黒田夏子のレビュー一覧

  • abさんご
    爆裂に読みづらいけどきっとすげえ名作に違いない!
    だって芥川賞だぜ!?
    って思いながら読んだけど意味がほとんど頭の中に入ってこない!
    もうすごいな!
    ははは…本当に同じ日本語かよ…表題作もそうだけど、収録されている普通の文体の方もなかなか強者で、私ただ文章の美しさに見惚れていたのであった。

    ただこ...続きを読む
  • abさんご
    正直、読むのはかなり苦痛だった。読みにくいし、ストーリーも面白くないと思った。
    それでも、他にない文体を持つ小説という一点で芥川賞受賞、そして後世に残すべき作品であると思う。こういう書き方があるのか、という驚きがある。
  • abさんご
    みるく色のそらと,みるく色のうみのあわいで,はい色をしたにほんごが,きまぐれにたゆたっていました.
    このそらはきおくで,このうみはゆめなのかもしれませんでした.だから彼女が,彼女だけが,みるく色にゆびをひたし,まどろむにほんごをすくい出すことができました.すくい出したにほんごを,(彼女にとって)ふさ...続きを読む
  • abさんご
     芥川賞受賞作である「abさんご」と著者が二十六歳の時のデビュー作、他に二編の合計四編の短編が「リヴァーシブル形式」で掲載されている。
    「リヴァーシブル形式」がどういうものかは、本屋さんで手に取って確認してください。

     まずデビュー作である「毬」。
     そしてその「毬」と同じ少女が主人公である「...続きを読む
  • abさんご
    最初読みづらくって、なかなか手をつけるのに時間がかかったけど、なんとなく読み進めるうちに夢中になってきて、もっともっと読み込みたかったけど返却日だった。時間をかけて練られた言葉が連ねられてるかんじで、印象に残っている大事な一冊になっていた。秘密めいていていい。
  • abさんご
    雑誌で出たときに読んでたけど、単行本買って再読。早稲田文学7での対談読んでからの再読だから、前よりも多くの言葉に良い意味でのひっかかりを感じることができた。あの時間の遠近感が、自分が子供だったころの懐かしい諸々(もちろん負の感情も)を思い出させてくれる要因かも。人が嫌いで興味が薄く、物ばかり書いてい...続きを読む
  • abさんご
    凄く良かった。

    はじめ横書きページから読み進めて、
    まるで呪文のような本だと思った。
    文章が美しいのだけど、漢字と平仮名が
    普段読んでいる文章と全然違う。
    声に出さないと何を書いているか頭に全然入ってこない
    音読しても、やっぱり入ってこない。
    唯一頭に残ったのは、
    親子の食卓に、新しい家政婦さんが...続きを読む
  • abさんご
    横書き、ひらがな多用、点はコンマで丸はピリオドと、いままで見たことのない自由に書かれた作品。ひらがなが多くて読み辛いので何度か読み返した。最後は音読してみて大まかなことは頭に入ったけど、それでも難しい表現が多くて全部は理解できてないと思う。
    aにもbにも行かずくるくるとこまのようにまわる。さんごは読...続きを読む
  • abさんご
    少しずつ読みすすめる物語。

    この感覚が心地良い。

    黒田夏子さんがテレビ番組で特集されていて、気品のある落ち着いた佇まいにほっとしたと、同時に、本屋へ走った。

    著者も何十年もかけて書き綴ったのだから、私は何十年もかけて読みたい。

    固有名詞や時間の流れに留められない文学がある。

    難読には変わり...続きを読む
  • 組曲 わすれこうじ
    とても独特な書き方に最初は戸惑い、なかなか読み進められなかった。
    中盤から慣れ、物事を遠回しに綺麗な言葉で説明される魅力にどっぷりハマり、少しずつ丁寧に読み進めた。
    何か劇的なことが起こるわけではない話だが、だからこそこの文体がとてもよく感じられたのかなとも思う。
    著者の他の本も気になる。
  • 組曲 わすれこうじ
    最初、見慣れない文体に面食らった。
    既存の一語で表せる事物を、わざとその単語を使わないでなぞなぞみたいにつらつらと説明されることに最初はいらいらしていたけれど、著者のファンである友人から「そう書かれることで我々はその事物を既知のものとして流すのではなく、もう一度初対面として出会い直すことができるのだ...続きを読む
  • abさんご
    わかるひとにはわかるのだろう
    そう書いている人じしんがよくわかっているのかは
    じしんにもなに一つかくしょうはないまでも、もしくはほぼそれはないと思われてもなお
    いつのまにかひきこまれ限りなくあたたかいきもちにさせられる作品

  • abさんご
    最初は読みづらく感じたが、三章ほど読めばだんだんになれてきてさほど苦もなく話の筋は理解できた。ストーリーはかなりあっさりとしていて、簡単にいうと、死んだ父親との関係とそれをこわした家政婦のことを軸に、自分の半生をふりかえり、もっといろいろできたけど何もしなかったなあ、という話。あらわしきれなかった家...続きを読む
  • abさんご
    abさんごは2012年早稲田大学文学新人賞受賞、「毬」「タミエの花」「虹」は1963年読売新聞短編賞受賞。その間50年半世紀あまり。一作家の時を経てその作風がわかる。「abさんご」は75歳で芥川賞受賞という話題性もさることながら横書きひらがな多用な文章で個性が群を抜く。読みづらいことをがまんして読み...続きを読む
  • abさんご
    いろいろな読み方があると思うが 自分は(お風呂で)音読して楽しんだ。 言葉と その紡がれた後のリズム感を 作者自身が楽しんで選んでいる というか とても熱意を以て追及しているという様な 「形式」への試みが感じられて楽しかった。 文字についても その音や 印刷された時の見た目など 日本語というものの魅...続きを読む
  • abさんご
    一番面白かったのは『abさんご』。この異色作を楽しむには「予備知識」があった方がいいかもしれない。

    1.固有名詞を使わず、横書きの小説。文章は「ひらがな」が多くなる。日本語の句読点ではなくコンマやピリオドを使用。この視覚効果のため読みにくいし、内容が曖昧になる。

    2.曖昧な内容のため、登場人物の...続きを読む
  • abさんご
    『じっさいには,そのときの幼児の身たけに見あうごく小ぶりの傘にはそれほどしゅるいがなかったので,おとなたちどうしのやりとりはたちまちすんでしまい,うなづくことだけがうながされているばめんでうなづいただけの者は,でもしきりになにか言いたかった.』

    夢の描写に脚色を加えることが一切禁じられたら、そこに...続きを読む
  • abさんご
    とてつもなく、客観的な状況でしか自分を見つめることができなかった主人公を、とてつもなく客観的な文体で書いた、作品。この客観性がより一層人間の孤独を照らしている。
    近年の芥川賞らしからぬ作品である。
  • abさんご
    母国語以外の小説を読んだらこんな感じなのかと思った。輪郭がなんとなくぼやけていて決定的なことがない。
    感覚を頼りに読み進める。固有名詞がないというのは、読み手の創造をいくらでも広げてくれる。読んでる時にしか存在しない小説。または言語の起源。
  • abさんご
    父と子との記憶をめぐる、冷たく、鋭く、やわらかい空気につつまれた物語。たぶん。

    なぜ「たぶん」かというと、ご存知の通り、すっげーーー読みにくいから。ストーリーを万全に把握できたかどうか自信がないのです(笑)。横書き、特徴的なひらがな使い、オリジナルな呼称(固有名詞を使わないんでしたっけ)、そして独...続きを読む