黒田夏子のレビュー一覧
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ネタバレ表題の『abさんご』は、ひらがなの多い横書きの物語という点だけでは児童文学かのような印象であるけれど、実際には正反対に集中して読み進めないとすぐ迷子になるような難解な上級者向けのお話しでした。記憶が曖昧になりがちな昔の思い出話の感情の部分、印象的な情景を、滲ませたり、ぼかせたりしながら書いているような、絵にすれば水彩画のような世界観だなぁ、と思いました。縦書きの3部作『毬』『タミエの花』『虹』はタミエという少女が主人公。毬を上手くつけなくて不器用だったり学校をサボって草花と戯れることが好きだったり、大人受けはしない子供だけれど、読んでいると自分が子供だった時もこんな感覚だったかも、と思えるほど
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芥川賞受賞作「abさんご」。過去の最高齢での受賞記録を塗り替えたことや、横書きという珍しい書式や、他にも直木賞を受賞したのが平成生まれとしては初の朝井リョウという年齢の差が注目を浴びた。
中身は、平仮名と漢字の使い方が独特なため、読み難い。加えて、似たような言葉を敢えて反発させた様に書いたり、その影響で一文が長くなったり、話し言葉かと思えば書き言葉だったり、誰も喋ることはない。海外の小説を翻訳が下手な人が遠まわしに訳した様な、そういうのに似た印象を抱く。物語も断片的で、周りや芥川賞の書評か何かで見た、”物語をさっと読んで欲しくない”という狙いを上手く落とし込んだのが、こういう物語になったのだ -
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何言ってるかわからない。
その原因の半分は主語の曖昧さからくるものではないかな?
モザイクかけてわからせないようにする。年長者とか、先に死んだ両親とか、すべて漠然とした代名詞。
それは、幼年期の視点、なのかもしれない。最後の方に書いてあるが、6歳なのかな。そこに至るまでの断片的記憶。
われわれが推測する幼児の視点。実際のことなんて、そのまま覚えてる人はいないし、仮に覚えていたとそのイメージが真実なんて保証はない。
その幼児期の人称不在や不透明に、意味の無限定性を文章と内容に織り込むと、これだけカオスになるのかもしれない。
実験は実験だし、きれいな文章と言えなくもない。
ただ、文学愛好家のための -
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ネタバレabさんご…書かれていることは特別のことではない情景です。
描かれている家族の話自体は、ありがちな物語でしょう。
例えばこれを映像化してそれを様々な人に逆に文章に起こさせたら、
それ程の表現をもってしなくても万人にあっさりと読みやすく表現されてしまうのではないでしょうか。
ということでこれは、物語を読む小説ではなく表現を読む小説なのだなと思いました。
ひらがな、漢字の「場所」をよく考え抜かれたのでしょうね。
これは若くしては書けない技法だと感じました。
難しく感じる言葉や表現に漢字が多く、感情や独特の言い回しを
多用する箇所にひらがなが多く用いられているように感じました。
それは私個人の感 -
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【チャレンジ】を感じてしまった。
75歳の新人女流作家さんに。
しかし、読みにくかった・・・。
文字数少ない、薄い本なのですが。
綴じ方が逆【左くみ】、横書き、カンマ、ピリオドの句読点。
ひら仮名!カタカナ見当たらない・・・。
あとがきじゃなくって『なかがき』があって。
それ以降は。
綴じ方逆の【右くみ】縦書きの短編みっつ。
主人公の名前がおんなじなので連作かな。
慣れてからも【お経】かも?との錯覚。
朗読しているつもりで読んでいくと。
進めます。
でも、ページ飛ばしても、なんか、読めていくのだろうな。
と、感じる不思議感の中で進めたな。アタシ。
小児の周りを書いているのですが。
何し -
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言葉の紡ぎ方といっていいのかどうかはわかりませんが、読めば読むほど、作品の世界に取り込まれました。
文章に、たくさんのことが練りこまれて、それから手間をかけて、選び、そぎ落とされた感じがしました。
さすがに、年を取ってからの受賞ですね。
長い間、熟成されていたお酒のような、独特の重さと甘さと香り。
心地よい、酔い心地とでもいいましょうか。
選考の時、選者が、洗練されていると評したそうです。
なるほど、確かに。
一文字一文字が選ばれていると思いました。
読みにくいことは最後まで変わりませんでしたが。
かなり、難攻したのですが、それなりに達成感あります。