意味合いのほうが強く、中学生の生きる世界がくわしく描かれている。
体の成長に心が追いつかず不安定。小さいコミュニティの中で自分と他人と比べて苦しむ。
自分の中で正解を見つけられない恋愛感情。自らが何者かわからず自分に自信をもてない。
頭がキレて名探偵である歩も例外ではない。むしろ不登校でほぼ引きこもりである歩が一番苦しんでいるのかもしれない。
些細な問題を解決する名推理。それにより皆が少しでも幸せにな -
Posted by ブクログ
ネタバレ久しぶりの鮎川哲也賞受賞作。
中高生が抱える日常のささいな謎を扱ったミステリで、青春ものでもある。登場人物が少なくて、なおかつキャラが立ってるのが読みやすくて良い。
短編集だが、どの話も最後まで書ききらないところが、この作者の好きなスタイルなのかな、と思った。結局ラブレターはエナからだったのかとか、ホントに岩瀬はボイスレコーダー使ってたのかとか、ウミが田口に謝った時の様子も知りたかったなぁ、とか。99%そうなんだと思うけど、そうだと言い切ってしまわずに、読者の想像に委ねてるところがある。嫌いじゃないけど、ミステリを読んだ後はスッキリした読後感に浸りたい私にとってはいくらかもどかしくもある。ただ -
Posted by ブクログ
ネタバレ誰も死なない、中学が舞台のほのぼの系ミステリー。主人公の活発なバスケ女子“ウミ”と、変人だけど頭のキレる“歩”。性格が正反対の幼馴染コンビが、身の回りの事件を推理していく様が面白かった。
全4話構成で、各話ごとに扱う事件が違う。
1話はラブレターの差出人さがし。2話は合唱コン練習での指揮者と伴走者の衝突。3話はモテ男の浮気調査。4話は父と喧嘩し家出したウミの場所を、歩むたたちが突き止める。どの話もオチはホッコリできて後味がいい。
とくに印象的だったのは下記3つの話だ。
*第一話 Love letter from...
ウミの机にだれがラブレターを入れたのか?
先入観により男だと