ドナート・カッリージのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
無国籍のエンターテインメント大作『六人目の少女』で凄まじいデビューを飾ったイタリア人作家カッリージの長編第二作である。のっけからあれほどのアイディアを詰め込んでしまった彼が、第二作をどのくらいの意欲と自負とで書き始めたのか想像もつかないが、大抵の作家であればあのデビュー作を超える二作目というだけで、恐怖に震えそうだ。
そうした周囲の期待を背負って作り上げねばならなかった本書は、作者がそうした期待にしっかりと応えるこれまた印象的な作品であり、さらに作者があとがきで書いているように、二つの大きな興味深い題材を何としても小説化したかったという確かな動機に支えられて生まれたものであろう。
二 -
-
Posted by ブクログ
ネタバレとにかく濃厚な文章、スピーディな場面転換、さらには多彩な視点でぎっしりと物語が描きこまれている。ショッキングな冒頭から、シリアルキラーと戦う特捜班の知恵比べが始まる、薄皮を剥ぐように次々に意表を突く展開が待ち受けながら、少しずつ話が収束していく様は見事としか言いようがない。練られたプロットには驚くし、伏線が至る所に張り巡らされている。
生き残った少女がヒロインであり、彼女に捧げる犯罪?というのオチがスゴイ。結局犯人は捕まっていないわけだからこれは続編が望まれる。
それにしても、6本の腕、5人の行方不明の少女、謎の囚人、自傷癖の女刑事、息子を抱えた心理学者、パレイドリア(幻視)能力を持つ修道僧、 -
Posted by ブクログ
不思議なことに、国籍のない作品である。イタリア発の作品ではあるけれども、物語の舞台はどことも取れない。作者はいつの時代でもどこの国でも通用する時代や場所にとらわれない物語を書きたかったらしいのだ。いわば人類共通の物語というものを。
そうした思いを抱く作者にとっては幸いなことに、この作品は世界23ヶ国で翻訳出版され、バンカレッラ賞、フランス国鉄ミステリ大賞、マッサローザ文学賞、カマイオーレ推理小説賞、ベルギー推理小説賞、地中海推理小説およびノワール小説フェスティバル大賞などいくつもの多国籍に渡る賞を受賞している。イタリア版『羊たちの沈黙』とさえ語られ、ヨーロッパ各国でビッグヒットを飛ばし、 -
Posted by ブクログ
原題は”ささやく者”、意味するところは”暗示者”
イタリア版『羊たちの沈黙』と称されるだけの事はある。
物語は森の中で六人の少女の腕が発見されるところから始まる。犯罪学者ゴランと行方不明者捜索のスペシャリスト、ミーラが主役となって物語は展開していく。
次々に発見される少女の遺体、まるで「セブン」の様に猟奇的な展開、やがて発見場所に意味が有ることが判明、背景に全く別の殺人事件が有ることが捜査の過程で浮かび上がってくる。
3人目くらいまでは絶好調、この勢いが最後まで続けば凄い作品なんだがと思ったが、やっぱり少し多すぎた、4人くらいのほうが緊張感が持続したんじゃないかな。
捜査チーム内の葛藤が描かれ -
-
-
Posted by ブクログ
とある森の中で、六本の切断された左腕が発見される。
行方不明人捜索のエキスパートであるミーラ・ヴァスケス捜査官は、犯罪学者ゴラン・ガヴィラがまとめる特別捜査班に加わり捜査にあたることになる。
腕の主は五人まで判明している。未だ明らかになっていない六人目の腕の主の捜索のために、ミーラが呼ばれたのだ。
高い知能で捜査班を翻弄する連続殺人犯“アルベルト”、忌まわしい過去と無共感性に悩むミーラ、深淵の縁に踏み止まりつつも妻を失った傷に苦しむゴラン。複雑怪奇な事件の展開に、個性的な登場人物の動きが絡んで物語は二転三転する。
海外ドラマ『クリミナル・マインド』のファンとしては非常に好きなジャンルであり、