黒田夏子のレビュー一覧

  • abさんご
    横書き、ひらがな多めの小説ということで、以前から気になっていた一冊。
    ひらがなが多いと、どうしても言葉の区切り方が分からなくなってしまい、読み切るのに時間がかかった。
    ぶっちゃけ、話の内容はほぼほぼ頭に入ってこなかったし、理解しようとしても無理だった。
    ストーリーが面白いのかはさておき、古風な言葉遣...続きを読む
  • abさんご
    表題の『abさんご』は、ひらがなの多い横書きの物語という点だけでは児童文学かのような印象であるけれど、実際には正反対に集中して読み進めないとすぐ迷子になるような難解な上級者向けのお話しでした。記憶が曖昧になりがちな昔の思い出話の感情の部分、印象的な情景を、滲ませたり、ぼかせたりしながら書いているよう...続きを読む
  • abさんご
    芥川賞受賞作「abさんご」。過去の最高齢での受賞記録を塗り替えたことや、横書きという珍しい書式や、他にも直木賞を受賞したのが平成生まれとしては初の朝井リョウという年齢の差が注目を浴びた。

    中身は、平仮名と漢字の使い方が独特なため、読み難い。加えて、似たような言葉を敢えて反発させた様に書いたり、その...続きを読む
  • abさんご
    何言ってるかわからない。
    その原因の半分は主語の曖昧さからくるものではないかな?
    モザイクかけてわからせないようにする。年長者とか、先に死んだ両親とか、すべて漠然とした代名詞。
    それは、幼年期の視点、なのかもしれない。最後の方に書いてあるが、6歳なのかな。そこに至るまでの断片的記憶。
    われわれが推測...続きを読む
  • abさんご
    はじめは「どこを縦読み?」と戸惑ったが、しばらくすると慣れる。ただ、多分、私は、そこに描かれていることの半分も掴めてないと思う。
  • abさんご
    表紙からの横書き、中書きをはさんで、裏表紙からの縦書きの作りは面白かったです。
    まるで一冊のアート。
    何回かくり返し読みたいです。新しい解釈がその都度でてきそう。
  • abさんご
    abさんご…書かれていることは特別のことではない情景です。
    描かれている家族の話自体は、ありがちな物語でしょう。

    例えばこれを映像化してそれを様々な人に逆に文章に起こさせたら、
    それ程の表現をもってしなくても万人にあっさりと読みやすく表現されてしまうのではないでしょうか。
    ということでこれは、物語...続きを読む
  • abさんご
    輪郭をぼやかすかんじで外堀を埋めていく文章。
    慣れるまではすこし大変だけど、慣れてしまえばこれほど感情に自然に上手に訴えかけてくる方法は他に無いのではないかと思えてくるほどくせになる。
  • abさんご
    【チャレンジ】を感じてしまった。
    75歳の新人女流作家さんに。

    しかし、読みにくかった・・・。
    文字数少ない、薄い本なのですが。
    綴じ方が逆【左くみ】、横書き、カンマ、ピリオドの句読点。
    ひら仮名!カタカナ見当たらない・・・。

    あとがきじゃなくって『なかがき』があって。
    それ以降は。
    綴じ方逆の...続きを読む
  • abさんご
    山田詠美が評するのが当たっている気がする。「禁じ手」あるいは「恥ずかしくてできない手法」だけれども,謎解き的なミステリー要素が受けるというのはわからなくもないが。また,テーマの純粋さ(なにもなさ)が物語を支えている気もする(何かありそうで,その実,何もない)。
  • abさんご
    言葉の紡ぎ方といっていいのかどうかはわかりませんが、読めば読むほど、作品の世界に取り込まれました。
    文章に、たくさんのことが練りこまれて、それから手間をかけて、選び、そぎ落とされた感じがしました。

    さすがに、年を取ってからの受賞ですね。
    長い間、熟成されていたお酒のような、独特の重さと甘さと...続きを読む
  • abさんご
    まず見た目から、ひらがなを多用した横書きの文章の独特さが目を引く。でも何より独特なのは、この文体。正直、内容の全ては把握できなかったが、この文章を読んでいる時の、幻の中をたゆたっている感覚はなかなか味わったことがなかった。匂いや感触、色や音、五感を言葉にしてつらねていったかのようで、物語がつかめなく...続きを読む